SB C&Sに聞く、子どもファーストの1人1台環境にプラスすべきMDMの機能

 文部科学省標準仕様に対応したVMware(ヴイエムウェア)社のMDM「Workspace ONE(ワークスペースワン)」を提供しているSB C&S 小野坂颯氏に、教育現場におけるMDMの役割、およびWorkspace ONEの特長について聞いた。

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SB C&S「Windows for GIGAスクール VMware Workspace ONE 版」と「iPad for GIGAスクール VMware Workspace ONE版」
SB C&S「Windows for GIGAスクール VMware Workspace ONE 版」と「iPad for GIGAスクール VMware Workspace ONE版」 全 14 枚 拡大写真
 多様な子どもたちの力を最大限に引き出す教育環境の実現に向けて、小中学生に1人に1台の学習用端末と、高速大容量ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」。2019年12月に文部科学省から発表され、2023年の達成を目標にしていたこのプロジェクトは、新型コロナウイルス感染拡大による休校措置を受けて計画が前倒しされ、2021年3月末までに進められることになった。

 今まさに学校現場では急ピッチで整備が進められているところだが、子どもたちひとりひとりに個別最適化された学びを提供するために必須となるのが「MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)」だ。文部科学省標準仕様に対応したVMware(ヴイエムウェア)社のMDM「Workspace ONE(ワークスペースワン)」を提供しているSB C&Sの小野坂颯氏(ICT事業本部 販売推進・技術本部 販売推進統括部 仮想化クラウド販売推進部 プロフェッショナルサービス課)に、教育現場におけるMDMの役割、およびWorkspace ONEの特長について聞いた。

SB C&S 小野坂颯氏
SB C&S 小野坂颯氏

コロナで前倒しになったGIGAスクール構想の基礎知識



--GIGAスクール構想の概要について教えてください。

 GIGAスクール構想の「GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取ったものです。ICTを活用して子どもたちひとりひとりがいつでも、どこでも、誰とでも学ぶことができる「1人1台端末」の実現を目指し、文部科学省が新たに打ち出した施策です。GIGAスクール構想は、「ハード(ICT環境整備)」「ソフト(デジタルならではの学びの充実)」「指導体制(指導者養成等)」の3本柱のもと、我々のような民間企業も支援・協力に入るかたちで進められています。このうちハード面に関して、「校内LAN(および電源キャビネット)」と「1人1台端末」の整備が一体的に進められています。

--1人1台端末の整備は順調に進んでいるのでしょうか。

 当初は2023年の達成を目指していましたが、新型コロナウイルスによる休校措置、および遠隔授業へのニーズの高まりから、GIGAスクール構想の前倒し実施が決まりました。今年度内の完了を目指すにあたり、端末1台あたり4.5万円の補助金が交付されます。これを受けて、弊社へも4月以降、全国の自治体や学校法人からのお問合わせが増えています。

「GIGAスクール構想の実現」とは~学校情報化の目的と概略~(令和2年5月)
--SB C&Sではどのような支援・協力をしていますか。

 弊社ではGIGAスクール構想の標準仕様書に準拠した端末・キーボード・MDMをセットにした「Windows for GIGAスクール VMware Workspace ONE版」および「iPad for GIGAスクール VMware Workspace ONE版」をご提供しています。「基本パック」はそれぞれ45,000円(税込)で、補助金の範囲内でご購入いただけます。

 ヴイエムウェアのWorkspace ONEは、MDM導入がこれからの教育現場ではあまり馴染みがないかもしれませんが、世界的には実績が豊富な製品です。弊社はヴイエムウェア認定ディストリビューター(販売代理店)として国内No.1の実績とサービスを自負しており、1万社の弊社販売パートナーの中でも教育に強いパートナーとタッグを組んで進めています。

「管理」と「学び」は両立できる?
Workspace ONEが実現するMDMとは



--Workspace ONEのGIGAスクール対応について教えてください。

 GIGAスクール構想の標準仕様では、端末を適切に運用するために最低限必須な設定として「端末管理ツール」の機能を定義しています。Workspace ONEでは、標準仕様に基づいて以下の機能を備えています。

1.紛失盗難時のセキュリティ


 端末のロックやデータ消去が可能。迅速な端末保護で情報漏洩などのリスク軽減

2.端末機能制限


 児童生徒や学習に不適切な機能やアプリを制限。授業に集中できる学習環境を提供

3.Wi-Fi設定の配信と制御


アクセスポイントを端末へ配布。校内Wi-Fiへの自動接続により円滑な活用環境を提供

4.アプリケーション配信


 学習教材アプリを端末へ一括配信。児童生徒や管理者の手を煩わすことなく効率的な配備が可能

GIGAスクール構想1人1台端末 安心安全な学習環境を強力に支える“VMware Workspace ONE” 資料より
 ここで注意していただきたいのは、標準仕様は“端末を管理する”ということに重きを置いている点です。もちろんWorkspace ONEは端末管理にも強い製品ですが、実際に管理する先生方が運用する、そして子どもたちが使いこなすところまでカバーすることが重要だと我々は考えています。

