論理的思考力を鍛えられる数学
数学で学べるのは発想力と論証力です。
そして、数学は宗教も性別も国籍も関係なく世界共通です。
国語のような文系の勉強でも数学を通して学んだことは役に立っています。
文系の法律の勉強でさえも問題提起、規範分析、解釈、当てはめ、という論理力を駆使した運用をしているのです。経済は数学を利用しますし、心理学は実験して確率を使っています。数学の対極が文系教科ではないのです。
日常会話においても、論理のおかしな会話や論理の飛躍で誤解が生じます。数学で習う基本の欠如が原因で話が終わらない、結論までいかない、無駄な論争だった、となってしまいます。
よくあるのは条件と命題の間違い、必要条件と十分条件の間違い、「ある」「すべて」の間違い、です。
たとえば、すべての男性が高身長か低身長、高学歴低学歴に分かれるとして「高身長高学歴」の否定は、「低身長低学歴」ではありません。反対と否定は別ですから間違ってはいけません。
(1)高身長高学歴
(2)高身長低学歴
(3)低身長高学歴
(4)低身長低学歴
の4種類ありますので(1)の否定は(2)、(3)、(4)すべてです。
さらに否定として女性も加わります。
普段「条件」と言うとき、それは必要十分条件のことを言っています。しかし必要条件と十分条件を混同しているとおかしな意味になります。
栃おとめはいちごです。…○
いちごは栃おとめです。…×
「任意」「適当」をきちんと使う癖は、数学で自然に身につく力です。
ある~、すべての~、は日本語だといちいち言わないことも多いので、間違いがあってもそのまま会話が進んでしまいます。
最近気になったのは「データがない、調査していない」→「わからない」であるべきところで、「悪い結果の報告はありません」→「安全です」と変換する恐ろしい話を聞いたことがあります。
テレビに出ているコメンテーターでも、こういうことがあったので聞く側が気をつけないといけません。
本当に頭がいい人の勉強法
<著者プロフィール:葛西 祐美(かさい ゆみ)>
1994年、東京都出身。専門塾へ通わず都立高校より東京大学理科III類に現役合格、現在は東大医学部医学科に在籍。高校時代に、数学の偏差値「99」という驚異の数字を記録した。2012年に中国で開催された女性限定の「中国女子数学オリンピック」で、日本人として初の優勝、翌年も優勝し連覇を成しとげた。天才数学女子大生として「日本の頭脳No.1決定戦」「頭脳王」「さんまの東大方程式」「Qさま」など数多くのTV番組にも出演している。趣味はアニメやコスプレなど、サブカルチャー方面。