【座談会】教育向けプロジェクターに求めるものとは? BenQ「EW800ST」

 「BenQ」のAndroid搭載教育向け短焦点スマートプロジェクター「EW800ST」について、「iTeachers」の小酒井正和先生(玉川大学)と小池幸司先生(教育ICTコンサルタント/俊英館)をゲストに招き、座談会を開催した。

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「iTeachers」の小酒井正和先生(左)と小池幸司先生(右)
「iTeachers」の小酒井正和先生(左)と小池幸司先生(右) 全 5 枚 拡大写真
 GIGAスクール構想が発表され、教育現場でのICT活用が急速に進もうとする中、プロジェクターのニーズが高まっている。「BenQ」が2019年11月22に発売した、Android搭載教育向け反射型DLP方式短焦点スマートプロジェクター「EW800ST」について、教育ICTを通じて新しい学びを提案する教育者チーム「iTeachers」の小酒井正和先生(玉川大学)と小池幸司先生(教育ICTコンサルタント)をゲストに招き、座談会を開催した。

 BenQはDLPプロジェクターのトップブランドで、日本、アジア太平洋、中東、アフリカの4Kホームプロジェクターのシェアで2018年、2019年とNo.1を獲得している。フィルターなしの防塵設計、色劣化なく長時間・長期間にわたり美しい画像を保つ点などから支持されているという。また、電子黒板においても強みをもつことから、世界の教育市場におけるプレゼンスも高い。

 販売元のベンキュージャパンからは、製品担当のプロダクト&マーケティング本部副本部長のJimmy Fan氏、技術営業の横山真光氏が参加した。

コンセプトは「Easy&Smart」



 座談会に先立ち、ベンキュージャパンの横山氏とFan氏は、教育向けスマートプロジェクター「EW800ST」の説明とデモを行った。コンセプトは「Easy&Smart」。簡単にそしてスマートに使えることが「Easy&Smart」の狙いで、教育現場における3つのメリットが提示された。

メリット1:設置も片付けも楽々



 1つ目は「設置も片付けも楽々」。プロジェクター本体の重さはおよそ2.6kgと非常に軽く、持ち運びの負担が少なく、電源ケーブル1本を繋ぐだけで簡単に使用できる。短焦点プロジェクターのため、投影するスクリーンから約1m離れたところに設置すると94.7インチの大画面による映写が実現する。

メリット2:ユーザーフレンドリーな使用感



 2つ目は「ユーザーフレンドリーな使用感」。画像や動画などの教材データが入ったUSBメモリを本体のポートに挿すだけで、PCがなくてもスマートプロジェクター単体で簡単に再生することが可能だ。

 デモでは、実際にデータを入れたUSBメモリをポートに挿入し、写真や動画ファイルを再生した。動画再生では本体スピーカーからの音も鳴る。より高音質を求める場合は、Bluetoothで外部スピーカーに接続すればよい。

 WordやExcel、PowerPointなどのOfficeファイルは表示するだけでなく、本体にキーボードやマウスを接続することで、PCを介さず直接ファイルの修正をすることができる。Excelファイルなどをプロジェクター本体でそのまま修正することができるのは、プロジェクターに限定すると、現時点ではBenQの製品だけであるとFan氏は説明した。

メリット3:マルチデバイス対応



 3つ目は時流に合わせた「マルチデバイス対応」。現在の教育現場では、さまざまなデバイスやOSが混在し、コンテンツを表示するにも切り替えのための準備や扱いに煩雑さがある。このプロジェクターでは、同じWi-Fiネットワークに接続されていれば、パソコンでもスマホでもOSを問わず瞬時に接続することができる。また、デバイスに表示した画面を、ワイヤレスでミラーリングすることが可能だ。

 説明の後、先生方とベンキュージャパンスタッフによる座談会が行われた。

本体だけで自由度の高い活用を実現



小酒井先生:USBメモリを挿入して再生できるファイルの形式を教えてください。

小酒井正和先生(玉川大学)
小酒井正和先生(玉川大学)

Fan氏:PDF、Excel、Word、PowerPointなどが再生可能です。今回、Officeの互換ソフト「WPS Office」をプロジェクターとしては初めて搭載したので、ほとんどのファイル形式はサポートしています。もちろんjpegなどの画像やmp4などの動画ファイル形式にも対応しています。

小酒井先生:授業中に動画を使うことがよくあります。ただし、ファイル自体に動画を埋め込むとファイルサイズが大きくなってしまうので、リンクから動画再生できると良いと思います。リンクを辿ってブラウザでYouTubeを再生することはできますか。

横山氏:(実機で実演しながら)このように問題なくできます。

小酒井先生:検索はいかがでしょうか。

横山氏:プロジェクター本体にあるFirefoxのアプリを開いて、Googleなどで検索することができます。

設置と接続の手軽さが魅力



小池先生:教室ではどのような設置を想定されていますか。

小池幸司先生(教育ICTコンサルタント/俊英館)
小池幸司先生(教育ICTコンサルタント/俊英館)

