【大学入学共通テスト】CBT活用の可能性について、大学入試センターが報告

 大学入試センターは2021年3月24日、「大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について(報告)」を公表した。大学入学共通テスト(以下、共通テスト)をCBTで実施する際の課題などについてまとめている。

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 大学入試センターは2021年3月24日、「大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について(報告)」を公表した。大学入学共通テスト(以下、共通テスト)をCBTで実施する際の課題などについてまとめている。

 大学入試センターでは、国内外の各種試験のCBT(Computer-based Testing)化の動向を踏まえ、10年ほど前からCBTに関する研究を進めている。また、高大接続改革や情報教育の振興といった政府の施策の中でも、共通テストのCBT化が求められた。

 今回の報告書は、共通テストにおけるCBTの活用の可能性について、これまでの検討の成果をまとめたもの。第1章では、PBT(Paper-based Testing)で実施されている現行の共通テストには、「出題・解答形式に制約がある」「問題冊子・解答用紙等の印刷、輸送・保管、配付・回収が必要」「試験は1バージョンのみで同一時刻一斉実施が必須」といった課題があることを指摘。第2章では、共通テストにおいてCBTを活用することにより、どのような試験になるのか、現行の共通テストがどのように改善されるのかについて述べている。

 第3章、第4章は、共通テストをCBTで実施する際の課題について説明。第3章では、共通テストを紙と鉛筆ではなく、パソコンやネットワークなどを活用して実施する場合に生じる課題と必要な対応について、第4章では、共通テストをCBT-IRTで実施する場合に、パソコンやネットワークなどの活用に伴う課題に加えて生じる課題と必要な対応について説明している。

 そのうえで、PBTで実施してきたセンター試験・共通テストの課題やCBTで実施した場合のメリットは大きいが、現行の共通テストをCBTで行うこと、さらにはIRTに基づいて行うためには、「全国的に均質で質の高い受験環境(パソコンやネットワークなど)の確保」「トラブルなどが生じた場合の対応体制の構築」「新しい試験のあり方に対する受験者や保護者を含む社会全体の理解」などの課題を高いレベルで克服する必要があるとしている。

 今後は、これまで検討してきたCBTを導入していくうえでの課題、長所や短所などを把握したうえで、CBTの導入自体を目的化することなく、CBTを導入することの本来の意義を十分に引き出しながら、受験者や保護者を含む社会全体が納得できる形を模索して、国内外の最新の動向も踏まえつつ、引き続き調査研究に取り組んでいくことが重要だと述べている。

 「大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について(報告)」は、大学入試センターのWebサイトに掲載されている。

《外岡紘代》

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