--運用に関わるWorkspace ONEのMDMについて教えてください。

 小学校低学年・中学年にはタブレット、高学年や中学校にはノートPCを配布するなど、児童生徒の学びに応じてデバイスを選定する教育委員会や学校が多いと思います。Workspace ONE のGIGAスクールには、iPad OSとWindowsという異なるOSをまとめて管理する「マルチデバイス管理」の機能があります。

GIGAスクール構想1人1台端末 安心安全な学習環境を強力に支える“VMware Workspace ONE” 資料より
 「管理の仕組みが決まっているからこれ以上は対応できない」というサイロ化した管理では、子どもの創造性に制限をかけかねず、「何のためのICT環境?」となってしまいます。企業の複雑な組織構造に対応してきたWorkspace ONEであれば管理負荷を軽減しながら、教育現場のニーズにも応えてくれます。

 さらに、ほとんどの自治体でおそらく必要になってくるのが「階層管理」です。教育委員会に紐づく組織には、小学校もあれば中学校もありますし、教育委員会の組織自体も県・市と階層構造になっています。それぞれ担当者や管理の方法が異なり、「小学校ではこのアプリケーションを使うが、中学校では使わない」、あるいは「この学校のプリンターはこの機種だが、こっちの学校は別の機種を使っている」など、教育委員会に紐づくすべての組織に同じ設定を適用できないケースがほとんどだと思います。だからといって組織ごとに管理ツールを分けてしまうと、本来1回で済むはずの設定を、組織の数だけ行う必要が生じ、管理工数がどんどん積み上がってしまいます。

GIGAスクール構想1人1台端末 安心安全な学習環境を強力に支える“VMware Workspace ONE” 資料より
 Workspace ONEの階層管理は、組織全体で統一の仕様を保ちつつ、学校ごとあるいは学年ごとに独自のアプリケーションやドライバー、セキュリティポリシーを細かく設定できます。

 端末のOSが違う、組織ごとの設定も違う、それでも一元的に管理できるのがWorkspace ONEの大きな強みです。この点を評価して採用を決められる自治体も多くいらっしゃいます。

--休校措置で重要性が増した遠隔授業についてはどうでしょうか。

 やはり新型コロナウイルスの影響は大きく、遠隔授業を視野に入れて検討される自治体様も多くなっています。たとえばWeb会議システムを使って遠隔授業を行ったり、児童生徒がオンライン上で協力し合ってプレゼン資料をつくったり、あるいは文書や画像、映像をインターネット上で公開したりと、ICTを活用することでリモート環境での学びが可能になります。このときにネックとなるのが「認証」です。

GIGAスクール構想1人1台端末 安心安全な学習環境を強力に支える“VMware Workspace ONE” 資料より
 さまざまなクラウドサービスを利用するたびにIDとパスワードを入力するのは大変ですし、その情報を子どもたちが管理するのもリスクが高まります。Workspace ONEは各種アプリケーションに自動ログインできる「シングルサインオン」機能を備えており、高いセキュリティと利便性の両方を実現します。認証機能はGIGAスクールではオプション機能でご利用いただけます。

--WindowsアップデートなどOSやソフトウェアの管理はスムーズに運用できるのでしょうか。

 Windows端末を採用する場合は、OSアップデートの管理も必要です。Windows 10には年2回の大型アップデートがありますから、それが授業中にいきなり実行されてしまうと、校内ネットワークのトラフィック(通信量)が増え、その授業ばかりでなく他の授業の中断も招く危険があります。

 だからといってアップデートしないままでいると、悪意のあるソフトウェア(マルウェア)が侵入するリスクがあります。OSが最新でない端末を子どもが持ち帰り、自宅のWi-Fiに接続したとします。もしその端末にマルウェアが侵入し、同じWi-Fiに接続している保護者の端末にも感染したら、会社のネットワークに接続するなり社内にウイルスが蔓延する、といったことが起こらないとも限りません。

 こうしたリスクを回避するためにも、放課後や休日の時間帯を使って早めにアップデートできるようにするなど、スケジュール管理の機能が必要です。Workspace ONEは、そうしたOSやソフトウェア更新の日時なども一括で管理することができます。

子どもファーストのSB C&S特別パッケージ
導入までの流れ



--何から手を付けるのがベストなのかわからない…という悩みが教育の場のあちこちで発生しているのではと思います。SB C&Sが提案する最適なパッケージについて教えてください。

