早大生が小学生時代から8年参加し続ける、J-POWERエコ×エネ体験の魅力

 小学校のころエコ×エネ体験ツアーに親子で参加したことがきっかけのひとつになり早稲田大学理工学部に進学。現在3年生の大石実奈さんと、立ち上げから13年にわたりプロジェクトを支えてきたJ-POWERの藤木勇光氏、多比良重誠氏に、唯一無二の体験の魅力を語ってもらった。

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早大生が小学生時代から8年参加し続ける、J-POWERエコ×エネ体験プロジェクトの魅力
早大生が小学生時代から8年参加し続ける、J-POWERエコ×エネ体験プロジェクトの魅力 全 13 枚 拡大写真
 J-POWERグループが「エネルギーと環境の共生」をめざして取り組んでいる社会貢献活動“エコ×エネ体験プロジェクト”。2007年に開催した小学生親子対象の水力編@奥只見ツアーから始まった本プロジェクトは、同じく小学生親子対象の水力編@御母衣ツアー、高専・大学生・大学院生対象の水力編@奥只見ツアー・火力編@磯子ツアー、学生や社会人対象のエコ×エネ・カフェ、ワークショップやイベントなど、多彩なプログラムが追加され、おおいに広がりをみせている。

 小学校のころエコ×エネ体験ツアーに親子で参加したことがきっかけのひとつになって、早稲田大学理工学部に進学。現在3年生の大石実奈さんと、立ち上げから13年にわたってエコ×エネ体験プロジェクトを支えてきたJ-POWERの藤木勇光氏、多比良重誠氏に、このツアーの魅力について語ってもらった。

大自然の中で、発電の仕組みを体感



--小学生のときにJ-POWERエコ×エネ体験ツアーに参加したきっかけを教えてください。

大石さん:もともとキャンプをしたり旅行をしたりすることが大好きな家庭で育ち、私自身も物心ついたころから自然と触れ合うのが好きでした。さらに低学年から実験教室に通っていて、実験やちょっとした解剖なんかも好きだったんです。そんな小学校生活を送っていた5年生のとき、小学生新聞で目にした「エコ×エネ体験ツアー」は、自然探索もできる、発電の仕組みを再現するといった実験の要素もあるという内容で、私の興味にどストライク(笑)でした。ぜひ参加したいと思って母に相談して応募しました。振り返ってみると、今につながる私の探究心や好奇心の源は、この子どものときの体験だと思います。行きたい場所や、やりたいことを全部叶えてくれた両親には本当に感謝しています。

2011年「エコ×エネ体験ツアー水力編 御母衣 小学生親子ツアー」に参加した当時の大石さん親子
2011年「エコ×エネ体験ツアー水力編 御母衣 小学生親子ツアー」に参加した当時の大石さん親子

--アクティブなお母様とふたりで旅行をすることも多かったそうですね。お母様と一緒に参加された最初のエコ×エネ体験ツアーのときの記憶に残っているエピソードを教えてください。

大石さん:私が参加したのは、岐阜県大野郡白川村「御母衣発電所」をめぐる「水の旅をたどって学ぶ 自然と電気」体験学習ツアーでした。初日の一番初めに、下から見上げた御母衣ダムの大きさに圧倒されたのを今でも覚えています。中でも印象的だったのは、2日目に行った、自分たちの力で水力発電に挑戦するというワークショップです。それまでは「水が高いところから低いところへ落ちるときの力を利用して、水車(タービン)を回して電気をつくる」という水力発電の説明を聞いても、いまいちイメージができていなかったのですが…。実際に、自分たちで川の水をせき止めてダムをつくり、水の流れで水車をまわしてみたことで、ダムと発電の仕組みが頭の中でつながったのです。仲間と協力して「もっといい場所を探そう」「水の勢いを強くしてみよう」「落差をつけてみよう」と何度も何度もチャレンジして、電気が光った瞬間は本当に感動しました。

2011年「エコ×エネ体験ツアー水力編 御母衣 小学生親子ツアー」にて。川で水力発電の実験をしているようす。
2011年「エコ×エネ体験ツアー水力編 御母衣 小学生親子ツアー」にて。川で水力発電の実験をしているようす。
2011年「エコ×エネ体験ツアー水力編 御母衣 小学生親子ツアー」にて。川で水力発電の実験をしているようす

 それと同時に、コンセントを差し込んで毎日当たり前のように使っていた電気は、実は当たり前に存在するものじゃない、自然や人の力で生み出されているものなんだという感覚を体感しました。このワークショップをきっかけに芽生えた「電気を大切に使おう」という意識はそれからずっと残っています。

