中高生の読解力に警鐘、教科書正確に読めず…中学生6割が文構造把握で誤答

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国立情報学研究所
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 教科書の文章を正しく理解できていない中高生が多数いることが、国立情報学研究所の調査結果より明らかになった。教科書が読めないと自分ひとりでは勉強できず、AIに職を奪われると、新井紀子教授は指摘している。

 基礎的読解力を測るテストリーディングスキルテスト、RST)」は、事実について書かれている短文を正しく理解する能力を測定するため、国立情報学研究所の新井紀子教授らの研究グループが開発した読解認知特性診断テスト。基本的にはCBT(コンピュータ上で行うテスト)として実施し、2017年7月末までに小学生1,347人、中学生7,073人、高校生1万4,083人、高専198人、大学生1,316人、社会人600人が受検した。

 リーディングスキルテストでは、教科書や新聞、事典などから抜き出した200字未満の文章を正しく理解できるか測定した。

 たとえば文構造把握の問題では、「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある」という中学校英語科の教科書から引用された文章を読み、「Alexandraの愛称は何か」を選択肢でたずねたところ、「Alex」と正答できたのは、中学生が37.9%、高校生が64.6%だった。

 また、文章から図表への対応付けが正しくできるかを問うイメージ同定の問題では、「メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国がもっとも多くおよそ35%である」という中学校社会科の教科書から引用された文章を読み、メジャーリーグ選手の出身国の内訳を表す図を選択肢でたずねたところ、正答できたのは中学生が12.3%、高校生が27.8%だった。

 調査結果より、中学生の約15%は意味理解の最初のステップである文構造の把握ができないまま卒業していることが明らかになった。自動車の普通免許など、資格の筆記試験にパスことに大きな困難を伴うことが予想される。また、教科書が読めないと、予習も復習もできず、自分ひとりでは勉強できないことになり、勉強の仕方がわからないと、「AIに職を奪われる」と新井紀子教授の研究グループは指摘している。

 中学校を卒業するまでに、中学校の教科書を読めるようにすることが教育の最重要課題であるとして、国立情報学研究所では今後、どんな文が読みにくいのかの科学的解明や基礎的な読解力を向上させる方策の検討などを進めていくという。

《工藤めぐみ》

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