学校における新型コロナウイルス感染症の報告数は、学校が本格的に再開し始めた2020年6月1日から11月25日までの間、児童生徒3,303人と教職員471人、幼稚園関係者206人にのぼる。国内の感染者数の増加に伴い、10月下旬から学校関係の感染者数が増加しているものの、これまでの感染事例の大半が学校内で感染者1人にとどまっている。これは、小児が成人に比べて感染しにくい可能性があるという医学的知見と、各学校における感染拡大防止のための日々の工夫や努力によるところも大きいという。
同一学校内で複数の感染者が確認された事例は262件あり、このうち5人以上確認された事例は61件だった。この61件の内訳は、小学校12件、中学校11件、高校36件、特別支援学校2件。5人以上の感染者が確認された学校の割合は、小学校0.06%、中学校0.11%、高校0.75%、特別支援学校0.19%と、発生率は高校で高く、小学校で低かった。高校では学校内でも教員の直接的な監督下にはない行動や、自主的な活動が増えることから、感染対策について生徒自ら留意するよう、指導することが必要だとしている。
前回の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を改訂した9月3日以降に10人以上の感染者が確認された事例を分析すると、これまでの状況と同様、高校での割合が高くなっており、感染の場面は部活動と学級が混在している事例が多く見られた。
新型コロナウイルス感染症が国内で発生してからこれまでの累積データによると、10歳未満と10代では、罹患率が他の年代と比べ低くなっている。また、発症割合と重症割合は、ともに小さいとされている。15歳未満の罹患率がもっとも高い季節性インフルエンザとは、感染しやすい層の傾向が大きく異なるが、新型コロナウイルス感染症はいまだ不明な点も多く、引き続き十分注意する必要があるという。