国際高専生が語る…白山麓キャンパスでの学びにあふれた日々

 2020年7月12日、国際高等専門学校では「ICTオンライン進学説明会」を開催した。他にはないユニークな学びを展開する国際高等専門学校の学びの全容について、国際理工学科長の松下臣仁氏および学生の皆さんを取材した。

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インタビューに応じてくれた国際高等専門学校2年生の皆さん
インタビューに応じてくれた国際高等専門学校2年生の皆さん 全 4 枚 拡大写真
 国際高等専門学校は、石川県に本拠地を置く私立の高等専門学校。開学1年を機に、学校長であるルイス・バークスデール氏にインタビューを行ってから約1年、2020年も新たな学生を迎え、さらに興味深い教育を展開している。他にはないユニークな学びを展開する国際高等専門学校の学びの全容を再び取材した。

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5+4の9年間でグローバルイノベーターを育成



 2020年7月12日、国際高等専門学校(以下、国際高専)では「ICTオンライン進学説明会」を開催した。国際理工学科教授で学科長の松下臣仁氏のお話をもとに、国際高専での教育を今一度概観したい。

 国際高専のいちばんの特徴は、5+4の9年間一貫教育。入学後の2年間は、全寮制の白山麓キャンパスで学ぶ。教職員の半数以上が外国人という環境で、学生、教員、スタッフが生活を共にしながらグローバルイノベーターとしての英語力とエンジニアリングスキルを育成する。3年生は全員、ニュージーランド国立オタゴポリテクニク留学が必修となっている。帰国後は4・5年生の課程を修了し、金沢工業大学の3年次に編入。大学卒業後、同大学院で修士課程を修めるという9年間一貫のカリキュラムだ。

国際高等専門学校・白山麓キャンパスの鳥瞰写真白山麓に広がる広大なキャンパスで伸びやかに学ぶ

 国際高専の国際理工学科は、AI、IoT、ロボティクスにかかわるソフトウエア、ハードウエアなど、基礎的な専門技術・知識を幅広く学びながら、課題発見・解決を目的とするデザイン力を身に付ける学科だ。持続可能な未来社会を作っていく理工系人材の育成を目的としている。

 国際理工学科のカリキュラムの柱は、下記の3つ。

CDIO Standardに基づくカリキュラム
STEAM教育
エンジニアリングデザイン教育

「CDIO Standardとは、Conceive(考え出す)、Design(設計する)、Implement(実行する)、Operate(運営する)の頭文字をとったものです。マサチューセッツ工科大学など世界各国の有名大学や高等教育機関130校が加盟していて、本校もそのひとつです。本校では、座学だけでなく、さまざまな活動を通して、工学の基盤となるサイエンスの知識と実践のスキルをバランスよく体系的に学び、グローバル社会で活躍できるエンジニアに求められる能力を育てていきます」(松下氏)

 「STEAM教育」には多様な定義があるが、国際高専では、S=Science(科学)、T=Technology(技術)、E=Engineering(工学)、M=Mathematics(数学)A=Art(芸術)を横断的に学ぶことによって、複雑化・多様化するさまざまな社会問題を自ら考え解決する力を養っていく教育手法としている。

 国際高専では、STEAM教育のほとんどの授業を英語で行っている。授業は外国人教員と日本人教員とのチームティーチングで行い、入学時の英語力に不安のある学生の学びもサポートしている。

 「本校の教育の特徴のひとつ『エンジニアリングデザイン教育』は、その他の授業で身に付けた基礎的な知識を応用しながら、チームでイノベーション創出に取り組む教育です。共感し、問題を定義し、アイデアを創出し、プロトタイプを制作、そして実験・実証するという、デザインシンキングのプロセスを通して、新たな価値の創出を目指す、課題発見・解決型の教育に、チームで取り組みます」(松下氏)



学生が語る「国際高専での学びにあふれた日常」



 入学した学生の皆さんはどのように感じているのだろうか。国際高専2年生の学生の皆さんにボーディングスクールでの日常や学び、志望動機などを聞いた。

--国際高専を選んだ理由を教えてください。

塩谷さん:僕は日本のインターナショナルスクールに通った後、アメリカの学校に通っていました。帰国することが決まってから、英語で授業をしてくれる学校を探すなかで、母が見つけました。僕は少し日本語を忘れていたこともあり、英語で授業が行われ、日本人とも学ぶことができ、また国際的な教育を行っていることに魅力を感じました。

田中さん:中学から英語や国際交流に興味があり、英語でいろいろな国の人と交流したいと思っていました。そのためには英語力の向上が不可欠です。国際高専は3年生でのニュージーランド留学が必修なので、それに向けて英語力を伸ばすプログラムがしっかり整っています。この環境なら英語力が伸ばせると思いました。

畠中さん:当初ロボットエンジニアになるのが夢でした。英語はものすごく苦手でしたが、これからは日本だけでなく世界各国の人と仕事ができなければいけない、そのためには英語が必須だと思い、英語で工学を学べる国際高専なら夢に近づけると思いました。