 弊社が提供する「Windows for GIGAスクール VMware Workspace ONE版」および「iPad for GIGAスクール VMware Workspace ONE版」は、端末・キーボード(iPadの場合。ケース一体型か有線式か選択可)・Workspace ONE(5年間の利用権とシステム障害対応保守込)をセットにした商品です。GIGAスクールの標準仕様に対応した「基本パック」のほかに、タッチペンやプログラミング教材、クラウドストレージなどを組み合わせられる「応用パッケージ追加プラン」もご用意しています。

Windows for GIGAスクール VMware Workspace ONE版の基本パッケージ構成
Windows for GIGAスクール VMware Workspace ONE版の基本パッケージ構成

iPad for GIGAスクール VMware Workspace ONE版の基本パッケージ構成
iPad for GIGAスクール VMware Workspace ONE版の基本パッケージ構成

 「GIGAスクール構想の標準仕様をクリアしていればいい」という基準で端末やMDMを選定すると「実際の運用が始まったら大変なことが起こる」というのが、我々が感じている危機感です。管理のために学びが制限されることはあってはならない、“子どもファーストの1人1台”であってほしいと願っています。

--実際に導入する際はどのような流れになりますか

 基本的な流れとしては、最初にヒアリングを行った後に弊社で環境構築を行い、キッティング(端末の設定やアプリケーションのインストールなどのセットアップ作業)に入ります。目安としては、ヒアリングが1~2週間、環境構築が2営業日、キッティングは台数や設定内容によって異なりますが、ご希望の納品スケジュールに合わせて納品できるよう、スピード感をもって進めています。

--ヒアリングではどのようなことを決めますか。

 GIGAスクール標準仕様の項目に沿って設定する内容を伺います。階層管理に関しては自治体様によって事情がかなり違ってきますので、具体的にどういったグループや階層にするかをしっかりお聞きして、Workspace ONEの環境構築に入っています。

 導入後のサポートについては、メーカーの製品サポートだけでなく、弊社からは導入時に運用教育をさせていただくとともに、運用マニュアルをご提供しています。また販売パートナーのほうで独自のサポートメニューをもっているところもあります。

デジタルネイティブの子どもたちの可能性を広げていく



--1人1台端末の整備が前倒しになり、今年度の教育現場はハード面の整備に終始しそうです。

 GIGAスクールをハード、ソフト、指導体制を三位一体で進めていくのがもちろん理想ですが、今年度中の到達点としてはハード面の整備までで、運用面は、最初はツギハギでも来年、再来年と、ツギハギにしっかりと“パッチ”をあてていけばよくて、ソーシャルディスタンスが求められる今、まずは場所にとらわれず、どこにいてもしっかり学べる環境をつくっていくことが求められていると思います。

 弊社は総合ディストリビューターとして40万点、ICT関連だけでも30万点の周辺機器や教材などを扱っています。ご要望をおっしゃっていただけたらほとんどご用意できる体制を整えていますので、「こういう授業がしたい」と弊社販売パートナーにお伝えいただければ、必要な機材をご提案させていただきます。

--最後に、日本の子どもたちの学びのスタイルについて、どのようなイメージをおもちですか。未来の子どもたちへの思いを教えてください。

 教室に全員で集まる学習スタイルから、お互いに離れた場所で一緒に学んだり、インターネットを使って自分で学習したり、そこでは必ずICTが当たり前のように使われるようになると思います。

 大人には想像し得ない使い方を生み出すのが子どものすごいところで、それは昔も今も変わりません。子どもの豊かな想像力や発想力をどんどん広げて、新しい価値を生み出していってほしいですし、GIGAスクール構想がそうした子どもたちの未来の可能性を広げるきっかけになっていくと思います。

--ありがとうございました。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校措置で、学校と児童生徒をつなぐICTの重要性が認識されることになった。日本財団が全国の17~19歳に2020年5月に行った意識調査では、「休校により、もっとも困ったこと」の1位が「学業」であった。ICTの活用を試みた結果、初めてのオンライン授業に対する戸惑いや、ネット環境の悪さなど、さまざまな不安を感じたようだ。

 しかしながら、何もできなかった学校よりも、できることからやってみた学校のほうが、はるかに多くの貴重なことを得たのではないだろうか。GIGAスクール実現に向けて、すでにさまざまな課題が聞こえてくるが、学校自体の教育の可能性を広げることにつながってほしい。

SB C&Sがお勧めするヴイエムウェアソリューション

GIGAスクール構想1人1台端末 安心安全な学習環境を強力に支える“VMware Workspace ONE” 資料より
子どもたちの未来の可能性を広げる

《柏木由美子》

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