働くことの優先順位低下、多様性を尊重…世界価値観調査

 同志社大学と電通総研は2020年3月26日、人々の意識の変化について分析する「世界価値観調査」の日本調査の結果を発表した。2010年調査に比べ、「働くことがあまり大切でなくなる」ことを肯定する答えが倍増し、「働く」ことの優先順位の低下が見られた。

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 同志社大学と電通総研は2020年3月26日、人々の意識の変化について分析する「世界価値観調査」の日本調査の結果を発表した。2010年調査に比べ、「働くことがあまり大切でなくなる」ことを肯定する答えが倍増し、「働く」ことの優先順位の低下が見られた。

 「世界価値観調査」は、世界のおよそ100か国・地域の研究機関が参加している、政治観、経済観、労働観、教育観、宗教観、家族観などを調査する国際プロジェクト。同一の調査票に基づいた個人対象の意識調査で、国・地域ごとに全国の18歳以上の男女1,000サンプル程度の回収を基本としている。

 今回、2019年9月に実査した日本調査が完了したため、分析結果を先行して発表した。なお、調査実施時点では新型コロナウイルスの発生は認識されていなかったため、その影響は反映されていない。

 9年前の前回調査と比較すると、生活における仕事の重要度が、2010年の84.2%から2019年には80.0%に減少した。同時に、「働くことがあまり大切でなくなる」ことを「良いこと」「気にしない」とする答えが、合計値で2010年の21.1%から2019年に42.6%に倍増しており、仕事や働くことに対する日本人の意識が顕著に変化したことがわかる。また、40歳未満では合計値が過半数を占めている。

 自分の「人生を自由に動かせる」程度を10段階評価した結果では、「自由になる」と感じる人(6~10と回答)が、2010年調査の50.0%から2019年は58.4%に増加した。特に若年層ほど「自由になる」と感じている割合が高かった。

 調査では、他者に対しても多様性を尊重する方向に変化が見られた。たとえば同性愛について「正しい(認められる)」という回答は2010年の33.2%から2019年は54.4%に増加、「男性の方が経営幹部として適している」では反対意見が2010年42.7%から2019年63.6%に、「男性の方が政治の指導者として適している」では反対意見が2010年37.3%から2019年54.4%となり、それぞれ調査開始以降初めて半数を超える結果となった。

《勝田綾》

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