男性は仕事時間、女性は子育て時間増加でうつリスク増加

 男性は「仕事時間の増加」、女性は「子育て時間の増加」で、うつ傾向リスクが高まることが、リンクアンドコミュニケーションと東京大学大学院との共同研究で明らかになった、新型コロナウイルスのため「在宅ワークへシフト」した女性のうつ傾向リスクは約26%低いという。

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緊急事態宣言期間の生活習慣の変化に伴ううつ傾向リスク
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 男性は「仕事時間の増加」、女性は「子育て時間の増加」で、うつ傾向リスクが高まることが、リンクアンドコミュニケーションと東京大学大学院との共同研究で明らかになった、新型コロナウイルスのため「在宅ワークへシフト」した女性のうつ傾向リスクは約26%低いという。

 リンクアンドコミュニケーションと東京大学大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野教室の近藤尚己准教授は共同で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令による生活様式の変化について研究している。2020年8月13日、緊急事態宣言中の歩数の変化や、生活習慣の変化とうつ傾向の関連について学術論文を発表した。

 AI健康アドバイスアプリ「カロママ」利用者の、2020年1月1日から5月13日までの歩数データを分析したところ、平日の平均歩数は男性が緊急事態宣言前の8,483歩から7,320歩へと約1,200歩減少、女性が6,017歩から4,917歩へと1,100歩減少していた。

 4月30日から5月8日にかけて、緊急事態宣言前後の生活習慣の変化とうつ傾向リスクの有無についてのアンケート調査を実施したところ、男性の32.4%、女性の45.9%が緊急事態宣言中にうつ傾向にあったことが明らかになった。

 男性は「仕事時間の増加」によりうつ傾向リスクが約3.3倍、女性は「子育て時間の増加」「緊急事態宣言中の歩数の減少」でうつ傾向リスクが約1.3倍となった。また、「在宅ワークへシフト」した女性は、そうでない人と比べて、うつ傾向リスクが約26%低いことがわかった。

 この結果を受けて研究メンバーである東京大学大学院の佐藤豪竜先生は、「東京大学による別の調査報告では、コロナの流行で、父親よりも母親のほうが育児時間が増えたということが明らかになっています。これらの結果も踏まえ、父親も育児のサポートに回れるような柔軟な働き方や在宅育児サービスを充実させることが重要であると思われます」とコメント。

 また、「『新しい生活様式』のもとでは、日頃から歩数などの生活の変化を記録し、活動量が減ったときは運動をしてみるなど、健康アプリの活用も心身の健康を保つうえで大切になるかもしれません」とも述べている。

 なお、今回公表された調査結果は、新型コロナウイルスによる生活変化の影響をいち早く発信するため、プレプリントサーバー(SSRN)において公表されたものであり、査読(同研究分野の別の専門家による評価)を経ていないため、留意が必要だという。今後、査読付きの学術誌へ掲載予定だとしている。

《外岡紘代》

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