【中学受験2021】安浪京子先生に聞く(1)この塾で大丈夫?転塾する?
予約3年待ちの超人気カリスマ家庭教師で、多くの大手塾で中学受験生を指導をしてきた安浪京子先生に、塾選びや転塾の考え方について聞いた。
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--塾選びのアドバイスをお願いします。
よく、「できる子はサピックス(SAPIX)」で、「熱い体育会系の子は早稲アカ(早稲田アカデミー)」が合っているといわれますが、お住まいの地域によっては通える塾が限られているケースもあります。そうしたときに、まだ体力のない小学生が時間をかけて遠方の塾に行くというのはあまりお勧めできません。
選べる塾がたくさんある場合には、我が子の志望校の合格ボリュームゾーンの多い塾を選びましょう。最難関を狙うならサピックス、中堅校志望なら日能研などの中堅に強い塾となります。つまり、サピックスについていけないお子さんは、最難関を狙うのは難しいともいえます。
ちなみに、学校では上位の成績で、何もせずに学校のテストで8割以上取れるお子さんでないと、一般的な中学受験塾の勉強についていくのは難しいでしょう。
(各塾の特徴や費用については【中学受験の塾選び】SAPIX・早稲田アカデミー・日能研・四谷大塚・浜学園(関西)参照)
--ここでいう最難関、中堅校とはどういった学校を指していますか。
偏差値表をざっくり4段階に分け、上から最難関・難関・中堅・標準としてお話しします。最難関は御三家・渋幕・早慶の女子など、難関は海城・芝・鴎友・頌栄など、中堅校は成城・高輪・共立・山脇あたりとなります。
--科目別に、たとえば算数が得意な子に向いている塾はありますか。
科目の得意・不得意はあまり関係ありません。
算数については、目次やカリキュラムを見てきちんと分野や単元のわかる塾・テキストが良いですね。その意味で浜学園のテキストは使い勝手が非常によいと思っています。入試傾向に合わせてテキストを変更する塾が多い中、浜学園のテキストは基礎力重視なのでどんなに入試傾向が変わっても対応できるテキストだと思います。もちろん、志望校対策は別途必要になりますが。
--学校では成績優秀なのに、塾の成績が伸びずに悩んでいる保護者もいるようです。
塾と学校は、まったくの別ものと考えるべきです。
中学受験塾は小学校の成績上位者の集まりです。学校では学年でトップの成績でも、塾では一番下のクラス、ということも往々にしてあります。
--転塾についてはどうでしょう。
ありですね。たとえば塾の先生とお子さんが合わないケースには転塾を検討してもよいでしょう。ただし、成績が低迷しているからといって転塾しても、成績は伸びません。なぜ成績が低迷しているのか。お子さんの学力や志望校と塾のレベルが合っていなければ、同然点数には反映されません。たとえばサピックスで成績が低迷しているお子さんで、最難関校や難関校を目指しているのでなければ、転塾を考えてもよいと思います。
--難関校に強い塾で成績が伸びなかったので、中堅校に強い塾に転塾して、結果として難関校に合格したという話を聞いたことがありますが、どういうケースでしょうか。
その子には素養があったのに、レベルとスピードの歯車がうまく噛み合わず自己肯定感が下がってしまったのかもしれませんね。転塾によって自己肯定感を取り戻して、本来の実力を発揮できたのではないでしょうか。
--逆に、中堅校に強い塾で上位にいる場合は、難関校に強い塾への転塾を考えてもよいでしょうか。
早稲田中学に行きたいなら早稲アカのNN、開成ならサピックスと学校ごとに強みをもっている塾はありますが、最難関に比較的楽に合格するお子さんは、どこの塾に通っていても受かる素養があるので、転塾を考える必要はありません。その場で全力を尽くすのみです。
結局のところ、勉強している子が勝つのです。
--小規模塾の選択についてはいかがでしょうか。
小規模塾は塾長の方針が明確なので、合う子にはよいけど、合わない子には辛いと思います。好きで馴染めたお子さんにはとてもよいと思います。
一方で大手塾は、小規模塾ほど明確なカラーはありませんが、校舎によって異なることがあります。いわゆる「校長」や「室長」のカラーがある程度出てきます。
塾や校舎もですが、直接指導にあたる先生のカラーの影響も子どもはダイレクトに受けます。また、大きい声で威嚇しながら授業をするスタイルでは、元気な男子には受けがよくても、それを怖いと感じるお子さんもいるようです。
また、お子さんが答えを丸写しにしているのを発見した保護者は叱ったり悲観したりしますが、なぜ子どもが丸写しをいているのかを考える必要があります。単に面倒臭いという理由が大半ですが、丸がついていないと先生に叱られるので、それが怖くてやっていたという例も多々あります。
「良くないこと」が分かったときはお子さんのSOSと受け止めて、しっかり話を聞いてあげてください。
「塾のいうことは絶対」と思われる方が多いですが、学校同様、親の目が届かない場所です。だからこそ、ご家庭と塾とでお子さんを育てていくという意識が必要があります。常に塾が正しいと思わず、お子さんがストレスを感じていることに気がついたら、まずは塾に掛け合うことが大切です。場合によっては思い切って塾をやめるという選択も必要かもしれません。
--理科・社会の成績が伸びない場合は、どうすればよいでしょうか。難関を狙えるようなお子さんは、理社で悩むことはないのでしょうか。
そんなことはありません。苦手だったら、まずは塾の先生に相談し、どのように勉強方法を見直せば良いかアドバイスをもらって下さい。その通りにしても成果が表れないならば、個別指導や家庭教師を検討するのもひとつの手です。
--公立中高一貫校の対策は、専門の塾がよいのでしょうか。
都立に行きたいなら、私立向けの勉強をしてスキルを上げたほうがよいでしょう。
公立はこれといった対策が非常にしにくい入試問題です。学力の高いお子さんは塾に行かなくても受かりますが、昨今は私立向けの勉強をしたお子さんが合格する割合が高くなっています。塾で受験勉強をするのであれば、私立向けの勉強をしたほうがよいと思います。
--ありがとうございました。
塾による特徴はあるものの、お子さんがSOSを発したときには、無理に塾に合わせるのではなく、まずはお子さんの話を聞き、解決することが大切だと、京子先生は話してくれた。親子の二人三脚だといわれる中学受験においては、親子のコミュニケーションが何よりも大切だということではないだろうか。
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《編集部》
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