男性の育休取得率、過去最高17.13%…増加傾向も目標に大差

 厚生労働省は2023年7月31日、「令和4年度(2022年度)雇用均等基本調査」の結果を公表した。男性の育児休業取得率は、前年度(2021年度)比3.16ポイント増の17.13%と大幅に増加し、過去最高となった。女性の育児休業取得率は、前年度比4.9ポイント減の80.2%。

生活・健康 その他
育児休業取得率の推移(男性)
育児休業取得率の推移(男性) 全 4 枚 拡大写真

 厚生労働省は2023年7月31日、「令和4年度(2022年度)雇用均等基本調査」の結果を公表した。男性の育児休業取得率は、前年度(2021年度)比3.16ポイント増の17.13%と大幅に増加し、過去最高となった。女性の育児休業取得率は、前年度比4.9ポイント減の80.2%。

 「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に毎年実施。令和4年度調査は、全国の企業と事業所を対象に、管理職などに占める女性割合や育児休業制度の利用状況などについて、2022年10月1日現在の状況を調査。調査期間は同年10月1日~31日、企業調査は6,000企業を対象に実施し3,096企業から回答を、事業所調査では6,300事業所を対象に実施し3,339事業所から回答を得た。

 事業所調査の結果から育休に関する状況をみると、2020年10月1日から2021年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性の配偶者(男性)のうち、2022年10月1日までに育児休業を開始した男性(申出をしている人を含む)の割合は17.13%。前年度調査の13.97%から3.16ポイント増加し、過去最高値を大幅に更新した。

 年々増加傾向にある男性の育児休業取得率だが、政府が掲げる目標にはいまだ大きな差がある。岸田首相は男性の育児休業取得率の政府目標として、2025年度に50%、2030年度に85%とする目標を表明しており、取得率向上に向けた支援を強化する方針を示しているが、直近の50%目標までは32.87ポイントも開きがある状況となっている。

 同期間における女性の育児休業取得率は80.2%で、前年度調査の85.1%から4.9ポイント減少。過去16年間のうち、もっとも低い取得率となった。過去最高となった2008年度の90.6%とは10ポイント以上の開きがある。

 また、企業調査の結果から女性管理職の状況(企業規模10人以上)をみると、課長相当職以上(役員を含む)の女性管理職を有する企業の割合は52.1%(対前年度比1.1ポイント減)、係長相当職以上(役員を含む)の女性管理職などを有する割合は60.5%(同0.6ポイント減)。女性管理職を役職別にみると、部長相当職ありの企業は12.0%、課長相当職は22.3%と、ほぼ横ばいの状況にある。

 企業規模10人以上の企業における、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.7%で対前年度比0.4ポイント上昇。係長相当職以上の管理職に占める女性の割合は14.7%で対前年度比0.2ポイント上昇した。それぞれの役職に占める女性の割合は、役員が21.1%(同0.3.ポイント減)、部長相当職が8.0%(同0.2ポイント増)、課長相当職が11.6%(同0.9ポイント増)、係長相当職が18.7%(同0.1ポイント減)。

 課長相当職以上の管理職に占める女性の割合を産業別にみると、医療・福祉53.0%が突出して高く、ついで、生活関連サービス業・娯楽業24.6%、宿泊業・飲食サー ビス業17.5%、教育・学習支援業17.2%となった。主要諸国の中でも女性管理職の登用が低い水準にある日本では、状況を改善するべくさまざまな方針がとられているものの大きな改善はみられない。

 このほか、企業調査では、職種別正社員・正職員の状況、ハラスメント防止対策の取組状況などを調査。事業所調査では、時間外労働・深夜業の状況や介護休業制度の取得状況などについて調査。結果は厚生労働省Webサイトに掲載している。

《畑山望》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集