いじめ、過去最多61万2,496件…小学校で増加傾向

 文部科学省は2020年10月22日、「2019年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公開した。いじめの認知件数は、前年度より6万8,563件増え、過去最多の61万2,496件となった。小学校で増加傾向が続いており、特に低学年で多い状況にある。

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いじめの認知(発生)件数の推移
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 文部科学省は2020年10月22日、「2019年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公開した。いじめの認知件数は、前年度より6万8,563件増え、過去最多の61万2,496件となった。小学校で増加傾向が続いており、特に低学年で多い状況にある。

 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」は、児童生徒の問題行動や不登校などについて今後の生徒指導施策推進の参考とするため、文部科学省が毎年実施している。調査対象は、国公私立小・中・高校・特別支援学校、都道府県・市町村教育委員会。

 小・中・高校、特別支援学校におけるいじめの認知(発生)件数は、前年度比6万8,563件増の61万2,496件。1985年度の調査開始以来、過去最多を更新した。学校別では、小学校が48万4,545件(前年度42万5,844件)ともっとも多く、全体の約8割を占めた。学年別では、「小2」が9万6,416件と最多、ついで「小3」9万1,981件、「小1」8万7,759件と、低学年が多くなっている

 いじめを認知した学校数は、前年度比534校増の3万583校。全学校数に占める割合は82.6%。いじめの現在の状況は、「解消しているもの(日常的に観察継続中)」が83.2%を占めた。いじめ発見のきっかけは「アンケート調査など学校の取組みにより発見」が54.2%と、もっとも多かった。いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する重大事態の発生件数は、前年度比121件増の723件であった。

 いじめの態様は、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が61.9%と最多。ついで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする」21.4%、「仲間はずれ、集団による無視をされる」13.7%など。「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」は、前年度比1,590件増の1万7,924件で、全体の2.9%だった。

 小・中・高校における暴力行為の発生件数は、前年度比5,847件増の7万8,787件。学校別では、小学校が前年度比7,078件増の4万3,614件、中学校が前年度比802件減の2万8,518件、高校が前年度比429件減の6,655件。中学校と高校で減った一方、小学校では増加傾向が続いている

 小中学校における長期欠席者数は、前年度比1万5,755人増の25万5,794人。このうち、不登校児童生徒数は前年度比1万6,744人増の18万1,272人。不登校児童生徒の割合は、前年度より0.2ポイント増の1.9%。

 高校における長期欠席者数は、前年度比3,803人減の7万6,949人。このうち、不登校生徒数は前年度比2,623人減の5万100人。不登校生徒の割合は、前年度と同じ1.6%。

 高校の中途退学者数は、前年度比5,712人減の4万2,882人。中途退学者の割合は、前年度より0.1ポイント減の1.3%。小中高校から報告があった自殺した児童生徒数は、前年度の332人より減ったものの317人と、2年連続で300人を超えた。

《奥山直美》

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