「こども基本法」制定やデータベース構築、有識者会議が提言

 政府の「こども政策の推進に係る有識者会議」は2021年11月29日、報告書を岸田文雄首相に手渡した。「こども基本法(仮称)」の制定、子供や家庭のデータベース構築、保育・教育現場で子供を性犯罪被害から守るための日本版DBSの早期導入に向けた検討等を求めている。

教育業界ニュース 文部科学省
こども政策の推進に係る有識者会議による報告書の手交
こども政策の推進に係る有識者会議による報告書の手交 全 2 枚 拡大写真
 政府の「こども政策の推進に係る有識者会議」は2021年11月29日、子供に関する政策の基本理念や柱を提言する報告書を岸田文雄首相に手渡した。「こども基本法(仮称)」の制定、子供や家庭の状況が把握できるデータベース構築、保育・教育現場で子供を性犯罪被害から守るための日本版DBSの早期導入に向けた検討等を求めている。

 「こども政策の推進に係る有識者会議」は、2021年9月から5回にわたって会合を開き、当事者や子供・若者らのヒアリング等を踏まえて審議。今後の子供政策の基本理念や政策の柱を報告書に取りまとめ、11月29日に同会議の清家篤座長が岸田首相に手渡した。

 今後の子供政策の基本理念には、「子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策立案」「すべての子供の健やかな成長、Well-being(幸せな状態)の向上」「誰1人取り残さず、抜け落ちることのない支援」「子供や家庭が抱えるさまざまな複合する課題に対し、制度や組織による縦割りの壁、年度の壁、年齢の壁を克服した切れ目ない包括的な支援」「待ちの支援から、予防的な関わりを強化するとともに、必要な子供・家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換」「データ・統計を活用したエビデンスに基づく政策立案、PDCAサイクル(評価・改善)」の6点をあげている。

 今後、取り組むべき子供政策の柱には、「結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会を目指す」「すべての子供に、健やかで安全・安心に成長できる環境を提供する」「成育環境にかかわらず、誰1人取り残すことなく健やかな成長を保障する」の3つを掲げ、具体的な政策について提言を整理した。

 政策を進めるにあたって共通の基盤となるものとして「こども基本法(仮称)」の制定をあげ、子供に関する政策の企画立案過程で子供の意見を聴取し、発達段階に応じ反映する仕組みを提言。子供の視点に立って、子供に関する政策を監視・評価し、関係省庁に必要な勧告を行うことができる機能を検討することも求めている。

 個々の子供・家庭の状況や支援内容等に関する教育・保健・福祉等の情報を分野横断的に把握できるデータベースの構築にも言及。情報を分析し、支援の必要な子供や家庭のSOSを待つことなく、能動的なプッシュ型支援を届けることができる取組みの推進を提言している。

 この他、子育てや教育に関する経済的負担の軽減、保育・教育現場で小児性犯罪歴のある者の就労を防ぎ子供を性犯罪被害から守るための日本版DBSの早期導入に向けた検討、ヤングケアラーやいじめ・不登校・自殺対策等も盛り込んでいる。

《奥山直美》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集