大学等の修学支援新制度…文科省、高校向けの手引きを公開

 文部科学省は2019年5月22日、高等学校向けの「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」をWebサイトに公開した。2020年4月からの修学支援新制度について、各高校が学修意欲や進学目的などの確認を行う際の基本的な考えを示している。

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大学等への修学支援 高等学校等における学修意欲等の確認の概要
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 文部科学省は2019年5月22日、高等学校向けの「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」をWebサイトに公開した。2020年4月からの修学支援新制度について、各高校が学修意欲や進学目的などの確認を行う際の基本的な考えを示している。

 低所得世帯の学生に対し大学の授業料減免や給付型奨学金を拡充する「大学等における修学の支援に関する法律案」は、2020年4月より施行。大学、短期大学、高等専門学校などへ進学する前に、高校等が日本学生支援機構へ支援を希望する生徒を推薦し、給付型奨学金の支援対象の候補者とする「予約採用」で実施される。進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲をしっかりと見極めたうえで支援を行うという。

 「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」は、高校や中等教育学校(後期課程)、特別支援学校の高等部、高等専門学校・高等専修学校(高等課程)の教職員に向けたもの。予約採用の手続きにおいて、各高校等が学修意欲などの確認を行う際の基本的な考えを示している。

 進学前の学修意欲と強い学びの意欲などを確認する方法は、評定平均が3.5以上である場合、高校等における日常的な学習状況、進学指導などを勘案して学習意欲等の有無を判断する。評定平均が3.5未満の場合は、レポートまたは面談などにより、学習意欲等を有しているか否かを判定する。

 レポートまたは面談により確認すべき項目として、「進学の目的(進学後の将来の展望を含む)」と「進学後の学修継続の意志」がある。進学の目的では「進学の目的が述べられているか」「社会で自立し、活躍できるようになることが期待できるか」など、進学後の学修継続の意志では「進学後、卒業まで学修を全うしようとする意志があるか」などの観点が述べられているかを確認する。

 面談による場合、必ずしも学修意欲等の確認のみを目的とした面談を設ける必要はなく、進路指導の中であわせて学修意欲等を確認する方法で行うことも可能。手引きでは、確認結果の妥当性や信頼性に疑義が生じることのないよう、レポートや面談票を管理職や担任以外の教員なども含めた複数名で確認するなど、十分に客観性を確保できる確認体制の構築に努めることなども明記している。

 そのほか、支援には対象者(生徒等)およびその生計維持者の収入・資産に関する要件が設けられているが、これらの要件は日本学生支援機構が確認するものであり、高校等で確認を求めるものではないとしている。収入の確認には、マイナンバー制度を活用するため、対象者と生計維持者のマイナンバー関係書類を日本学生支援機構に直接提出する必要がある。

 なお、進学後はしっかりと学んでもらう観点から、修得単位数や学業成績に一定の要件が設定され、それらの要件を満たさない場合には支援が打切りになる。状況次第では支援した経費を返還させる措置を講じることがあるとしており、この支援を受ける学生は修学に対する自覚と覚悟を持つことが求められる。学校には、適切な進路指導を通じて、進学前の学修意欲と強い学びの意欲を適切に確認し、生徒を適切な進路に導くことを切に期待すると記している。

 文部科学省Webサイトでは、手引きのほかに支援対象の候補者の推薦にあたってのQ&Aも公開している。

《黄金崎綾乃》

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