【大学入学共通テスト2022】英語リスニング、出題傾向変化

 2022年度(令和4年度)大学入学共通テストの英語リスニングにおいて、2021年度の正答率が低い問題の読み上げ速度が低下し、正答率が上昇していることが、東進ハイスクール・東進衛星予備校を運営するナガセが2022年1月28日に公表した調査で明らかとなった。

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共通テストリスニングの読み上げ速度と正答率の関係(特筆すべき問題を抜粋)
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 2022年度(令和4年度)大学入学共通テストの英語リスニングにおいて、2021年度の正答率が低い問題の読み上げ速度が低下し、正答率が上昇していることが、東進ハイスクール・東進衛星予備校を運営するナガセが2022年1月28日に公表した調査で明らかとなった。

 ナガセは、1月15日、16日に実施された大学入学共通テストの結果を分析。今回、英語リスニングの出題傾向の変化について公表した。

 東進では毎年、東進生を中心に大学入学共通テスト実施後に、合計得点だけでなく設問ごとにどの選択肢を選んだかを集計する「答案再現」を実施し、設問別の正答率を算出している。たとえば、2021年度の正答率が12.2%と著しく低かった第6問Bや、読み上げ速度が138.9wpmと比較的速く正答率が37.6%だった第4問B等で、読み上げ速度が2021年度よりも遅くなり正答率が上昇していることが、東進独自の「答案再現」で判明した。

 第4問Aの1問目は例外で、2021年度は読み上げ文を聞いてグラフを完成させる問題だったが、2022年度は、読み上げ文を聞いて、順序通りにイラストを並べかえる問題に変更(試行調査で出題されていた形式)。読み上げ速度は速くなったものの、問題形式が変更となり易しくなったことで正答率が95.4%に大きく上昇した。

 第5問では、2021年度に引き続き、大学の講義を聞いてワークシートを埋めたり、講義の内容と一致する選択肢を選んだりする問題が出題。2021年度の正答率も決して高いとはいえない中、2022年度は読み上げ速度がさらに13.9%上昇。共通テスト全体を通じて情報処理力が問われていることが、2021年度以上に顕著になった問題といえる。この問題は、読み上げられた文章や設問文から読み取る情報量が多いことや、「ギグワーク」等、高校生にとってなじみのない用語も多く登場したことから、正答率も下がり難問となった。

 第6問Bは、4人の会話を聞いて話し手が「エコツーリズム」に対して賛成・反対のどちらの立場なのかを把握し、主張の根拠となる資料を選ぶ問題。読み上げ速度が低下したことで、2022年度の正答率は上昇したが、難問であることに変わりはない。また、第5問と第6問Bに共通しているのは、「ギグワーク」や「エコツーリズム」といった近年のトレンドとなっているワードが登場している点で、背景知識を理解しているかどうかで、問題への取組み方が変わってくるといえる。

 2021年度の大学入学共通テストで初めて登場したイギリス人英語や非ネイティブによる英語は、2022年度も出題。2021年度はイギリス人英語2問・アジア人英語1問だったが、2022年度はイギリス人英語3問、アジア人英語2問と増加した。アジア人英語のうち1問はかなり訛りがきつくスピードの遅い日本人と思われる英語で、リーディングと同様、文化的多様性を意識していると考えられる。

 1976年創立の日本最大の民間教育ネットワークを展開するナガセは、「独立自尊の社会・世界に貢献する人財」の育成に取り組み、「四谷大塚」「東進ハイスクール」「東進衛星予備校」等、幼児~社会人まで一貫した教育体系を構築。学力だけではなく心知体のバランスのとれた「独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する」ために、今後も進化を続けるとしている。

《川端珠紀》

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