私立高校の経済的理由による中途退学、過去最低の0.01%に
全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)は2019年6月5日、「2018年度私立高校生・中学生の経済的理由による退学と学費滞納調査のまとめ」を公表。2018年度の1年間に経済的理由で中退した私立高校生の割合は0.01%で、調査開始以来過去最低となった。
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調査は、2018年4月から2019年3月末の1年間における経済的理由による中途退学と3か月以上の学費滞納の状況を調べたもの。調査時期は2019年3月末、全日制私立高校と私立中学校の教職員組合を中心に調査用紙を配布。高校は33都道府県270校(生徒数23万1,840人)、中学校は21都府県の117校(生徒数4万3,541人)からの回答を得て、全国私教連が集計した。1998年度以来毎年同様の調査を実施しており、今回で21年目となる。
2018年度の1年間に経済的理由で中退した私立高校生の割合は0.01%。人数は32人で、いずれも調査開始以来最低の数値となった。2008年のリーマンショック時の513人をピークに全体として減少傾向が続いており、2017年度の90人から3分の1の人数に減少している。
中退した生徒のいる学校数は18都道府県27校(全体の10.0%)で、1校平均は1.2人。2017年度の33校・1校平均2.7人を下回る結果となった。また、今回の調査では、学校によって中退生徒数が偏る傾向は見られず、もっとも多い学校でも3人にとどまった。
3月末現在、私立高校で3か月以上学費を滞納した生徒は525人で、生徒数の割合(滞納生徒数/対象生徒総数)では0.23%と調査開始以来最低の水準だった。滞納生徒のいる学校数は101校で、回答した学校の37.4%を占める。滞納生徒がいる学校の割合が30%になったのは、調査開始以来初めてのことだという。
なお、私立中学校で3か月以上学費を滞納した生徒数の割合は0.09%。滞納生徒は28校に38人。いずれも2017年度に比べて微増となったが、低い水準で推移している。
全国私教連は、私立高校における経済的な理由による中途退学や、3月末時点で3か月以上学費を滞納した生徒数・割合が過去最低となったことについて、国と自治体との支援制度が拡充してきた結果と分析している。また、政府が具体策の策定に入っている「2020年度から私立高校の無償化」に関して、要求を提言。就学支援金の支給対象に施設設備費を加えること、施設設備費を授業料に組み込み、授業料での徴収に一本化することなどを求めている。
《黄金崎綾乃》
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