中学生の35-51%「うつ症状でも誰にも相談しない」

 うつになっても「誰にも相談せずようすをみる」という回答が、小学5~6年生の25~29%、中学生の35~51%にのぼることが2022年3月24日、国立成育医療研究センターの調査結果からわかった。中等度以上の抑うつ症状は小学5~6年生の9~13%、中学生の13~22%にみられた。

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もしあなたが太郎君と同じような状態(うつ)になったら、誰かに相談するか
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 うつになっても「誰にも相談せずようすをみる」という回答が、小学5~6年生の25~29%、中学生の35~51%にのぼることが2022年3月24日、国立成育医療研究センターの調査結果からわかった。新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、中等度以上の抑うつ症状は小学5~6年生の9~13%、中学生の13~22%にみられた。

 調査結果は、国立成育医療研究センターの「コロナ×こども本部」が2021年12月に実施した「2021年度新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する調査」(小学5年~中学3年2,418人、保護者2,451人)と「コロナ×こどもアンケート第7回調査」(小学1年~高校3年487人、保護者3,282人)の共通項目について、「コロナ禍における思春期のこどもとその保護者の心の実態」として報告にまとめたもの。

 思春期の子供を対象としたうつ症状の重症度尺度である日本語版PHQ-Aを使用して調査した結果、「生活と健康実態調査」では小学5~6年生の9%、中学生の13%、「コロナ×こどもアンケート」では小学5~6年生の13%、中学生の22%に中等度以上の抑うつ症状がみられた。

 典型的な抑うつ症状を呈した子供のうち、「生活と健康実態調査」では小学5年~中学生の95%、「コロナ×こどもアンケート」では小学5年~中学生の94%が「助けが必要な状態である」と回答した。

 一方、「(自分が同じような状態になったら)誰にも相談しないでもう少し自分でようすをみる」と回答したのは、「生活と健康実態調査」では小学5~6年生の25%、中学生の35%、「コロナ×こどもアンケート」では小学5~6年生の29%、中学生の51%にのぼった。

 さらに重症度の高い抑うつ症状を呈する子供ほど、「すぐ誰かに相談する」と回答した割合が低く、「誰にも相談しないでもう少し自分でようすをみる」と回答した子供が多かった。

 「(自分の子供が同じ状況だったら)病院は受診させずにようすをみる」と回答した保護者の割合は、「生活と健康実態調査」が29%、「コロナ×こどもアンケート」が22%。受診を躊躇する理由については、いずれの調査でも約3割の保護者が「受診が必要なのかわからない(ようすをみてもいいのではないかと思う)」「どこの病院を受診したらよいかわからない」と答えた。

 国立成育医療研究センターは、調査結果を受けて「『子供に抑うつ症状がみられても、子供本人やその保護者が援助希求(相談や受診)をしづらいことがある』という知見に向き合い、家庭や学校、地域社会等それぞれのレベルでのセーフティネット作りや啓発が急務と考えられる」と展望している。

《奥山直美》

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