オンデマンド授業78.7%が希望…視聴速度と成績に相関なし

 近畿大学は、2022年度(令和4年度)前期の通学課程学生向けオンデマンド授業「KICSオンデマンド授業」の履修者7,080人を対象に授業評価アンケートとログ分析を実施し、その結果を公表した。オンデマンド授業を「今後も受講したい」と選択する学生は78.7%だった。

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KICSオンデマンド授業の動画撮影をする様子(左)、KICSオンデマンド授業の画面(右)
KICSオンデマンド授業の動画撮影をする様子(左)、KICSオンデマンド授業の画面(右) 全 7 枚 拡大写真

 近畿大学は、2022年度(令和4年度)前期の通学課程学生向けオンデマンド授業「KICSオンデマンド授業」の履修者7,080人を対象に授業評価アンケートとログ分析を実施し、その結果を公表した。オンデマンド授業を「今後も受講したい」と選択する学生は78.7%にのぼることがわかった。動画視聴時に倍速機能(1.25倍速または1.5倍速)を使用した学生は48.5%だったが、視聴速度と成績評価に相関は見られなかった。

 アンケートは、2022年度前期(4月18日~8月6日)に同学の「KICSオンデマンド授業」を履修した7,080人(対象学部:情報・法・経済・経営・理工・建築・薬・文芸・総合社会・国際・農・工・産業理工・短期大学部)を対象に、7月16日~25日に実施された。回答者数は1,237人(回答率17.5%)。ログ分析は、同7,080人を対象に、4月18日~8月6日に集計されたデータをもとに実施した。

 近畿大学では、ニューノーマル時代の新たな教育の提供ならびにポストコロナを見据えた学修環境の整備をめざして授業のオンデマンド化を進めており、2021年4月から「KICS(KIndai Creative Studio)オンデマンド授業」を開講。2022年度には全キャンパスの学生を対象に共通教養科目(一般教養科目)24科目・学部基礎科目3科目の合計27科目を開講しており、2024年度(令和6年度)までにさらに2科目の開講を目指す。学生は授業動画視聴後の確認テストで理解度を毎回チェックし、満点に達すると次の授業の受講が可能となる。なお、授業はオンデマンド授業と対面授業の双方で開講されているものが大半で、学生は自身にあった授業形式を選択できる。

 アンケート結果からは、「KICSオンデマンド授業を受講したい」と回答した学生が78.7%にのぼり、KICSオンデマンド授業の満足度の高さがうかがえた他、動画の視聴速度と成績評価には相関が見られないことが明らかになった。

 ログ分析では、「使用しているデバイス」はWindowsが52.0%と半数を占め、ついで、iPhone26.3%、Mac18.1%という結果に。「視聴状況と成績の関係」については、成績が優秀な学生ほど視聴完了までの日数が少ないことが明らかとなった。また、「視聴時間帯」の最多は午後11時台。KICSオンデマンド授業は、2021年度はメンテナンス作業のために午前2時~4時の動画視聴ができなかったが、2022年度からは多数の学生の要望に応え、24時間の視聴が可能となっている。

 今回の結果について、近畿大学情報学部情報学科准教授の越智洋司氏は、KICSオンデマンド授業に対する学生のニーズの高さを、一過性のものではなく学生のニーズに合致する実用的な受講形態であることを示すものと総括。動画視聴時のスマートフォンの利用率については、移動時間や隙間時間等の活用の他に、スマートフォンで動画を見ながらPCで資料確認・ノートテイク・課題遂行を行う「二刀流」の使い方をする学生の増加を指摘している。一方、KICSオンデマンドでの教員とのやり取りについてはポジティブな回答が61.6%と他の2つの受講形態と比較すると低い結果となっており、2022年度後期から導入された「よくある質問集」やSlackのチャットボットの活用へ期待を示した。


《増田有紀》

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