東京都立高校、初の理数科を「立川」に2022年度設置へ

 東京都教育委員会は2020年3月5日、「都立高校における理数科の在り方に関する検討委員会報告書」を公表し、2022年度(令和4年度)に立川高校へ理数科を設置する考えを明らかにした。特別区についても可能な限り早期に理数科を設置するとしている。

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都立高校における理数科の在り方に関する検討委員会報告書(概要)
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 東京都教育委員会は2020年3月5日、「都立高校における理数科の在り方に関する検討委員会報告書」を公表し、2022年度(令和4年度)に立川高校へ理数科を設置する考えを明らかにした。特別区についても可能な限り早期に理数科を設置するとしている。

 東京都教育委員会では、2019年2月に策定した「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」において理数科の設置に向けた検討が盛り込まれたことを受けて、2019年5月に「都立高校における理数科の在り方に関する検討委員会」を設置。今回、都立高校における理数科の設置理念、育成を目指す生徒像、教育活動の基本的な方針などを報告書に取りまとめた。

 報告書によると、都立高校における理数科の設置理念は「変化し続ける社会において、その変化を捉えて、主体的に社会に参画し、よりよい社会の形成者としてさまざまな分野で活躍する人材を育成する」。育成を目指す生徒像には、「自らが強みとする分野を軸とした幅広い教養を体系的に修得し、それらを基盤として分野の垣根を越えた思考を働かせることができる生徒」などを掲げている。

 教育活動の基本的な方針は、「現在の社会を構成するあらゆる科学技術の根底にある理数系分野の素養の育成に重点を置いた教育課程を編成する」など5つ。具体的な教育の目標(教育内容)では、理数系分野の素養とそれを軸とした教養を基盤に「物事を論理的かつ科学的に思考する力」「媒体を問わず他者に対して正しく表現し、伝達する力」「他者の考えを理解し、差異を前提として最適解・納得解へと導く力」を育成するとした。

 理数科設置の基本的枠組みについては、2019年度現在、多摩地域に所在する普通科の都立高校の中で文部科学省のスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)に指定されている唯一の学校である立川高校が、「都立高校の理数教育をけん引する存在として、都立高校初となる理数科を令和4年度(2022年度)に設置することが適当である」としている。

 また、居住地域に関わらず、都内在住の生徒が理数科に進学する選択肢を担保する観点から、「特別区に所在する学校にも理数科を設置することが必要」と明記。既存の教育理念・教育目標などとの整合性、施設・設備面での受入可能性などに留意したうえで、特別区においても可能な限り早期に理数科を設置するため、設置校を検討する。

 学科の名称については、「理数科」とすることを含めて検討し、個々の学校ごとに学科の特徴や特色を端的に表す名称を付すことが適当だとした。学級規模については、普通科を改編して設置する場合はその一部を改編して設置。専門学科を改編して設置する場合は、趣旨などを踏まえたうえで全部改編も考えられるとしている。

 入学者選抜方法については、公立高校に理数科を設置するほかの自治体の例も参考にしながら、具体的な検討を進める。実際に都立高校の受験を検討する生徒が学校選択の判断材料とできるよう、可能な限り早期に周知を図る必要性も示している。

《奥山直美》

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