管理職になりたい女性社員は14.3%…女性が望む働き方とは?

 あしたのチームによる「中小企業の女性の働き方に関する調査」の結果が2018年11月29日に発表となり、経営者は女性社員活躍支援に意欲的な一方、女性社員は仕事と家庭の両立への不安がネックとなり、管理職になりたい意向が1割強にとどまることがわかった。

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あなたは女性社員の活躍を支援したいと思いますか。(単一回答)n=150 ※経営者n=150
あなたは女性社員の活躍を支援したいと思いますか。(単一回答)n=150 ※経営者n=150 全 5 枚 拡大写真
 あしたのチームによる「中小企業の女性の働き方に関する調査」の結果が2018年11月29日に発表となり、経営者は女性社員活躍支援に意欲的な一方、女性社員は仕事と家庭の両立への不安がネックとなり、管理職になりたい意向が1割強にとどまることがわかった。

 AIを活用した人事評価クラウドを提供するあしたのチームは、女性の働き方に関するインターネット調査を2018年10月16日から10月18日の間に実施した。対象は従業員数10名以上300名未満で、女性社員が在籍したことがあり人事評価制度を導入している会社の経営者の男女20歳から69歳と、20歳から49歳の女性社員。それぞれ150名ずつ計300名の有効回答数を得た。

 この調査結果によると、経営者の女性社員活躍支援に対する意識について、「女性社員の活躍を支援したいか」を聞いたところ96.0%の経営者が「そう思う」と回答。

 その一方、女性社員の自身の働き方に対する意識について、「将来管理職になりたいか」を聞いたところ、「そう思う」と答えた女性社員は14.3%にとどまった。回答理由を聞いたところ、「そう思う」と答えた女性社員からは「収入が欲しいから。スキルを活かしたいから。子どもが大きくなったら仕事をやりがいに生きて行きたいから。」(34歳・神奈川県、自社の女性管理職割合30%)、「会社を変えたいから。」(35歳・茨城県、自社の女性管理職割合0%)という意見が、「そう思わない」と答えた女性社員からは「男性からのやっかみが怖いから。」(27歳・福岡県、自社の女性管理職割合5%)、「家庭の用事で休めなくなるから。」(29歳・宮城県、自社の女性管理職割合10%)、「管理職が大変なのは目の当たりにしている。家庭を犠牲にしているが。責任のない位置で長く働きたい。」(34歳・山形県、自社の女性管理職割合10%)といった意見が寄せられた。

 そこで、女性社員に「どのようなサポートがあれば管理職になりたいか」をたずねたところ、「プライベートや家庭と仕事を両立しやすいサポート体制」が50.0%で最多となった。これらをうけてあしたのチームでは「『家庭と仕事の両立』が女性社員にとっての不安要素であり、そのサポートがあれば管理職になりたいと考えるようです」とし、「女性管理職に活躍してほしい企業にとっては、家庭と仕事を両立しやすいサポート体制の整備が課題になるのではないでしょうか」と続けている。

 このほか調査では、経営者に「女性管理職の割合」も聞いており、女性管理職がいるかの問に対しては61.7%が「いる」と回答しているものの、調査対象者全体で見るとその割合は、平均7.05%であり、人数の割合では1割未満であることがわかった。

 また、女性が管理職になったことで良い影響があったかどうかをたずねた設問では、経営者の回答としては「若手の、良き相談役、上司として活躍している。」(59歳男性・大阪府、自社の女性管理職割合25%)、「話をよく聞く。外部の評価が高い。」(53歳男性・新潟県、自社の女性管理職割合5%)、「男性社員がおしゃれになりました。」(63歳男性・東京都、自社の女性管理職割合10%)といった声が、女性社員からは「男性管理職の女性配慮が促されやすい環境になったのではないかと思う。」(34歳・神奈川県、自社の女性管理職割合25%)、「女性管理職のロールモデルができたため、長く働く人が増えた。」(27歳・東京都、自社の女性管理職割合10%)、「子育てをしている社員(男女問わず)に理解があると思う。」(28歳・山口県、自社の女性管理職割合30%)などの声が寄せられた。

 どのような人事評価制度だと女性が働きやすい、やりがいを感じると思うかをたずねた設問では、経営者からは「出産育児が評価のマイナスとならず現職復帰できる。」(58歳女性・沖縄県)、「男性と同等評価であることが基本で、女性ならではの特性に配慮した仕組みを導入。」(67歳男性・岡山県)、「女性に限らず、ダイバーシティな人事評価制度が重要。」(61歳男性・東京都)、「本人の意向を汲み取る。最終的に目指すポジション、職務、成果などを最終目標として、現状の到達点を評価とする。」(53歳男性・京都府)などがあがった。「女性だから」という理由で区別をせず、個人の状況や意向を理解し、「本人がどうなりたいか、何を目指したいか」を聞いた上で達成度を評価することが、女性の働きやすさややりがいにつながると考えていることがわかった。

 同じ設問に対し、女性社員からは「限られた時間の中で仕事をやり抜くプロセスを評価してほしい。」(27歳・愛知県)、「気持ちを聞いてくれる対話型の制度ならば、安心感とゆとりが生まれると思います。」(28歳・埼玉県)、「『できない=ダメ』ではなく、適切に理由を考慮できることが大事。」(41歳・群馬県)、「子どもがいるとどうしても休む頻度が増えるので、休んでも仕事はきっちりこなしているというところを評価してほしい。」(37歳・奈良県)などの声があがった。こうした意見に対しあしたのチームでは「数値的な結果だけでなく、達成できなかった場合でもその理由を考慮するなど、『話を聞いて評価してほしい』と考える傾向があるようです」としている。

◆「中小企業の女性の働き方に関する調査」調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:従業員数10名以上300名未満で、女性社員が在籍したことがあり、人事評価制度を導入している会社の経営者、男女20~69歳、および女性社員、20歳~49歳を対象
有効回答数:300人(会社経営者:150名、女性社員:150名)
調査実施日:2018年10月16日(火)~2018年10月18日(木)

《鶴田雅美》

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