平成32年度(2020年度)から全面実施される新学習指導要領への円滑な移行のため、平成30年度(2018年度)と31年度(2019年度)はすべての小学校における「外国語科」「外国語活動」内容で小中接続を考慮した必要最低限の内容を指導することが決定している。
公開された外国語教材は、新学習指導要領に対応する検定教科書が学習現場へ無償給与されるまでの2年間に用いられる予定の教材。平成29年度の小学4年生(平成30年度5年生)と小学5年生(同6年生)が初めて利用する。9月21日には、児童用冊子、教師用指導書、学習指導案が公開された。
◆山中伸弥教授や卓球・石川佳純選手も登場、広がりのある話題に設定
小学5年生用「We Can!」1では、世界の文化を学ぶワールドカレンダーや、リスニング内容から世界の子どもたちがどのような時間割で学んでいるかを知り、わかったことを書き出す項目など、グローバル社会を生きる子どもたちにとって広がりのある話題を設定。デジタル教材の映像を見て英語を聞き、卓球・石川佳純選手、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授、サッカー日本代表の長友佑都選手のうちから誰のことを説明しているかを判断する項目など、親しみやすいテーマに基づき自然に英語4技能に親しめるような工夫が施された。
◆小学校中学年「外国語活動」から中学校まで、接続を重視
小学6年生用の「We Can!」2には、オリンピック・パラリンピックについて記述する欄や、実際に競技についてインタビューをしてみよう、考えようといった項目を盛り込んだ。教材中盤からは、中学校ではどんな行事があるか、どんな部活に入りたいか、楽しみな行事は何かなど、児童の生活に沿った話題が選ばれている。
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画像は「We Can!」2のサンプル
いずれの教材とも、各ユニットは「聞くこと」「話すこと」からスタートし、英語音声に慣れたあとに「読むこと」「書くこと」の言語活動に取り組む構成。中学校で扱う代名詞(三人称)、動名詞、過去形などを含む基本的な表現に繰り返し触れることができるよう工夫されている。
文部科学省は今後、希望するすべての小学校へ同教材を冊子で配布する予定。教室用デジタル教材や小学校中学年用外国語活動教材一式も今年度中に配布する見込み。年間指導計画例や活動例案、研修ガイドブックも作成し、現場教員の授業準備を支援するとしている。