危険な薬物…大学生4割「手に入る」12人に1人が使用目撃

 大学生のおよそ12人に1人が大麻や危険ドラッグ等の危険な薬物を使用している人を直接見た経験があることが2022年9月27日、関西4大学の共同調査結果から明らかとなった。入手可能と考える学生は「難しいが手に入る」「手に入る」をあわせ38.3%に及んだ。

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 大学生のおよそ12人に1人が大麻や危険ドラッグ等の危険な薬物を使用している人を直接見た経験があることが2022年9月27日、関西4大学の共同調査結果から明らかとなった。入手可能と考える学生は「難しいが手に入る」「手に入る」をあわせ38.3%に及んだ。

 「危険ドラッグ」は2014年に薬事法が改正されたことで、使用が原因と疑われる死亡事案が大幅に減少する等、一定の効果があがっている。一方、流通ルートはインターネットを利用した密売等により潜在化が進んでいる。警察庁組織犯罪対策部が発表した「令和3年における組織犯罪の情勢」によると、大麻事犯検挙人員は、20歳代以下の若年層を中心に2014年以降増加が続き、2021年も過去最多となった前年を大幅に上回った。

 関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学の関西4大学は2009年より、薬物乱用防止の取組みの1つとして「薬物に関する意識調査」を毎年行い報告書に取りまとめている。14回目となる2022年度は、4月に入学した新入生を対象にアンケート調査を行い、4大学の計1万8,847人から回答を得た。

 薬物の名前の認知度は「大麻(マリファナ、ハッパ、ハッシッシュなど)」が92%でもっとも高く、ついで「覚せい剤(シャブ、スピード、エスなど)」が85.2%、「コカイン(コーク、スノウ、クラックなど)」が78.9%と続いた。2021年度と比較すると「LSD(アシッド、フェニックス、ドラゴンなど)」(20.0%)以外のすべての薬物の認知度が低下。中でもMDMAと脱法ハーブは、2021年度比5.3~8.3ポイント減少し顕著な低下がみられた。

 薬物使用に関しては、88.9%の学生が「どのような理由であれ、絶対に使うべきではないし、許されることではない」と回答。一方で「1回位なら使ってもかまわない」「使うかどうかは個人の自由」と考えている学生も一定数存在していることがわかった。ただし大多数の学生は、過去に薬物を使用・購入することを勧められた(誘われた)ことはなく、「購入を勧められたことがある」「使用を誘われたことがある」との回答をあわせ1.2%にとどまった。

 一方、テレビ、映画、報道等を除き、薬物が使用されているところを直接見たことがある学生は8.1%で、およそ12人に1人が目撃していた。所持・使用しているドラッグでもっとも多いのは「大麻」。2021年度と比較すると4ポイント減少したものの、引き続き高い割合を維持していた。

 薬物の入手については「難しいが手に入る」「手に入る」をあわせ38.3%が入手できると考えていた。その理由として、大半の学生が「SNSやインターネットで探せば見つけることができると思うから」と回答。約1割の学生は、実際にSNSやインターネットで販売されているのを見かけたことがあるという。

 通常、危険ドラッグと称される薬物や商品は、使用・所持すると罰則の対象となるが、25.6%の学生はその事実を知らなかった。大学側は引き続き、情報発信を行っていく必要があるとしている。あわせて、周りの人が薬物に手を出さないように注意するために「薬物乱用による健康被害情報」「薬物乱用により引き起こされた事件・事故の事例情報」等の抑止効果のある情報や、警察や行政、医療機関や民間の支援団体等が設置している薬物に関する相談窓口の情報提供も求められる。

《川端珠紀》

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