小中高大すべての学年において教職に従事、常に先進的な学びを実践しながら、子どもたちの成長を見守ってきた教育者・ICT教育研究者の視点に迫る。
コロナ禍で得た「学びを止めない」スキル
--荒木先生は長きにわたって日本の教育現場を見て来られました。ICT活用の変遷について、どう感じていらっしゃるのでしょうか。
小中学校、大学、塾、教育委員会と、子供たちの教育に携わって35年が経ちました。私自身がデジタルを使った経験として印象深いのは、27年前に、大学院の修士論文を書くにあたって、日本とスウェーデン、アメリカの小学校を繋ぎ、インターネットを介してみんなでひとつの歌を作るという取組みです。ずいぶん前のことですが、今この話をしても、十分通用する取組みだと捉える方がほとんど。裏を返せば、日本のICTを使った教育があまり進歩してこなかったということなんです。GIGAスクール構想がいよいよ始まりましたが、ネットワークを活用した取組みが今後どのように実践されていくのか大いに期待しています。
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プロフィール:
ドルトン東京学園中等部・高等部校長/情報経営イノベーション専門職大学特任教授/博士(情報科学)
公立中学校教諭、東京都教育庁指導主事、立命館小学校副校長、追手門学院参与、河合塾主席研究員、武蔵野大学教授、武蔵野大学附属千代田高等学院校長を歴任。アクティブ・ラーニング、STEAM教育の普及啓発など、教育ICT研究の第一人者。
--昨年のコロナ休校時、御校のオンライン対応の早さは私学の中で先駆けとなったと伺っています。ドルトン東京学園中等部・高等部校長/情報経営イノベーション専門職大学特任教授/博士(情報科学)
公立中学校教諭、東京都教育庁指導主事、立命館小学校副校長、追手門学院参与、河合塾主席研究員、武蔵野大学教授、武蔵野大学附属千代田高等学院校長を歴任。アクティブ・ラーニング、STEAM教育の普及啓発など、教育ICT研究の第一人者。
緊急事態宣言の発出よりも前に、4月1日にはオンライン授業への移行を決めました。1年前の今日(※取材日は2021年4月13日)は、ちょうど全学年でオンライン授業をスタートさせた日。もちろん、ICTが得意な先生ばかりではないし、機器が足りなかったり、途中で接続が途切れてしまったりと問題もいろいろありましたが、スクールモットーである「恐れず進め」の精神のもと、職員同士でノウハウを共有しながらやり切りました。
その経験から、やったことがなくても、みんなで協力すればできるということ、そして学びを止めないスキルを、先生も生徒たちも得ることができたと思っています。現在、再び感染者数が増えていますが、状況に応じてすぐにオンラインに切り替える準備はできています。極端に怖がらないで、やるべきことをやれば学校は続けられるという確信がありますね。
「自由と協働」を実現するためにICTは不可欠
--ドルトン東京学園の教育において「ICT」はどのような役割なのでしょうか。
まず、本校の方針は、ヘレン・パーカストというアメリカの教育者が提唱する教育メソッド「ドルトンプラン」に基づいています。目指すのは、生徒ひとりひとりから湧き出る意欲と探究心を育み、他者とともに自らの意志で学んでいく力を授ける教育。「自由と協働」を掲げていますが、「自由」というのは、ただ好き放題にやればいいのではなく、「好きなことを、自由にとことんまで深堀していく」という学問上の自由です。「協働」は他者と交わり、協力することで課題や問題を解決していくこと。すべての授業はこの考え方がベースになっています。
この「ドルトンプラン」に基づいた教育を実践するなかで、コンピュータ(ICT)を使った学習は不可欠です。というのは、生徒の学びは教室の中だけではありません。登校の途中であったり家であったり、シームレスであるべき。授業で得た学びを、家庭や別の場所でさらに深めていくことが探究につながります。そういった学校内外での学びの状況をクラウドで保存したり、eポートフォリオとして記録や共有していくことが、学びの深堀りには必要なのです。
パーカストの考え方は100年前には日本に持ち込まれていましたが、1クラス70人といった当時の日本の大人数一斉教育では育たなかった面もあります。学びの進捗をICTで個別に管理できるようになり、少人数のクラス編成が実現した今、ようやくその理念を最善の形で実現できるようになったと感じています。
場所にとらわれない学びを
--御校の生徒たちはICTをどのように活用しているのか、具体的に教えてください。
わが校では、生徒たちは1人1台自分で選んだパソコンを持ち込んで利用するBYOD(Bring your own device)を取り入れています。情報収集やプレゼンテーションに使うことはもちろん、スマホで撮った写真をアプリを使ってその場で共有したり、課題の提出などもクラウド上で行っています。学校と家庭間の連絡についても、プリントを配るといったことはなく、すべてオンラインで行っています。