Fan氏:もちろん天吊や壁掛けでも使用できますが、手軽に持ち運んで教室間で機器をシェアするという利便性もあります。

小酒井先生:私が普段、大学でプロジェクターを使うのは、会議や授業、少人数で集まる会合などの場合ですね。そんなときに、学生が自分のデバイスを代わる代わる接続するのですが、「Macを接続したいけどアダプターを忘れた」「スマホをつなぎたい」など、接続の問題が発生することが多いです。限られた授業時間で、時間のロスは大きな問題です。その意味ではWi-FiでOSに関係なくさまざまなデバイスがつながるのは、たいへん便利だと感じました。

Fan氏:このプロジェクターの利点として、もう一点あげるとすれば、OTA(Over-the-Air)があります。スマートプロジェクターのファームウェアのアップデートがあった場合、インターネットに接続すればすぐに更新できます。機器の保守管理という点でもメリットだと思います。

小池先生:やはり教育現場ではコストと安全性の問題から「設置」が課題になります。天吊だとどうしても工賃がかかってしまい、設置費も入れると製品価格の倍以上になることもあります。持ち運べて、かつワイヤレスで繋がるこうした製品は、学校だけでなく塾のニーズも高そうです。また、ミラーリング機能でケーブルが1本減らせるのは、スペースのない教室にも向いていると思います。

 用途に合わせて電子黒板と組み合わせてこのプロジェクターを使うのも良いと思います。

Fan氏:塾ではどういうプロジェクターが人気でしょうか。

小池先生:最初は、据え置き型で標準焦点のプロジェクターを使いますが、どうしてもケーブルが邪魔で、子どもたちがケーブルに足を引っ掛けるので、「やっぱり短焦点にしたいね」「天吊にしたいね」と徐々に移行していくパターンが多いと思います。

レスポンス良好な使用感



教育向け短焦点スマートプロジェクター「EW800ST」を試す先生方
教育向け短焦点スマートプロジェクター「EW800ST」を試す先生方

小酒井先生:実際に使ってみて、スマホやタブレットからでもかなり速く表示されると思いました。

Fan氏:私たちは、Wi-Fiなどの設定もできるだけ簡単にという方針で設計しています。

小酒井先生:レスポンスが良かったです。また、コントラストもうまく表示されるので、立体的なものを見せるのにも向いていると思いました。動画を授業で使うのには「関心をひきつけるツール」としての目的もありますので、レスポンスやコントラストといった要素は大事ですね。

 また先生方がタブレットの操作に慣れて、プロジェクターに投影できるようになると、高機能な電子黒板は徐々に使わなくなる傾向にあります。手元のデバイスで操作して、プロジェクターに投影したほうが、豊かに表現できるようになるためです。だからこそ、手元のデバイスからのレスポンスが私は一番重視するところで、いかに自分の思ったとおりに表示できるか、そのスペックを重視しています。タイムラグが生じると、授業のテンポが乱されてストレスを感じます。情報端末の活用に慣れている先生方は、おそらく同じように感じるのではないかと思います。

リーズナブルな価格設定



小池先生:天吊のプロジェクターを使用している場合、いざ繋がらなくなったときにどうするか。たとえば、動画が止まることも想定されます。どうしてもうまく映らないときには、ケーブルを引っ張らないといけませんが、手元にプロジェクター本体があれば、すぐに代替策がとれると思います。そうしたトラブル対応も含めて、このプロジェクターはシンプルで軽くて良いと思いました。あとは価格が気になるところですが…。

Fan氏:オープン価格ですが、実勢価格はおよそ12万円前後(2020年3月現在)でしょうか。

小池先生:Androidが搭載されていて、短焦点で明るさは3,300ルーメンならば12万前後は理想的な価格だと思います。工賃やいろんな機能をつけていくとどんどん高くなっていきますからね。

Fan氏:小酒井先生や小池先生のような教育現場の先生方に今後もさらにお話を伺いながら、BenQの製品を通じて、加速していく学校現場のICT化を、さらに充実したものにしていきたいと考えています。本日はさまざまなご意見をありがとうございました。

座談会の出席者
座談会の出席者

進歩したプロジェクターで教育現場をサポート



 BenQの短焦点スマートプロジェクター「EW800ST」は、軽くて持ち運びがしやすいうえに、OSや形状を問わずさまざまなデバイスをワイヤレスで接続。さらにPCを使わずにUSBメモリひとつでデータの表示や修正が可能になるなど多くのメリットをもっている。

 学校の休み時間に、子どもたちが一気に走り出して何らかのケーブルに足を引っ掛けて転んだり、機器を落とすとことがあると聞く。やはり、ICT機器に付随するケーブル類は可能な限り少なく、できればワイヤレスであることが大きなメリットになるのだろう。

 機器の進歩は同時に、活用方法も進化させる。必要な機能を搭載しながらシンプルに進化したプロジェクター「EW800ST」により、学校の内外でどのようなことが実現できるだろうか。先生や生徒児童の豊かな想像力や創造力が、さらにこの製品を進化させるのではないかと期待が高まった。

iTeachers


 教育ICTを通じた「新しい学び」を提案することを目的に活動する、著名な教育関係者12名を中心メンバーとする教育ICTエキスパート集団。YouTubeに「iTeachers TV」を開設し、先生や生徒、教育関係者をゲストに招いて、教育現場における新しいICTの実践や取組みなどの情報を、毎週配信している。すでに配信動画数は220本超、登録者はおよそ2,500名に及ぶ。

《佐久間武》

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