不登校特例校、東京都調布市に4月開設…全国初の分教室

 東京都教育委員会は平成30年2月23日、不登校特例校を4月に開設すると発表した。分教室として設置・運営する全国初の不登校特例校。調布市内の不登校生徒を対象とした調布市立第七中学校「はしうち教室」として、多様な学びの場を提供していく。

教育・受験 中学生
都内公立小・中学校における不登校児童・生徒数および不登校出現率の推移
都内公立小・中学校における不登校児童・生徒数および不登校出現率の推移 全 3 枚 拡大写真
 東京都教育委員会は平成30年2月23日、不登校特例校を4月に開設すると発表した。分教室として設置・運営する全国初の不登校特例校。調布市内の不登校生徒を対象とした調布市立第七中学校「はしうち教室」として、多様な学びの場を提供していく。

 東京都教育委員会によると、都内の不登校児童・生徒数は近年増加傾向にあり、長期に及ぶケースも多い。不登校が長期化すると、学業の遅れや在籍校への復帰困難などの課題がある。不登校の児童・生徒を対象とした都内公立校は八王子市立高尾山学園1校のみで、不登校特例校の早期整備が課題であったという。

 不登校特例校とは、不登校の児童・生徒を対象として、その実態に配慮した特別な教育課程を編成して教育を行う学校。今回、調布市教育委員会が文部科学省から指定を受け、不登校生徒の学びの場として調布市立第七中学校「はしうち教室」を4月に設置する。

 教室は、本校から分離し、大町スポーツ施設内の一部を使用する分教室の形をとる。東京都教育委員会によると、将来的に学校への移行を見据えつつ、当分の間、分教室として設置・運営される全国初の不登校特例校だという。

 調布市立第七中学校「はしうち教室」の対象は、調布市立公立学校在籍(保護者の住民票が調布市)で、心理的に不安の傾向などがあり、連続または継続して年間30日以上欠席した不登校生徒。教育課程の基準の特例により、年間の総授業時数を1,015時間から910時間に低減するほか、朝の時間のゆとりを考え、午前3単位(1単位50分)、午後2単位を基本とする。

 生徒ひとりひとりの状況に応じた指導体制の充実を図るため、「個別学習」の時間を設定し、不登校による未学習の内容を補う時間を確保。各教科などで習得した知識・技能を各自の興味・関心のある学習内容に活用して表現する「表現科(仮称)」を設定するほか、コミュニケーションスキルトレーニングも充実させる。

 東京都では、学校への移行を前提とした分教室の形の不登校特例校を「東京版不登校特例校」と位置付け。本校から分離した分教室は、施設整備などにかかる負担が比較的小さく、早期設置が可能であることなどから、区市町村教育委員会への支援を通じて、今後も設置を促進したい考えだ。

《奥山直美》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集