函嶺白百合学園(神奈川県足柄下郡箱根町強羅)は、2025年4月から英国発のオンラインスクールNisai Japanとの提携を本格化させた。新たにIGCSEやA-Levelといった国際資格の取得を視野に、一貫した教育パスウェイを構築。国内外の難関大進学を後押しする。
函嶺白百合学園では、これまでもオンライン英会話やAIアプリの導入を通じて語学教育に力を入れてきたが、村田校長は「子供たちのやる気と英語力をもっと伸ばしたいと思っている保護者や子供に、どう応えていくかというのが悩みだった」と語る。
保護者からは「IB(国際バカロレア)は導入しないのですか?」「海外進学を目指せるコースは?」という声も寄せられていたが、全教科にわたるカリキュラム変更や保護者負担の費用など、IB導入には高いハードルがあった。IBに変わるものはないかと模索する中、オンラインでケンブリッジ国際教育のカリキュラムを提供できるNisaiの存在を知った。村田校長は、「A-levelという選択肢があることに、まずはすごく驚きましたし、非常に嬉しかった」と当時を振り返る。
決め手となったのは、同じカトリック校である静岡聖光学院の導入事例。同校に見学に訪れた際に、導入で大変だったことから目指すゴール像のことまですべて説明してもらうことができて、具体的なイメージが出来上がったという。
現在、函嶺白百合学園では学年を超えて英語力に応じて編成される「函嶺グローバルプログラム」でNisaiを導入。多くの生徒は、まず英語4技能を確実に伸ばすCEFRコースを選択している。
「まずは日本と違った海外の英語教育の基礎を身につけるという意味で、しっかりと4技能を学んでみたいという子が多かった」と村田校長が語るように、生徒のニーズからスタート。さらにIGCSEコースも希望する生徒には、個別に対応できるかなども、相談しながら、より良い方向を探っている。
このプログラムが生徒たちを惹きつけている理由は、そのユニークな学習環境にある。英語科の渋谷真帆教諭は、「Nisaiの先生方はとてもオープンに生徒と接してくださいます。Nisaiの教室がとても“安心安全な場”だからこそ、生徒が少し難しいと感じることにも思い切ってチャレンジできるのだと思います」と評価する。授業の始めに自信度を確認したりプライベートチャットで個別に質問できたりといった、きめ細やかな配慮が生徒の挑戦を後押ししている。
Nisaiの導入後、生徒たちの学習姿勢とスキルには、教員も驚くほどの変化が訪れた。渋谷教諭が「お互いが相談しながら楽しんで取り組んでいる」と語るように、授業は常に活気に満ちたものになった。この楽しさが自信となり、先日は、英検準1級の1次試験に合格した生徒が「ライティングがすごく良かった。Nisaiのおかげです」と笑顔で報告してくれたという。
函嶺白百合学園が大切にするひとりひとりに寄り添う教育と、Nisaiが提供する個別最適化された学習環境は、深く共鳴している。今回の提携は、単に英語スキルを学ぶだけにとどまらない。オンラインでの探究的な学びを通して、生徒が自信をつけ、自らの可能性を広げていくことを目的としている。初めは英語の基礎を固めるコースからスタートした生徒も、自信がついた先には、IGCSEやA-levelといった、より専門的で高度なコースへ挑戦していく道が拓かれている。
函嶺白百合学園は、今後もNisaiとの連携を密にし、生徒ひとりひとりの「もっと学びたい」という意欲に応え、次世代を担う人材の育成を目指していくとしている。