子供の習い事の選び方と親がもっていたい「スタンス」…小川大介氏×川島慶氏対談(後編)

 中学受験指導の第一線に立つ教育家の小川大介氏と、STEAM教育が自宅で学べる教育プログラム「ワンダーボックス」の開発者であるワンダーラボ代表の川島慶氏による対談の後編。

教育・受験 小学生
子供の習い事の選び方と親がもっていたい「スタンス」…小川大介氏×川島慶氏対談(後編)
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 昨今の中学受験の出題内容に象徴されるように、子供たちに求められる力は変化してきている。前編では、中学受験のみならず、子供がこれからの時代を生き抜くためのベースとなる力として、「思考力」「創造力」「意欲」が重要であることや、子供をよく観察し、夢中になっていることに気付いて環境を広げてあげることが親のサポートとしてもっとも大切であるとの話を聞いた。

 わが子の興味関心が、その先に広がっていく環境を整えようと考えたとき、多くの保護者の頭に浮かぶのは「習い事」ではないだろうか。後編の今回は、中学受験指導の第一線に立つ教育家の小川大介氏と、STEAM教育が自宅で学べる教材「ワンダーボックス」の開発者であるワンダーラボ代表の川島慶氏に、子供の習い事の選び方や、さまざまな「学び」へ向かう意欲の引き出し方について聞いた。

習い事は「2つの軸」で考える



--進学・進級し、新しい生活に慣れてくると、お子さんの習い事についていろいろとお考えになるご家庭も多いと思われます。習い事にもさまざまな種類があって、その中から何を習わせるのが良いのか、悩まれる保護者も多いようです。

小川氏:僕も「何の習い事がお勧めですか?」と聞かれることがよくあります。まず、習い事の選び方に関しては2つの軸で考えると良いと思います。1つは、子供が好きなこと、または好きだろうと思うことをいろいろやらせ、本人がはまったものを続けさせるパターン。こちらは子供中心の軸といえます。

 もう1つは、子供の好きなものを大事にすることは前提のうえで、今の社会で成長していくために必要であろうと思えるものや、将来を見据えて今これをやっておくのが良いだろうというものをやらせる。親の考え主体の軸です。

 何を習わせるべきか悩む保護者の多くは、子供がやりたい習い事と、親がやらせたい習い事を混同して考えてしまっているように思います。そう考えるとみなさんが知りたいのは、後者の軸の習い事なのだろうと思われます。しかしながら、子供に何を授けたいのかという考え方は家庭によってそれぞれなので、それに対する1つの答えを求められると、これが難しい。

 2つの軸が存在していることを理解してさえいれば、前者の軸で習い事をとらえているご家庭が、「英語は〇才までに英検〇級を取得する」というような方針のご家庭をみて焦ることはありませんし、後者の基準で塾選びをしているご家庭が、親の意向で習い事を選んでいることに罪悪感を抱く必要もありません。

 ただし、後者の軸で習い事を選ぶご家庭の場合、たとえば「英語は得意になってもらう、それによって絶対幸せになるから」というような、確固たる信念をもって子供に与えてほしいという思いはあります。それを子供自身が続けた結果、頑張ることができたり結果が出たり、のめり込むことができたりしたら理想的ですよね。

教育家の小川大介氏

--習い事選びで気をつけるべきポイントはありますか。

小川氏:いちばん良くないのは、人がやっているから、やっておかないと取り残されるからという、親の不安を埋めるための習い事選択です。

川島氏:保護者の方のネガティブな感情は、どうしても、子供たちに伝わってしまいます。

 「私はこれが足りなくて残念だったから、子供にはこれはやらせてあげたい」という選び方はできれば避けられると良いですね。保護者の方が算数苦手でつまらないと思っているのに、子供には算数を得意になってほしいというようなケースですね。「つまらないけど、やらなければいけない」という保護者の方の意識は、子供に伝わってしまいます。このような場合は、たとえば保護者の方も学んでみて、その楽しさを一緒に味わうのもいいと思います。

ワンダーラボ代表 川島慶氏

意欲は「やれば後から付いてくる」



--小川先生も川島さんも、「意欲は刺激されて発動する」「意欲はやらないと生まれない」とおっしゃっていますね。噛み砕いて教えてください。

小川氏:これは脳科学的にも証明されていて、意欲ややる気というのは、体が動いて脳の前頭前野に刺激がいくことで、ドーパミンが分泌されやすくなり、調子が出てくるというメカニズムなんですね。だから、とりあえず5分やったら勝手に乗ってくるものなんです。

 子供だったらなおさらそうです。大人は「これをやれば良いことがありそう」という予測を立て、それをもとに行動に移すことができます。しかし子供は経験が少ない分、やってみないと楽しいかどうかわからない。だから、お子さんが「やりたくない」と言っていたのに、いざやり始めたら夢中になって逆に止めてくれないってことはよくありますよね。「やってみて面白かったら次もやる」「やってみてできると思ったら次もやる」というように、やったことにより生まれる意欲を大事にして、それをいかに膨らませるかというのが、子供の意欲の良い育て方というか、親の寄り添い方なのだと思います。

 子供はやりたいことをやっているときは、大人が放っておいても楽しそうにしているはず。逆に、大人が決めたタイムテーブルの中でやる気を出させようとしてしまうから、「うちの子はやる気がない」となってしまうのです。

「子どもは、やっているうちに意欲が引き出されるもの」と小川先生

--意欲が先にあるのではなくて、やっているうちにやる気のスイッチが入るということですね。「ワンダーボックス」では、子供の意欲にどうアプローチをしているのでしょうか。