--藤木さんは、大石さんと一緒に2011年のツアーに参加されていますが、当時のツアー内容について教えてください。

藤木さん:日本初の大規模ロックフィルダム(石や土砂、粘土を積み上げてできているダム)である御母衣ダムの見学に始まり、普段は立ち入ることができない発電所の内部に潜入したり、世界遺産である白川郷合掌集落の散策、ドクターこと、元ジェイペックの高倉弘二氏(高倉環境研究所)やサポートメンバーと一緒に夕食後に実験や、レクリエーションをしたり、参加者同士の交流会など初日から盛りだくさんでした。トヨタ自然学校に泊まって、おいしい夕食を食べて…、2日目は早起きをして源流の森へ行きました。ブナ林をハイキングしながら、水力発電に欠かせない森の大切さを学びました。

2011年のエコ×エネ体験ツアー 御母衣親子ツアーB日程当日案内
2011年のエコ×エネ体験ツアー 御母衣親子ツアーB日程当日案内

 そして、大石さんの話してくれた、仲間と協力して水力発電に挑戦するワークショップを目玉に、参加してくれたみんなの笑顔が絶えない2日間だったことを覚えています。

--濃密なツアーですね。エコ×エネ体験ツアーの参加前、参加後で興味をもつことに変化はありましたか。

大石さん:それまでは、自然や生物にハマっていて生き物の図鑑ばかり眺めていたのですが、エコ×エネ体験ツアーに参加したことをきっかけに、電気やエネルギーも面白いなと気が付きました。電子レンジなどの電化製品はもちろん、身のまわりにある、あらゆるものが電気と関係していることに目が向くようになり、太陽光発電にも関心をもつようになるなど、興味が広がっていきました。

 実は、中学生のときにも横浜・磯子火力発電所への日帰りツアーへ、高校生のときは、大学生に交じって、母と一緒に地熱発電をテーマにしたエコ×エネ・カフェに参加しています。このときは、地熱エネルギーを農業に活用するといった難しい内容でしたが、知らないことを知ることができる、自分にとっての大きな刺激でした。

幅広い学びを深めるべく、早稲田大学の理工学部へ



--小学生からの興味を発展させて、中高生ともにエコ×エネ体験プロジェクトに参加し、学びを深めていった大石さんですが、どのような理由から早稲田大学理工学部に進学を決めたのでしょうか。

大石さん:電気やエネルギーにも、生命の分野にも興味があって絞れないなぁと思っていたところ、その両方を学ぶことができる“電気情報生命工学科”というのがあることを知り、「これなら興味のある分野をすべて学べる!」と迷わず進路を決めました。

--受験勉強は大変でしたか。

大石さん:英会話は得意なのですが、英文法が苦手なので苦労しました。苦手な科目を勉強するのは苦痛でしたが、集中力が持続する時間は限られているので、勉強するときはする、休むときは休む、といったメリハリを意識して乗り切りました。

 現在、大学では電気回路の仕組みや、PythonやC言語を用いたプログラミング、免疫学や薬学、生命や遺伝学など幅広い分野を学んでいます。勉強や課題はとても大変ですが、好きなことなので楽しいですね。

--2018年の夏、ご自身は4度目となるエコ×エネ体験プロジェクトの企画で、大学生向けのエコ×エネ体験ツアーに参加されましたが、その目的は小学生のころから変化しましたか。

2018年「エコ×エネ体験ツアー水力編 奥只見 学生ツアー」にて。参加者がディスカッションをしているようす
小学生親子ツアーとは違い、仲間同士でディスカッションをしたり、
意見交換をしたりしてお互いの学びを深める時間が多いことが学生ツアーの魅力

大石さん:大学生になり知識も増えて考え方も変化しているので、小学生のころとは、発電やエネルギーに対する感じ方が違うのではないかと思い参加しました。小学生のころの親子ツアーでは、あくまで体験が重視で、参加者同士でじっくり話し合ったりする時間はあまりなかったのですが、大学生になってから参加したツアーでは、2泊3日の日程のなかで、仲間同士でディスカッションをしたり意見交換をしている時間がほとんど。自分とは違う、新しい考えや視点に出会ったり、ほかの同年代の人の意見を聞いて理解を深めたり、周りの影響を受けながら得たものが多かったですね。

2018年「エコ×エネ体験ツアー水力編 奥只見 学生ツアー」にて。森の中で
2018年「エコ×エネ体験ツアー水力編 奥只見 学生ツアー」の集合写真
2018年「エコ×エネ体験ツアー水力編 奥只見 学生ツアー」のようす