ICTを使いこなすスキルも、先生よりも生徒の方が上回っていると感じることも多々あります。2021年3月には、企画から運営、進行まですべて生徒が主催したバーチャル学園祭「STEAMフェス」を開催しました。
それぞれが興味のあるテーマについて掘り下げ、研究成果を発表したり、実験ワークショップを行ったり。生徒ひとりひとりがアイコンで参加して、プレゼンをしている人のところに集まるといった、オンラインならではの発想や取組みは子供たちから生まれたものです。開会式では、コンピュータグラフィックを駆使した聖火リレーが行なわれたり、動画の出来栄えもすばらしいと教育関係者からも高い評価をいただきました。
学校でも家でも、生徒たちは自由にクラウドにアクセスして制作に打ち込むことができます。シームレスなICT環境だからこその成果だと思っています。
何かに没頭できる環境を整えたい
--現在「ZEB・STEAM校舎プロジェクト」を進めているんですね。プロジェクトの背景・ねらいについて教えてください。
「ZEB」は、NET ZERO ENERGY BUILDINGの頭文字。2022年夏の竣工を目指し、自然の熱や光、風、水を有効利用し、省エネルギーに優れた新校舎を建築しています。1階をアートやモノづくりをする「クラフト・ラボラトリー」、3階を「サイエンス・ラボラトリー」とし、2階には「ラーニングコモンズ」も備える予定です。環境に配慮し、自然エネルギーを生み出すという建物の仕組みそのものが学習装置のようなもの。自然の熱や光、風、水がどのように電気を生み出しているか、データの分析もできるようになっています。企業の参画やコラボレーションも予定していますが、プロジェクトを通じて、いかに子供の学びにつなげるかが大事だと思っています。
また、設備や建物自体の管理もすべて子供に任せようと考えています。僕は、生徒に自由に学んでほしいし、ここに入り浸ってもらいたいと思っているんです。今時の子供は忙しいので、時間を忘れて自分のやりたいことに没頭することがなかなかしづらい。それを存分にやれる場所であってほしいし、子供が集中して取り組んでいることを妨げない、それこそがこの学校の使命だと思っています。
デジタルもどんどん使って、失敗すればいい
--学校でも家でも“やりたいことに没頭する経験”が大事なのですね。とはいえ、保護者はゲームなどの遊びでのデジタル活用には心配なこともあるかと思います。
以前「子供が夜中までゲームをやり続けて困っているんです」といったお母様からの相談を受けたことがあります。聞けば、息子さんは寝食を忘れてゲームにのめり込んだ結果、アジアのトップ100に選ばれたとのこと。そこに到達するには、見ず知らずのプレイヤーと協働でプレイをしたり、英語でのミッションをクリアしたりといった、必ず何かしらの学びがあったと思うんです。こんなふうに何かをやり切った経験や熱中していることに注ぐエネルギーというのは、他のことにも応用できると僕は思っています。それが勉強にはまったら怖いものなしですね。
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--保護者は勉強にはまってほしい…願うところですが、家庭でのICT環境を整える際、親はどのようなことに気をつければよいのかアドバイスをお願いします。
私たち大人もパソコンにスマートフォン、タブレットなど、いくつものデジタルデバイスを併用しながら仕事を進める時代になりました。何年か先、生徒たちが活躍する未来の社会は今よりもっともっと進んだ環境になっているでしょう。そんな未来を生きる子供たちに対して学習や生活にICTを使わないのは、生徒の未来に責任をもっていないのと同然です。子供の興味や集中を妨げないためにも、学校、家庭、社会の間をつなぐシームレスなICT環境はなくてはならないものです。
私たち教職者や保護者も、デジタルツールやコンテンツは、子供自身の可能性を増幅させるためにあるものという認識が必要でしょう。そのうえで、目が疲れにくいモニターを使ったり、長時間画面を見すぎていたら休憩を促したり、適切に、安全にICTを生かせる環境を整えてあげることが大人のすべきことだと思っています。もちろんやって良いことと悪いことはあります。スマホから片時も目を離すことができない、夜も眠らずにブルーライトを浴びっぱなしといった、健康や生活に大きく支障が出てしまうようなことに対して、親は毅然とした態度をとるべきだと思っています。
実は子供を管理することは簡単です。「ゲームは1日〇時間」「勉強に関係ない動画はダメ」といったように、ルールを決めたりレールを敷いて進ませたりすることはとても簡単なんです。ですが、そこからは創造性は生まれません。デジタルツールやコンテンツは、こういうふうに使いなさいという絶対的ルールはありません。あるものはどんどん使って、失敗させて、そこから学んでいけば良い。ゲームにのめり込み過ぎて成績が落ちて、そこで何が大切かに自分で気付くことができたとしたら、それは大きな学びです。
「自分なりの正解を見出す視点」を子供に
--荒木先生が考える、未来を築く子供たちに必要な「目・視点」について教えてください。
