成人女性の肥満、子ども時代の被虐待体験も影響…神戸大

 成人女性の肥満の原因として、現在の個人の社会経済的な状況のほかに、子ども時代の経験、特に被虐待体験が関わっていることが、神戸大学大学院医学研究科が2020年11月26日に発表した研究結果より明らかになった。

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図1の項目「子供時代の逆境」の肥満リスク比詳細
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 成人女性の肥満の原因として、現在の個人の社会経済的な状況のほかに、子ども時代の経験、特に被虐待体験が関わっていることが、神戸大学大学院医学研究科が2020年11月26日に発表した研究結果より明らかになった。

 神戸市は、2018年に20歳以上65歳未満の市民2万人を対象に、生活状況や健康課題に関するアンケート調査を実施。神戸大学大学院医学研究科健康創造推進学分野の田守義和特命教授らの研究グループは、調査の有効回答のうち研究へのデータ利用許可を得た5,425件の結果をもとに、「万病の元」と言われる肥満がどのような個人の生活背景と関連するかを検討した。

 肥満の割合は女性10.6%、男性27.2%と男性のほうが多く、これは日本全体での傾向と同じ。女性では、肥満の成立に影響すると予測されるのは、婚姻状態、世帯の経済的状況、学歴、子ども時代の逆境経験だった。一方、男性では調査したいずれの項目でも統計学的な差はなかった。子ども時代の逆境体験の具体的な内容としては、親からの身体的暴力、食事や衣服を適切に与えられないこと、親からの侮辱や暴言によって心が傷ついたことなどがあげられた。

 研究結果を受け、田守教授は「小児期の生育環境は、社会経済的要因とは別に、ホルモン分泌などの『体の変化』(生体機能変化)を通じて『肥満しやすさ』を生む可能性があります。このような変化の実態は明らかではありませんが、その影響が男女間で異なることもあり得ると考えられます」とコメントしている。

 なお、子ども時代の被虐待体験が成人女性の肥満と関連することが示されたのは、日本においては初めてのこと。児童虐待に対する取組みの強化などを通じて、児童福祉の増進を図ることは、肥満の予防にも繋がる可能性が示された。

《桑田あや》

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