参加者の成長を感じられる喜び



--エコ×エネメンバーのみなさんは、成長した大石さんと再会したとき、どんなお気持ちだったか教えてください。

藤木さん:2007年にスタートした私どものエコ×エネ体験ツアーですが、立ち上げ当初は、小学生は日帰り、大学生でも1泊と忙しいツアーでした。参加者の声を取り入れながらどんどん内容を充実させていき、よりよい体験になるよう改善を繰り返して今に至ります。運営に携わる者として、当初から「親子ツアーに参加した小学生が、大きくなって大学生ツアーにも参加してくれるようなプロジェクトに育てられたらいいよね」とスタッフ同士で話していたので、小学5年生で親子ツアーに参加してくれた大石さんが、中学、高校、そして大学生となった現在も、電気やエネルギーに関心をもって、私どもと一緒に学んでくれているのは本当にうれしいです。

2018年「エコ×エネ体験ツアー水力編 奥只見 学生ツアー」で再会した藤木さんと大石さん
2018年「エコ×エネ体験ツアー水力編 奥只見 学生ツアー」で再会した藤木さんと大石さん

 実は、大石さんが初めて参加してくれた2011年というのは、私たちにとっても印象深いというか、忘れられない年でした。東日本大震災や原発事故があり、こういう状況下でこのツアーを続けていいのかという葛藤もある中で「自然と発電の関係をより深く考えるきっかけになれば」とプロジェクトの継続を決めた年でした。さらに新潟県の集中豪雨被害により、当初予定していた7月のツアーが中止になり、関係機関の協力を得て代替日程でツアーを実施したりと、自然を前にいろいろなことがあった1年でした。

 あれから8年、成長した大石さんにまた会えたことは、エコ×エネ体験ツアーを続けていく私たちにとっても大きな励みになります。これからも持ち前の好奇心と行動力でまわりを巻き込んでいくような、素敵な女性になってほしいと思っています。

2018年「エコ×エネ体験ツアー火力編 磯子 学生ツアー」の集合写真
2018年「エコ×エネ体験ツアー火力編 磯子 学生ツアー」の集合写真

これからも、興味の対象を追求したい



--大石さんの成長を、エコ×エネプロジェクトのメンバーの皆さんが見守ってくれているようで心が温かくなりますね。そんな大石さんの将来の夢を教えてください。

大石さん:夢は…まだ決まっていないんです。好奇心が強すぎて、興味の分野を広げ過ぎてしまったのかな(苦笑)。電気やエネルギーに関わる仕事にも興味があるし、情報、生命の分野も面白いと思っています。日本だけではなく世界に目を向けて、留学もしてみたいので大学院に行くという選択肢も考えています。小さなころから両親が「自分で決めなさい、自分でやりなさい」と言って支えてきてくれたので、ひとつひとつ自分で決めて、本当にやりたいこと、好きなことにつながるようなことを仕事にしていきたいですね。

--最後になりますが、コロナの影響などもあり、子どもたちの屋外活動や実体験の機会は減ってしまっていると思います。エコ×エネ体験プロジェクトのメンバーを代表して、未来を担う子どもたちへメッセージをお願いします。

多比良さん:人類は、病気や自然災害を克服しながらここまでやってきました。困難に立ち向かうことで、衣食住をより豊かなものに発展させてきたともいえます。今、コロナ禍で大変な時期を迎えていますが、ひとりひとりが意識・行動することできっと困難を克服できると信じています。今この不自由な状況に負けないように、お父さんやお母さん、周りの人への感謝を忘れないで、大石さんのようにいろいろなことに興味をもって、自分の夢に向かって進んでいってほしいと思います。そんな皆さんと、エコ×エネ体験ツアーでお会いできることを楽しみにしています。

--ありがとうございました。

 「人と会って、その人の考え方や、やりたいことを聞くのが好き」そう語ってくれた大石さん。エコ×エネ体験ツアーに参加し、人と意見を交わすことを通じて机上では得られない多くのことを学んだという。“体験・協働・学び合い”と“楽しむこと”をキーワードにした、唯一無二のエコ×エネ体験プロジェクト。その魅力と、それをバックアップするスタッフの熱意が伝わってくるインタビューだった。

熱いスタッフから、メッセージ動画公開中



 エコロジーとエネルギーについて一緒に考え、学び合う仲間に出会える日を、毎年楽しみに待っている熱いスタッフたち。未来を担う子どもたちに今、スタッフが伝えたい言葉を紡いだリレーメッセージ動画が公開されている。



 エコ×エネ体験ツアーがまた安心・安全に開催できる日まで、これまでのツアーレポートや、オンラインで開催されるエコ×エネ・カフェを楽しんでいただきたい。奥只見・御母衣の大自然を想像しながら、たくさんのエネルギーを貯めておこう。

J-POWERのエコ×エネ体験プロジェクト
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《吉野清美》

吉野清美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、子育てとの両立を目指しフリーに。リセマムほかペット雑誌、不動産会報誌など幅広いジャンルで執筆中。受験や育児を通じて得る経験を記事に還元している。

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