子どもの体遊び、時間や頻度だけでなく種類も減少

 遊ぶ場所の減少や一緒に遊ぶ仲間の減少などの理由により、子どもの「体遊び」の機会が減っていることが、ボーネルンドが発表した調査結果より明らかになった。遊びの種類も減っており、各学年に適した運動ができない子どもが増えている。

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体を動かす遊びをする頻度
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 遊ぶ場所の減少や一緒に遊ぶ仲間の減少などの理由により、子どもの「体遊び」の機会が減っていることが、ボーネルンドが発表した調査結果より明らかになった。遊びの種類も減っており、各学年に適した運動ができない子どもが増えている。

 子どもの体遊びに関する調査は、幼稚園・保育園(年中・年長)から小学6年生の子どもを長子に持つ30代~40代の母親を対象に実施したもの。有効回答1,321サンプルを、子どもの年次に応じて「幼稚園・保育園の年中・年長(330サンプル)」「小学校低学年(330サンプル)」「小学校中学年(330サンプル)」「小学校高学年(331サンプル)」の4グループに分けている。調査時期は2018年9月6日~12日。

 子どもが習い事以外で体遊びをする機会について、「週5日以上」は30.3%。2013年に実施した同様の調査よりも30.6ポイント減少した。学年別にみると、幼稚園・保育園児は53.0%が「毎日」もしくは「ほとんど毎日」だが、学年が上がるにつれて体遊びの機会が減少。小学校高学年は「週に1~2日」以下が64.7%を占めた。

 体遊びをする時間は、平日・休日ともに3割以上が「30分未満」と回答した。平日に「体遊びをしない」子どもは10.8%で、学年が上がるにつれて時間が減少する傾向が見られた。小学校高学年では、平日・休日ともに4割以上が「30分未満」と回答している。

 また、休日の遊ぶ時間が「30分未満」という回答が2013年調査に比べて20ポイント以上増加。幼稚園・保育園児は「30分未満」が30ポイント以上増加しており、特に遊ぶ時間が無くなっていることがわかった。

 子どもが体を動かして遊ぶ時間は十分だと思うかという質問には、48.0%が「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」と回答。「とてもそう思う」「そう思う」は27.9%だった。2013年調査と比べても、「十分」は13.2ポイント減少し、「不十分」は15.7ポイント増加している。

 母親の子どものころと比べても、65.3%が体遊びの機会が「減った」と感じている。比較的遊ぶ機会の多い幼稚園・保育園でも54.5%、遊ぶ機会の少ない小学校中学年・高学年では7割以上が「減った」と回答している。

 その理由として、「公園・空き地などの空間が少なくなっているから」46.0%、「一緒に体を動かして遊ぶ仲間が少ないから」40.6%、「安全面や近隣トラブルなどの問題で、子どもが外で遊ぶことに不安があるから」39.2%、「習い事などで忙しいから」29.4%などがあがった。

 遊ぶ場所(母親は子どもと同じくらいの年齢に遊んでいた場所)は、子ども・母親とも「近くの公園」がもっとも多かった。また、今の子どもは平日・休日ともに「自宅室内」で遊ぶ機会が増加。母親の時代に比べて10ポイント以上高かった。

 屋外での遊びの内容について、「かごめかごめ、はないちもんめなどの複数人で行う伝承遊び」「縄跳び、けんけんなどのジャンプする遊び」「平均台、一輪車などのバランス感覚が問われる遊び」は母親の時代に比べて大きく減少。一方、「絵を描いたり工作をしたりする創作系の遊び」「ゲームや携帯電話、スマートフォンのアプリを用いた体を動かさない遊び」など、体を動かさない遊びの項目はポイントが増加している。

 遊具を使った体遊びは「ブランコ」「すべり台」「ジャングルジム」が上位だったが、「回転遊具」「シーソー」「のぼり棒」「鉄棒」「うんてい」で遊ぶ機会は減少していた。また、母親の68.2%が「遊具の種類が減っている」と感じていた。

 各学年に適した運動の実施ついて、小学校低学年では5項目中全項目、中学年では13項目中9項目、高学年では8項目中全項目で、母親が同じ年齢のときのほうが「できた」と回答。縄とびは低学年で「後ろとび」、中学年で「交差とび」「片足とび(後ろ回し)」「前とびしながらの移動」の実施率で大きな開きがあった。また、器械運動の「後転」「壁を使った倒立」も10ポイント以上減少。高学年では、鉄棒の「逆上がり」ができる子どもが母親の時代よりも10ポイント以上少なかった。

 運動ができるようになるためにサポートしていることを聞いた質問では、「一緒に練習する」37.3%、「練習を見て、改善のためのアドバイスをする」33.0%、「自分で練習するように声をかける」26.2%などが多かった。母親の子どものころは「特にサポートはされていない」がもっとも多く、今の子どもの方がサポートを受ける機会が多いこともわかった。

《外岡紘代》

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