--国際高専では1年生から英語で授業が行われますね。授業には最初からついていけましたか。

畠中さん:まったくわからなくて、ついていくのに精いっぱいでした。

田中さん:最初はまったく授業の内容がわからないし、質問をされても答えられず、パニックになることもありました。でも夏休みが終わるころ、いつの間にか耳が慣れて、聞き取れるようになっていました。ただ授業に出ているだけでは英語力は伸びないということもわかったので、授業以外でも積極的に先生に話しかけるなどして、楽しみながら英語力を向上する努力をしています。

インタビューに応じてくれた国際高等専門学校2年生の皆さん「志を持っている子にとっては自分をさらに伸ばせる環境」と話す学生の皆さん

塩谷さん:僕は先ほどお伝えしたとおり、英語ではまったく苦労しませんでしたが、理数系は苦手なので授業内容そのものの理解で苦労しました。でも先生がとても丁寧に指導してくれるし、授業時間外でも相談できるので、とても助かっています。

--入学して2年目、国際高専でどんな力が身に付いたと思いますか。

田中さん:寮生活では、洗濯や掃除など自分のことは自分でしなければなりません。共同生活なので、自分の思いどおりにいかないこともたくさんあります。共同生活を通して、周りの人に気を遣えるようになりました。

畠中さん:国際高専には、白山麓の自然を生かした登山、スキー、スノーボードなど、さまざまな部活動や課外活動があります。授業だけでなく、すべての時間を通して「やりたい」と思うことは何でも挑戦させてくれる環境なので、リーダーシップが身に付いたと思います。

塩谷さん:創造力が身に付きました。自分たちで議論をしたり考えたりする授業が多く、自由に意見を言えます。最初は些細なアイデアでも、自分なりに調べたり、人の意見を取り入れたりしながら、形にしていく。こういう学びの中で創造力が育っている気がします。

--エンジニアリングデザイン教育が国際高専の特徴のひとつですが、具体的にはどんなことをしていますか。

塩谷さん:僕は、白山の過疎地域で「伝統芸能である人形浄瑠璃をいかに継承するか」という課題に取り組んでいます。住民の方と交流する中で、350年も続いてきた文化だということを知り、これが消えていくのは悔しいと思いました。伝統の良さを残しながら新しいものも取り入れ、世界に発信していけたらと思っています。

インタビューに応じてくれた国際高等専門学校2年生の皆さんともに生活している者同士、インタビュー中も和やかな雰囲気で会話する

畠中さん:地域の農家の方々が悩んでいる熊や猪などの獣害をロボットで解決できないかと、金沢工業大学の研究室と共同で取り組んでいます。高専生のうちから大学生と研究に取り組めることはとても刺激があり、学ぶことが多いです。

田中さん:私のチームでは、地元でとれるサツマイモのPRや販売活動を通した地域活性化に取り組んでいます。効果的な売り方やPR方法を考えて、最終的には地域の人にも提案していけたらと思っています。

--国際高専の良さをみんなにアピールするとしたらどんなことを伝えたいですか。

塩谷さん:ゆったりした環境で、自由にやりたいことに取り組めるところが好きですね。先生とも距離が近く、気軽に話ができるのも良いところだと思います。

畠中さん:やりたいと言えば、1年生のときから何にでも挑戦させてもらえること。ロボットコンテストも他校では上級生になってようやく参加できると聞きますが、国際高専では、希望すれば1年生からでもやることができます。学生会や、高専祭などの学校行事で、上級生に交じって活動できるのも良いです。

田中さん:いろいろなことに興味をもっている人がいて、とても刺激になります。「そういう考えもあるんだ」と気付かされることも多いです。座学だけでなく、身体と頭を使って調べたり考えたりする活動が多く、毎日が新しい発見があり、面白いです。

--将来の夢を教えてください。

塩谷さん:スポーツブランドのNIKEで働きたいと思っています。NIKEは、プラスチックごみを使って製品を作ったりしているんです。経済活動を通して社会問題を解決するようなプロダクト作りに関わりたい。僕はストリートカルチャーが好きなので、ストリートカルチャーを媒介としたグローバルなムーブメントを起こしたいとも思っています。

田中さん:まだ具体的なイメージはないですが、英語を使って世界で活躍できる人になりたいです。祖父が日本料理屋を営んでいるので、会社を大きくして、海外にも出店できたら良いなと思っています。

畠中さん:入学当初の夢はロボットエンジニアでしたが、授業を受ける中で、かつてトップだった日本の技術力が、今は諸外国から遅れを取っていることを知りました。あわせて海外企業の良い事例を日本に紹介したり、また逆に、日本の事例を海外に紹介したりして技術や企業そのものの発展をサポートする経営コンサルタントという仕事を知り、そんな仕事がしたいと思っています。

国際高等専門学校・白山麓キャンパス最新の機器を備えた最先端の学習環境

--日々の学びが血肉となっていることが伝わりました。学生の皆さん、ありがとうございました。

 学び方が多様化する今、ボーディングスクールへの注目も高まってきている。日常生活そのものが学びになるようにカリキュラムが設計され、サポートも手厚い。卒業するころ子どもたちは、親が想像するより何倍も大きく成長し、世界へはばたく準備も整っているに違いない。

国際高等専門学校について詳しく知りたい

《石井栄子》

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