学校給食費の徴収、公会計化で年間190時間の教員負担減

 文部科学省は2019年7月31日、学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について、各都道府県知事や指定都市市長、教育委員会に対して通知を行った。公会計化を進めることで、教員の業務負担の軽減や保護者の利便性の向上などの効果が見込まれるという。

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文部科学省「学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について」
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 文部科学省は2019年7月31日、学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について、各都道府県知事や指定都市市長、教育委員会に対して通知を行った。公会計化を進めることで、教員の業務負担の軽減や保護者の利便性の向上などの効果が見込まれるという。

 2019年1月の中央教育審議会による答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」において、学校給食費や教材費、修学旅行費等の学校徴収金は、未納金の督促等も含めた徴収・管理について、基本的には学校・教師の本来的な業務ではなく「学校以外が担うべき業務」であり、地方公共団体が担っていくべきとしている。

 特に学校給食については、公会計化および地方公共団体による徴収を基本とする考えが示された。文部科学省はこれを受け、公立学校における学校給食費の徴収・管理に係る教員の業務負担を軽減することなどを目的として、「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」を作成。地方公共団体に向けて、ガイドラインを参考に学校給食費の公会計化の取組みを一層推進するよう要請した。

 ガイドラインは、「学校給食費の公会計化等により見込まれる効果」と「公会計化の進め方」について記載。公会計化等に伴い見込まれる大きな効果として、まず「教員の業務負担の軽減」をあげている。学校給食費を学校単位で会計処理(私会計)し、学校給食費の徴収・管理業務を行っている学校では、滞納者が生じると、教員や学校事務職員が督促業務を行う。滞納者への文書による督促が効果を発揮しなかった場合、電話や戸別訪問による督促に移行するが、保護者が仕事などで不在であることが多い昼間(通常の勤務時間帯)は難しく、夜間などに実施せざるを得ない部分がある。組織として督促業務の専門性を有しない学校において、教員が対応することは、肉体的(時間的)にも精神的にも負担が大きいと指摘している。

 公会計化を進めることで教員は当該業務から解放され、授業改善のための時間や児童・生徒に向き合う時間を増やすことができる。ヒアリング調査による地方公共団体の事例では、1校あたり年間190時間の業務削減効果が見込まれるという。

 そのほか、「保護者の利便性の向上」「学校給食費の徴収・管理業務の効率化」とともに、「学校給食費の管理における透明性の向上」「学校給食費の徴収における公平性の確保」「学校給食の安定的な実施」といった効果も期待できると説明している。

 なお、通知では、学校給食費以外の教材費、修学旅行費等の学校徴収金についても、答申を踏まえ、未納者への督促などを含めた徴収・管理を地方公共団体の業務とすることや、学校を経由せずに保護者と業者等の間で支払いや徴収等を行う方法など、学校の負担軽減を図る取組みの推進について、引き続き適切な対応を求めた。

 「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」は、文部科学省Webサイトに掲載されている。

《黄金崎綾乃》

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