【大学受験】第1志望進学7割に増加…志望校絞り込み早期化

 2022年4月に大学進学した学生のうち、進学先が第1志望だった割合は2019年調査時より14.8ポイント増加し約7割となったことが、リクルート進学総研が行った調査結果から明らかになった。コロナ禍で制約があるものの、志望校の絞り込みが早期化している。

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大学進学者の進路選択行動概況(2019年からの推移)
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 2022年4月に大学進学した学生のうち、進学先が第1志望だった割合は前回(2019年)調査時より14.8ポイント増加し約7割となったことが、リクルート進学総研が行った調査結果から明らかになった。コロナ禍で制約があるものの、志望校の絞り込みが早期化している。

 リクルート進学総研は、高校生の進路選択の現状を明らかにするため、進路選択行動の時期やプロセスを中心に、進路選択に際しての情報源、学校主催イベント、出願状況についての調査「進学センサス」を実施。調査期間は2022年3月4日~4月5日。対象は調査開始時点で2022年に高校を卒業見込みの全国の男女21万人。郵送およびインターネットにて調査を実施し、1万4,968人の有効回答を得た。調査結果は「進路選択行動」編、「アドミッション・ポリシー」編の2本立てで発表した。

 「進路選択行動」編は、大学進学者1万841人の回答について分析したもの。進路選択行動の概況としては、資料請求数平均は前回から1.32件増の6.97件、出願校数平均は0.32件減の2.72件。学校主催のオープンキャンパスへの参加は、コロナの影響により高校2年生で大きく減少し、高校3年間トータルでみても、前回の93.9%から14.2ポイント減少し参加経験79.7%にとどまった。延べ参加校数も約1校減となり、コロナ禍においてオープンキャンパスでの情報収集が十分にできなかったようすがうかがえる。

 一方で、4月から進学する大学のオープンキャンパス参加は増加し、前回比4.3ポイント増の71.2%に。参加時点で第1志望だった割合も59.8%と増加傾向にある。

 第1志望校への進学者は68.3%で、前回より14.8ポイントと大幅に増加。特に、入試方法別でみると「総合型・学校推薦型選抜」合格者の第1志望率が86.6%と非常に高くなっている。年内入試合格による進学者は7.9ポイント増え47.0%、反対に年明け入試による進学者は9.8ポイント減り47.1%。年内入試合格による進学者が大幅に増加し、年内入試層(47.0%)と年明け入試層(47.1%)がほぼ同率となった。

 進学先検討時の重視項目は、1位「学びたい学部・学科・コースがあること」76.5%、2位「自分の興味や可能性が広げられること」38.6%、3位「教育方針・カリキュラムが魅力的であること」35.8%となり、1位は前回(2019年)、前々回(2016年)に続き3回連続で1位となった。

 順位の変動に注目してみると、「教育方針・カリキュラムが魅力的であること」や「社会で役立つ力が身に付くこと」「教育内容のレベルが高いこと」が、2回連続で順位が上昇。一方、「資格取得に有利であること」「偏差値が自分にあっていること」「キャンパスがきれいであること」は、2回連続で順位を下げた。

 進学に関する情報源は、「情報(紙・パソコン)」「オープンキャンパス」「アドバイス」からの情報収集が軒並み減少し、「情報(スマホ・アプリ)」「SNSやブログ等」からの情報収集が増加傾向にある。

 リクルート進学総研の小林浩所長は、「コロナ禍において十分な進路選択活動ができていないものの、第1志望校に進学する高校生は増加し、『志望校絞り込み』が早期化している」と解説。早期に志望校を絞り込んで志望度が高い大学のオープンキャンパスへ参加し、かつ受験時期の年内シフト加速の動きにより、複数校受験する高校生が減少。全体的な早期化へつながっているという。18歳人口減少と大学定員の増加により、2021年には私立大学の46.4%が定員割れ、定員充足率は99.8%(日本私立学校振興・共済事業団調べ)という“合格しやすい”受験環境となっていることも、第1志望校への進学割合を押し上げている要因と考えられるという。

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《畑山望》

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