平成29年度広尾学園中学校入学式、田邉裕校長の式辞…全文掲載

 4月8日(土)、広尾学園中学校・高等学校で入学式が執り行われた。広尾学園生となった中学新入生250名に向け、どのような激励の言葉が贈られたのか。リセマムは、広尾学園中学校・高等学校より情報を提供いただき、田邉裕校長の式辞を全文掲載する。

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平成29年度広尾学園中学校 田邉裕校長の入学式式辞を全文掲載する(画像はイメージ)
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 4月8日(土)、広尾学園中学校・高等学校で入学式が執り行われた。広尾学園生となった中学新入生250名に向け、どのような激励の言葉が贈られたのか。リセマムは、広尾学園中学校・高等学校より情報を提供いただき、田邉裕校長の式辞を全文掲載する。

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◆広尾学園中学校 入学式式辞

 平成29年度、新入生の皆さん、また保護者の皆様、入学おめでとうございます。広尾学園を代表して心から歓迎します。またご来賓の皆様には、お忙しい中にも関わらずご来臨を賜り、新入生の門出を祝っていただき、篤く御礼を申し上げます。

 新入生諸君は厳しい入学試験を受けて選ばれ、今日、晴れて広尾学園生となりました。選ばれた人々をエリートと呼びます。中世フランス語の選ぶという意味の「エリール」の過去分詞形から生まれた言葉です。エリートには別のフランス語ノブレスオブリージュという言葉がついてきます。これは、気品のある選ばれた人は身分に相応しく振舞わねばならないという意味です。しかし諸君が真のエリートとして本当に選ばれた人であるかどうかは、その振る舞いによってやはり広尾学園生であると尊敬を受けるか、広尾学園の生徒はあの程度かと軽蔑されるかによって決まってきます。

 本校は大正7年に、板垣退助夫人絹子女史が創立した順心女子学園を前身とする伝統ある学校ですが、平成19年に共学化し、その後インターナショナルクラスや医進・サイエンスコースを開設し、新校舎を完成して、長い伝統の上に教育課程や施設の革新を積極的に進め、日本の中等教育に大きな旋風を巻き起こしてきました。

 しかし本学園がエリートの学校であるという評判は単なる受験校として偏差値を上げ、進学実績に成果を上げてきたからではありません。むしろ生徒諸君の「学習したい」という日頃の意欲や学習している態度、それをサポートする先生方や先端機器を備えた学習環境など、偏差値で測れない点が評価されてきたからです。それは大学の一般入試ではなく、日頃の生徒諸君の振る舞いが厳密に評価される最近の推薦入試の結果が注目されていることからも分かります。

 もちろん中等教育には色々な評価基準がありますが、本学園が求めているのは、「自律と共生」の教育理念を実現することです。自律とはあれこれ人にやってもらうのではなく、自分のことは自分で、自分に出来ることは積極的に、進んでやるということです。生徒諸君には人から学識を与えてもらう受動的態度ではなく、自分から目標を見いだし、自主的に行動を律することを期待しております。いわゆるアクティヴに、すなわち積極的に学ぶことは最近の指導要領に書き込まれる前から本学園の実践の一つです。

 また広尾学園では社会人として他の人たちと出会い、折り合い、協調して共に生きてゆくことを学びます。登校してきたら「おはようございます」としっかり挨拶しましょう。挨拶は「共生」の第一歩です。人に迷惑をかけない、朝は起こされなくても自分から起きる、食べ物に好き嫌いをしない、言われなくても勉強するなどは、社会人の常識です。大変大勢の受験生のなかから選ばれて広学生になったのだという、誇りを持って欲しいと思います。制服や生徒心得も社会人として自覚を持つためです。

 新入生の皆さん。本学園は勉強の手助けをしますが、勉強するのは君達です。この学園生としての気品のある振る舞い方を身につけ、これからの3年間さらには6年間を悔いの無い学園生活にして広尾学園で学んで良かったと言える青春をおくって下さい。私達もその手助けを惜しまないつもりです。

 またご列席の保護者の皆様、およびご来賓の皆様にも、この若者達が人間として成長して行く大切な時期を過ごす上で、ぜひ手助けとお力添えをいただきますようお願いして、私からの式辞とさせていただきます。

平成29年4月8日 広尾学園中学校 校長 田邉裕

《編集部》

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