川島氏:ワンダーボックスの中でも実際の授業でも、子供たちに伝えている「わくわくのひけつ」という合言葉があります。「まずはなんでもやってみる!」「じぶんのあたまでかんがえる!」「まちがえることはこわくない!」「むり にがて できないよりも おもしろそう!できそう!たのしそう!」というもの。「とりあえずやってみよう!」という子供たちへのメッセージが込められていて、それはそのまま教材を作っている僕たちの想いでもあります。

小川氏:ワンダーボックスのユーザーから、「やり方を指示されたり、考えているところを邪魔されたりしないのが良い」といった感想もあがっているそうですね。これこそが、子供たちが夢中になる秘訣でもあります。

 大人側がやりがちな「間違いを指摘する」「誰かと比べる」行為は、子供のワクワクの回路を止めてしまうもの。少なくとも子供が楽しんでいるときには口を出さないで、楽しんでいる姿を見守ることができると、子供の意欲に気付けるようになると思います。

「ワンダーボックスには、とりあえずやってみてほしいという思いが込められているんです」(川島氏)

--親が子供の興味関心について知ることができるような仕掛けがあると聞きました。どのようなものでしょうか。

川島氏:保護者メニューの中に「チャレンジレコード」という画面を用意しています。教材ごとにメダルの色が変わるようになっていて、たくさんやり込んだらグレードアップしていき、赤から青に、さらには金色になります。

チャレンジレコードの画面

川島氏:これを見れば、子供たちが特にどの教材に熱中しているかや、毎月の挑戦の記録がひと目でわかるようになっています。親御さんの予想もしていないところに、子供が夢中になっていることがよくあるんですよね。

小川氏:まさに「うちの子発見ガイド」ですね。子供の興味が一目瞭然になる。

 子供は、夢中になるといっても、わかりやすく面白がる子だけではないのです。淡々とやっているように見えるけれども、表に見えないだけで実は熱中していることがある。そのように見えにくい子供の意欲がわかりやすく可視化されるという意味で、わが子の理解を深めてくれるアイテムと言えると思います。親御さんにとって大きなメリットとなるのではないでしょうか。

子供は親の予想もしていないものに夢中になっていることも

意欲や興味を再発見してほしい



--最後に「ワンダーボックス」を家庭での学びに活用する際のアドバイスをお願いいたします。

小川氏:先ほど「うちの子発見ガイド」と述べましたが、子供たちが家の中で取り組むものって、親がすでに選んでいるものなので、初めから出会い損ねている分野があるんですよ。「ワンダーボックス」のように、子供が自分で遊べるように作られていると、親の世界から外れている興味にも出会うことができます。子供の興味や意欲の再発見に必ずつながると思います。

 また、忙しくて子供とゆっくり接する時間がとれないといった悩みや、親御さん自身の子育てに対する不安を補うものとして、こういったツールやサービスを活用することが自信や安心感につながるとしたら、そのことも大きなメリットになると思います。そんなふうに「ワンダーボックス」と付きあっていけたら子育てもより楽しく、ラクになるのではないでしょうか。

川島氏:そうですね、思考力や創造力を育む教材としてだけではなく、お子さまの思いがけない興味や意欲を発見するヒントとして、おおいに活用していただきたいです。

 今の時代、ゲームやYouTube等、子供の興味をいかに惹きつけるか工夫されたものはたくさんあります。そういったものと同じように子供たちが「やりたい!」と思う教材を作るため、研究授業で実際に子供たちに使ってもらい、そのフィードバックを取り入れています。「クリアしたら星がもらえる」といった要素も一部では使いますが、徐々に、考えることそのものの楽しさ、作り出すことの喜びを感じていってもらえるよう、ゲーム要素のさじ加減にはこだわりをもって日々開発しています。

 「家庭でお子さまの興味関心を広げられる手軽な習い事」のようなものと思っていただき、子育てが楽しくなる助けになれたらとても嬉しいです。

小川氏:「正解のない時代、子供をどう育てれば良いですか」というようなことをたびたび聞かれます。僕は、これからの時代の子供をどう育てるかではなくて、これからの社会で子供たちがどう育つんだろうという議論を、ご家庭でしていくのが良いのではないかと思うんです。

 大人が子供をどう育てるかではなく、子供自身が活発に自分を出せるような環境づくりを大人たちがしていこうという姿勢。それこそがこれからの世の中を生きる子供たちに必要とされる力を伸ばしていくものですし、そんなスタンスを具現化してくれているのが「ワンダーボックス」だと思います。

子供の学びをより良いものにしたいという志を同じくするお二人。対談はとても盛り上がった

--親も知らない子供の新しい一面を発見できたら…そう思うと親もワクワクしますね。ありがとうございました。

 お二人の話を聞けば聞くほど「ワンダーボックス」を「遊びながらSTEAM領域が学べる教材」と表面的な言葉で語るのはもったいないと感じた。子供にとってのとっつきやすさやコンテンツの目新しさに目がいきがちだが、その背景には、子供の成長過程に対する深い理解と、「子どもたちにいろいろなものにふれてもらい、夢中になれるものと出会ってほしい」という想いがたっぷり詰まっている。次から次へと入る情報と選択肢に惑わされがちな今、シンプルな子育ての在り方を気付かせてくれる唯一無二のツールと言えるのではないだろうか。

ワンダーボックスについてはこちら

《吉野清美》

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