学びの平等性と質の向上を追求…エプソンの新プロジェクター

 エプソンは2019年9月11日、ベルサール御成門タワーにてビジネスプロジェクターの新商品記者発表会を開催。インタラクティブ機能搭載モデルの新商品など、全8機種11モデルを2019年9月下旬より順次発売すると発表した。

教育・受験 先生
セイコーエプソン 執行役員 ビジュアルプロダクツ事業部長 内藤恵二郎氏
セイコーエプソン 執行役員 ビジュアルプロダクツ事業部長 内藤恵二郎氏 全 11 枚 拡大写真
 エプソンは2019年9月11日、ベルサール御成門タワーにてビジネスプロジェクターの新商品記者発表会を開催した。ビジネスプロジェクターの高輝度モデル、インタラクティブ機能搭載モデル、サイネージモデルの新商品として、全8機種11モデルを2019年9月下旬より順次発売する。

 記者発表会では、セイコーエプソン執行役員 ビジュアルプロダクツ事業部 内藤恵二郎氏、エプソン販売 取締役 販売推進本部長 中野雅陽氏が登壇。新商品の特長や今後の展開などを説明した。エプソン販売 販売推進本部 VPMD部長 蟹澤啓明氏は質疑応答を担当した。

「学びの平等性と質の向上」に貢献する



 内藤氏による市場の動向や同社の目指す方向性の説明に続き、中野氏の新商品のプレゼンがスタート。空間演出や一般企業向けの高輝度モデル・サイネージモデルに続いて、教育機関向けのインタラクティブ機能搭載モデル「EB-1485FT」が説明された。

 冒頭、同社による実証実験が紹介された。小学校6年生66名を対象に、画面サイズとその見え方を検証。その結果、60型と比較し80型のほうが画面からの書き取りの正答率が約11%も向上したという(正答率は60型は約71%、80型は約82%)。

 中野氏は「やはり画面サイズが大きいほうが、授業の理解度の向上が図れるため、学びの平等性を確保することができるといえるのではないでしょうか」と、教室後方の子どもたちの見やすさまでを確保する大切さを説明した。

 今回発表された新商品「EB-1485FT」は、16:6の超ワイドなディスプレイ表示に対応し、黒板全面の縦横比に合わせた投写が可能になった。これによって、従来よりも教育現場における大画面投写が実現でき、教材や資料などの細かな文字や図表なども鮮明に見ることができる。

 「EB-1485FT」は、プロジェクター本体を移動することなく、画面を左右にスライドすることができる。動画や画像を集中して視聴する場合は、黒板の中心に投写。投写した教材と黒板での板書を併用する場合は、画面を左右にスライドするなど、授業のシーンやスタイルに合わせて、さまざまな活用方法が考えられそうだ。

 また、2つの画面を並べて投写することもできる。片方に書画カメラの画像を写して、もう片方のホワイトボードで説明したり、プログラミングのコードと実際の動きを比較したりと、一度に多くの情報を子どもたちに見せることが可能。中野氏からは「使い方に合わせて画面の投写位置も変更できるので、学びの質も向上できるのではないでしょうか」と、教育現場でのさらなる活用に期待するコメントもあった。

電子黒板を活用するための3ステップ



 教育現場における電子黒板の利用では、操作への不安やどのように活用すれば良いかといった悩みもあるものと思われる。当発表では、電子黒板を活用するための3ステップが紹介された。

 STEP1では、PCと接続せずに既存の教材を活用する。書画カメラなどを利用して既存の教科書や地図などの資料を投写し、先生がわかりやすく書き込むことで子どもたちの理解を促すことがはじまりだ。

 STEP2は、デジタル教科書・教材の活用。黒板上で電子ペンを使ってデジタル教科書・教材を操作する。

 STEP3は、子どもたちが持っているタブレット端末との連携。電子黒板からタブレットに投写画面をワンタッチで送信したり、任意の端末の画面を選択して比較したり、生徒の発表に利用するなど、協働学習のシーンも想定されていた。

使いやすさやスペックも進化



 新商品「EB-1485FT」では、従来製品よりも使いやすさにこだわり、プロジェクターを起動した際に表示されるホーム画面も一新されている。PCやDVDプレイヤーなどの入力機器の画面がサムネイルで表示されるので、入力ソースの切替にも迷わず、その後の投写画面上でも、直感的な操作が可能となっている。

 また、明るいところでは投写する映像が見えにくくなるという危惧もあるが、「EB-1485FT」は、レーザー光源搭載で明るさ5,000lmを実現しており、明るい教室であっても鮮明な大画面映像を写すことができる。先生と子どもたちの双方にやさしいプロジェクターといえるだろう。

教育現場における活用アイデアはさらに広がる



 現在、多くの学校でプロジェクターの導入が進んでいると思われるが、その利用方法の多くが板書の代替となってはいないだろうか。

 たとえば、新商品「EB-1485FT」に、オプションのテーブル可変型ボードスタンドを組み合わせれば、投写画面は、子どもたちが触れることができる高さまで降りてくる。実際に子どもたちが画面に手書きし、ボードを中心に集まって話し合うこともできそうだ。

 そして、こうした議論やワークの結果は、各自のデジタル端末に配信が可能。今までの受け身の授業から、子どもたちが主体的にコミュニケーションを重ねることができるようになり、アクティブラーニングや協働学習の実現が期待できる。

 プロジェクターからコミュニケーションツールへ。教育現場における柔軟な活用のアイデアが広がることを期待したい。

《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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