これからの未来、新しい課題や状況の変化に対応できることがますます必要になってくると思います。しかも答えはひとつだけでなく、状況に応じて判断していかなければなりません。コロコロ変わる状況に応じて「自分なりの正解を見出す目」が求められる時代です。最終的な目的地に向けて、何を考えてどうやって向かっていくか、学校はそこを学ぶ場所でもあります。
そんな子供たちの学びを見守る保護者として、学校と家との間でシームレスなICT環境を整える、社会で通用するICT環境と同じように整えることが大切です。これまで以上に、デジタルが日常に溶け込んだ世の中を生きる子供たち。子供自身の可能性を広げるそういった視点や目線で、アイケアモニターなどのプロダクトを積極的に家庭にも取り入れていくこと。子を思う親だからこそできる、未来へ繋がる大きなバックアップとなるのではないのでしょうか。
--ありがとうございました。
子供の目を守り、視野と視界を拡げるアイケアモニター
外付けモニターはPC機器にこだわるハイエンドユーザーが使うものという認識はもう昔の話。ICTを用いた教育が当たり前となった今、正しい姿勢の維持および目の健康に配慮しながらも、学習効果を高めることができるアイケアモニターは子供にとって必須アイテムともいえる。子供向けに開発されたBenQのアイケアモニター「GW2480T」(24インチ)と「GW2780T」(27インチ)は、子供のデジタル活用にたくさんのメリットがある。

1.見やすい大画面が理解を深める
一般的な13インチ程の画面サイズのノートパソコンでも不便はないが、その倍以上のサイズとなる24インチ、27インチの大画面と比較すると、その差は一目瞭然。文字や画像、グラフなどの見やすさも段違いだ。画面の見やすさは、当然、学習内容の理解を高めることにも直結する。
2.長時間使っても目が疲れにくい
オンライン授業やデジタル教材を用いた学習に取り組むことも増え、パソコンの使用時間が長くなった子供たち。子供の目の健康に配慮したアイケア技術が搭載されている。
・ブルーライト軽減モード
長時間ブルーライトを見続けることは、目の疲れや睡眠障害の原因になるという。有害のブルーライトを70%除去することで、子供の目の健康を守る。
・フリッカーフリー
モニターから発生している目に見えないフリッカー(ちらつき)を完全にカット。目の疲れや違和感といった視覚的なストレスを軽減してくれる。
・自動輝度調節機能
午前中は明るく、夜は暗めにといったように画面の輝度を自動で整えてくれるため、適切な明るさで勉強ができる。
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3.正しい姿勢で座ることで集中力も高まる
正しい姿勢のための「エルゴノミクスデザイン」を採用。自然と背筋が伸び、目線が高い位置でキープされる。厚生省が推奨する、画面とモニター間の距離60~70cmが無理なく保たれる。
4.拡張機能で作業効率アップ
手元のノートパソコンと、卓上のアイケアモニターそれぞれに異なる画面を表示することができる。レポート作成の際、文献を参考にしたりコピー&ペーストしたりするのにも便利。複数のアプリケーションを立ち上げながら作業するのにも効率がよい。
5.勉強机に沿ったコンパクトさ
一般的な子供の勉強机の奥行は約60cm。24インチのモニターを置くことで、ちょうど見やすい距離感となり、その前に参考書やノートを開いて勉強するのに最適だ。机の上のスペースや用途にあわせてモニターの向きを縦型にすることもできる。リビングで家族で共用する場合は27インチもお勧め。ニーズに合わせて2サイズから選ぶことができる。
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6.コンパクトさを追求したモニターライト
さらに、アイケアモニターとの併用をおすすめしたいのが「BenQ ScreenBar Plusモニター掛け式ライト」だ。クリップで机面のスペースを取らず、モニターの上部に引っ掛けるだけで設置OK。USB給電で余計なコードやコンセントがなく省スペースで快適な環境にぴったり。内蔵された照度センサーによって、まわりの明るさを検知して常に最適な明るさを提供。一般的なデスクライトの光がモニター画面に反射して見づらい、目が疲れるといった問題を解決してくれる。リビングの照明の位置によって、子供の手元が暗くなってしまうといった心配もいらない。
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モニター専用に設計された画期的なデスクライト「BenQ ScreenBar Plus」。モニターの上部に引っ掛けるだけで簡単に設置完了。
子供の未来を守る教育者の視点から、家庭でもICT環境をあらためて整えてみてはいかがだろうか。
24インチ:GW2480T
27インチ:GW2780T
e-Reading Lampモニター掛け式ライト WiT ScreenBar Plus
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