学校健診後の未受診率、コロナ禍で増加…保団連調査

 学校健診後の未受診率がコロナ禍でさらに増えていることが、全国保険医団体連合会(保団連)の学校健診後治療調査から明らかになった。未受診の理由は、「健康への理解不足」についで「新型コロナ感染による受診控え」が多かった。

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2020年度学校健診後治療調査の要受診率・未受診率
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 学校健診後の未受診率がコロナ禍でさらに増えていることが、全国保険医団体連合会(保団連)の学校健診後治療調査から明らかになった。未受診の理由は、「健康への理解不足」についで「新型コロナ感染による受診控え」が多かった。

 学校健診後治療調査は2021年2~3月、全国31都道府県の公立・私立の小中学校、高校、特別支援学校の養護教諭を対象としたもの。2018年度に続き2回目の実施。4,923校から回答があった。

 2020年度の学校健診で要受診とされたにも関わらず、医療機関で必要な受診ができていない未受診率は、歯科62.3%、眼科55.4%、視力検査58.3%、耳鼻科57.4%、聴力検査41.2%、内科53.6%。前回の2018年度調査と比較すると、歯科、眼科、耳鼻科、内科の全科で未受診率が増加した。

 新型コロナウイルスによる影響については、40.3%の学校が「あった」と回答。影響事例は、「肥満児童・生徒の増加」が889校ともっとも多く、「視力低下」697校、「保健室登校の増加」365校、「虫歯のある児童・生徒の増加」273校と続いた。

 その他、休校中の運動不足等に起因すると考えられる骨折等のケガや心身の体調不良、不登校、摂食障害等による体重減少等も報告された。視力低下については、休校中にゲームやスマートフォンの利用等に長時間費やす生活が続いたことが要因ではないかと指摘された。歯科では全体的に口腔内の状況が悪化し、虫歯だけでなく、歯垢の付着や歯肉炎も増加しているという。

 未受診の理由を養護教諭に尋ねた結果では、前回の調査同様に「健康への理解不足」がもっとも多かったが、今回は「新型コロナ感染による受診控え」が次に多く、「共働き」「無関心」と続いた。未受診の児童・生徒は、家庭環境に何らかの問題を抱えていることが、前回の調査でも明らかにされているが、今回の調査では新型コロナウイルスの感染拡大という要素が加わったことで、医療が必要な児童・生徒が十分な受診をできずに健康状況が悪化している報告が寄せられた。

 保団連は「状況が改善されない中、今回、コロナ禍による『受診控え』が加わり、子供の健康状況が悪化している」と指摘。子供の健全な成長・発達を保障するうえで必要な受診を促すため、国・自治体・学校・医療関係者・地域が連携した積極的な対応を求めるとともに、「未受診を『自己責任』とせず、受診しやすい環境を整える」「眼鏡・補聴器購入に対する補助制度を拡充する」等を提言している。

《奥山直美》

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