【EDIX2017】いま問う高大接続改革、VUCAな時代を生きる力を…鈴木寛氏

教育・受験 小学生

EDIX2017で基調講演を行った文部科学省文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏
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 文部科学省文部科学大臣補佐官の鈴木寛(かん)氏は、5月17日から東京ビッグサイトで開催された教育業界の専門展「第8回 教育ITソリューションEXPO(EDIX:エディックス)」内で基調講演を行った。なぜ今「高大接続システム改革」が必要なのか、改めてその意義を明らかにする。

◆2100年を生きる子どもたち、激動の時代のはざまで

 鈴木氏は、学習指導要領の改訂は「VUCA(ブーカ/Volatility:変動、Uncertainty:不確実、Complexity:複雑、Ambiguity:曖昧の略称)」な時代を生き抜く子どもたちに向け、2100年を見据えて行うものだと語る。

 鈴木氏は今年、54歳になる。2100年は成人にははるか遠くに思えるが、鈴木氏は「今を生きる小学生、中学生、高校生は、2100年まで生きる可能性が高い世代」と指摘。デジタル革命により、工業化社会を支える人材の育成に注力した「20世紀型教育」ではもはや対応できない技術の発達や社会の成熟状況を見ると、次の100年には自ら逆境に立ち向かい、困難な状況を切り開く「アクティブラーナー」を育てる必要がある。

 そこで、教育内容と入試方法を一度に改革するという、高大接続システム改革が生きてくる。鈴木氏は「学習指導要領を変えても、現場や保護者が気になる点は入試にある」とし、1979年以来約40年ぶりとなる、大学入学センター入試の改革を含めた高大接続改革を行う意義を説く。入試が変われば、現場も変わる。大学側も、知識偏重型ではなく、自ら学び、不確実性の高い世の中に向き合う力を持つ人材を選抜することが求められている。

◆日本の15歳を開花させる教育を

 今春、小学校と中学校に関わる新しい学習指導要領が公開された。新学習指導要領の全面実施は、小学校が平成32年度、中学校が平成33年度、そして高等学校は平成34年度から。授業科目の変更があった小中に比べ、高等学校は「歴史総合」や「総合的な探究の時間(仮称)」「理数探究」が実施されるなど、改訂範囲は狭く思える。

 鈴木氏はOECD生徒の学習到達度調査(PISA)の結果を用い、2006年調査以降V字回復した高校生の成績を指摘し「実質的な数値では日本の高校生は世界一の学力を持つ」と断言。「日本の15歳をいかに花開かせるか」とし、高等学校の学習指導要領には多くの変更よりも、内容の充実を求めた点を強調した。

 ロボットや人工知能(AI)、IoTなど、これまでになかった技術が次々に発明され、生活に浸透しつつある現在。オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン氏が、10~20年後に、ロボットやAIが今ある仕事の約50%を台頭すると発表した報道も記憶に新しい。

 鈴木氏は、オズボーン氏の説は決して悲観的なものではないと説明し、これからの時代にはロボットやAIが対応できない職に必要なものは「新たな価値を創造すること」や「対人コミュニケーション」であると論を補強。想像を越えた現実と向き合う子どもたちの未来に向け、教育改革を通しPBL(問題解決学習法)教育や教養教育などの新しい教育を届けたいと語った。

《佐藤亜希》

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