子供がスポーツ活動しない理由「当番が大変」26.1%...保護者調査

 「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する笹川スポーツ財団では、小学生の子供をもつ母親を対象に、2021年9月に調査した「子供のスポーツ活動への関与の実態や意識」についての結果を分析した。当番の負担を理由に、スポーツ活動を敬遠する家庭があることが示唆された。

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所属する団体の活動頻度
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 「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する笹川スポーツ財団では、小学生の子供をもつ母親を対象に、2021年9月に調査した「子供のスポーツ活動への関与の実態や意識」についての結果を分析した。当番の負担を理由に、スポーツ活動を敬遠する家庭があることが示唆された。

 2021年9月に「小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する調査研究2021」の調査が行われた。今回、2022年2月に発表した本調査結果「子供のスポーツ活動への保護者の関与は、母親自身が子供の頃から母親が中心という構造」等について、2次分析を行った。

 2021年9月の調査では、当時、小学1~6年生の第1子をもつ母親を対象に子供のスポーツ活動に関する質問を行った。スポーツ種目や子供の運動能力への期待・満足度、母親自身が子供の頃の保護者の役割、家庭環境等を質問。「子供がスポーツ活動をしている」場合は、所属団体や実施頻度、保護者の関与(保護者組織の有無)等について、「活動をしていない場合」は、その理由と子供がスポーツ活動をする場合の母親の負担感について尋ねた。なお、この質問の対象となる保護者は、子供の学年・性別が均等になるよう割付され、全学年男女各200名の計2,400名とされた。

 おもな調査結果の1つめは、当番等の保護者組織がある団体は活動頻度が高く時間も長い傾向があること。当番等があるクラブでは、頻度「週に2~3日」が48.3%、1回あたりの時間「2時間くらい」29.2%が最多となった。一方、当番等がないクラブでは、頻度「週に1回程度」72.1%、1回あたりの時間「1時間くらい」64.5%が最多となる結果であった。

 2つめは、当番等に関わる母親で高頻度・長時間サポートする母親は少数であること。活動頻度は「週に1~5日以上」が7.2%、活動時間では「3時間以上」19.4%という結果であった。少数ではあるが、高い頻度と長い時間、団体をサポートしている母親もいることが推察された。

 最後の3つ目は、当番の大変なイメージが、より多くの母親にスポーツ活動を敬遠させている可能性があること。当時、当番を担当していると答えた母親は7.5%、当番の負担を理由にスポーツ活動を敬遠する母親は26.1%にのぼった。

 子供のスポーツ活動を高頻度・長時間の当番でサポートする母親がいる一方で、当番等の大変なイメージにより、家庭によっては「スポーツを選ばない」可能性が示唆された。

 研究を担当した、スポーツ政策研究所 政策ディレクターの宮本幸子氏は、「サポートに尽力する母親の存在が改めて浮き彫りになると同時に、実は小学生の母親全体から捉えるとごく少数であることもわかる。どちらかといえば、当番のないスポーツ活動を選択する母親、当番を理由にスポーツ活動を敬遠する母親のほうが多数派である」とコメント。さらに、「サポートできる保護者の子供しか活動できないスポーツ」ではなく、「活動したい子供を保護者やスタッフが持続可能な範囲で支えていく」と発想を転換し、競技団体やメディア、研究者も含めて子供のスポーツ環境を考える必要があるという。

 少子化や家族のあり方が多様化する今、保護者やスタッフだけでなく、競技団体、メディア等も「どのような家庭の子供でもスポーツを楽しめる環境」を考えなければならない。

《日高紋佳》

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