慶應大SFC研究所、出版4社らとラボラトリ設置…未来の出版を研究

 KADOKAWA・講談社・集英社・小学館の出版4社と慶應義塾大学SFC研究所、出版デジタル機構は6月27日、未来の出版を研究するアドバンスド・パブリッシング・ラボラトリ(Advanced Publishing Laboratory:APL)を慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに共同で設置すると発表した。

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 KADOKAWA・講談社・集英社・小学館の出版4社と慶應義塾大学SFC研究所、出版デジタル機構は6月27日、未来の出版を研究するアドバンスド・パブリッシング・ラボラトリ(Advanced Publishing Laboratory:APL)を慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに共同で設置すると発表した。

 APLの設立は、日本でも広く使用されている電子書籍の国際標準規格「EPUB」の管理運営が、インターネットの国際標準化団体W3C(World Wide Web Consortium)に統合されたことがきっかけ。

 日本の出版界は、特有の文化や世界に誇る品質の高い出版技術を保有する一方、依然として紙を中心とした伝統的な出版形態を続けており、Webと高い親和性を持つデジタル技術や標準化採用といった世界の動向や導入に対する認識が低いとされる。

 今回のAPL設置をめぐっては、日本の出版が新しい時代に適応して国際競争力を高めるためには、伝統的な出版技術とデジタル技術の融合をさらに推し進める必要があると判断。デジタル技術で出版業界の変革を目指す出版デジタル機構と出版4社が、慶應義塾大学SFC研究所の全面協力を得てAPLを設置することで合意した。

 慶應義塾大学SFC研究所はW3Cにおいて、東アジア(中国を除く)担当ホストであり、米マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所(MIT CSAIL)、欧州情報処理数学研究コンソーシアム(ERCIM)、北京航空航天大学(Beihang)とともに共同運営者を務めるなど、重要な役割を担う。

 APLの活動は、2年間の予定。国内有識者の知見を結集し、現在のEPUB規格の国際的な維持管理、次世代規格の標準化を進める。世界で存在感のある日本のエンタテイメント文化や精緻な日本語組版を海外に紹介する活動、海外の出版に関するデジタル技術情報を国内に紹介する活動など、積極的な情報交換や普及展開も推進していく。

 また、これまで培われてきた出版の専門知識や最新のデジタル技術に関する教育プログラムも計画。教育プログラムを通して、国際的な市場で活躍できる人材、未来の出版を支える人材の育成も目指すという。

《奥山直美》

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