世界の高校生と比較できる「TOEFL Junior」を活用 ~世界基準の英語力を伸ばす筑波大学附属坂戸高等学校の英語教育とは~

 埼玉県で初めて、国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)認定校となった筑波大学附属坂戸高等学校。2022年度より英語外部検定として「TOEFL Junior」を導入した意図や、その活用方法について聞いた。

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筑波大学附属坂戸高等学校
筑波大学附属坂戸高等学校 全 7 枚 拡大写真

 2017年に埼玉県で初めて国際バカロレアを取得できるディプロマプログラム(IBDP)を導入した筑波大学附属坂戸高等学校。2015年から5年間、文部科学省よりスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定され、2019年からはWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)*1コンソーシアム構築支援事業の拠点校として、国際的に活躍できる人材育成のためのさまざまな教育プログラムを開発している。

 そこで同校では、生徒の英語運用能力を詳細に把握しようと、2022年から「TOEFL Junior」*2を導入した。その目的と活用方法について、国際バカロレア部部長の本弓(ほんきゅう)康之先生、海外生徒募集担当の中䑓(なかだい)昇一先生、外国語科の加藤敦子先生に話を聞いた。
 *1「WWL」: これまでのスーパーグローバルハイスクール事業での取組みの実績等、グローバル人材育成に向けた教育資源を活用し、高等学校等の先進的なカリキュラムの研究開発・実践と持続可能な取組みとするための体制整備をしながら、高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働し、テーマを通じた高校生国際会議の開催等、高校生へ高度な学びを提供する仕組み(ALネットワーク)の形成を目指す取組み。
 *2「TOEFL Junior」:世界の中高生を主な対象者として設計された、英語運用能力を測るテスト。リスニング、文法・語彙、リーディングという3セクションにおいて「どれだけ英語を使えるか」を測るもので、結果は合否判定ではなくスコアで表される。このスコアは国際的な英語評価基準(外国語の運用能力・熟達度を同一の基準で評価する指標)であるCEFRと連動している。

「英語“で”学ぶ」筑波大学附属坂戸高等学校の英語教育が目指す姿

--まず最初に、筑波大学附属坂戸高等学校はどのような学校なのか、その特徴について教えてください。

本弓先生:私たちは1994年に日本初の総合学科を開設し、総合学科のパイオニアとして探究を軸とする教育課程の開発を行っています。自分の未来を思い描きながら、履修科目を選択できることが総合学科の特徴です。

 また、2015年から5年間、文部科学省よりスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定され、2017年2月には埼玉県で初めて国際バカロレア認定校に。現在は1学年10名程度の生徒が国際バカロレア(IB)コースを専攻しています。2019年からはWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)拠点校として、筑波大学の海外ネットワークを活用し、グローバル教育に力を入れています。

 本校には、グローバルリーダーを目指すSuper Global(SG)クラスが1クラス、自分の学びにあう学習スタイルを追求するInter Global(IG)クラスが3クラス。IBコースは、SGクラスの一部という構成で、1学年160名ほどの生徒が在籍しています。

国際バカロレア部部長 本弓康之先生

中䑓先生:私たちの英語教育への姿勢としては、英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶという、より実践的な英語を体得してほしいと思って授業を実施しています。

 グローバルに活躍するためには、英語力はもちろん重要ですが、それだけでは通用しません。社会課題への意識や、持続可能な社会の実現にどのように関わっていくかなど、自分の意見をもつことも重要です。両コース共、グローバルリーダーとして活躍していく基礎として、コミュニケーション能力や課題発見・解決力を育むカリキュラムになっています。

英検との違いは?「TOEFL Junior」を選ぶ理由

--御校は英語教育やグローバル教育に力を入れているだけに、入学希望者は英語が得意なお子さんが多いのでしょうか。

本弓先生:IBコースを含めたSGクラスを選択するお子さんだけでなく、IGクラスのお子さんも含め、入学時点での英語力は低くはないと思います。とはいえ、保護者が外国籍で、家では英語がメインという子もいれば、日本で生まれ、日本語でのコミュニケーションだけで育ってきたお子さんもいます。出身中学も日本の一条校だけでなく、インターナショナルスクールや海外の現地校、日本人学校に通っていた帰国子女もおり、バックグラウンドが非常に多様なので、一概に「英語ができる」と言ってもその英語力にはかなり幅があるというのが現状です。

--なぜ2022年から「TOEFL Junior」を導入され、2023年からはプレースメントテストとして活用を始めたのでしょうか。

加藤先生:まさに、その幅のある英語力をより詳細に把握するため、入学してきた生徒ひとりひとりの運用能力(熟達度)を測るというのがいちばんの目的です。

中䑓先生:「TOEFL Junior」はオールイングリッシュのアセスメントで、指示や問題文すべて英語です。また、文法・語彙、リスニング、リーディングそれぞれのスコアが出ますから、英語運用能力の中でも、生徒ごとにどの部分を強化していく必要があるのかが一目瞭然でわかります。

海外生徒募集担当 中䑓昇一先生

加藤先生:試験の中に日本語が含まれると、日本語よりも英語が得意なお子さんが受けた場合、日本語が理解できないために試験結果が悪くなるということがあります。日本語の運用能力は一切関係なく、すべて英語で受験することで、平等に英語力を測ってみたいと考えたのです。

 2022年の導入時はIBクラスの生徒に、そして2023年からは全クラスの生徒に入学時に受けてもらいました。これまでは教員の感覚や手応えのみで指導してきましたが、熟達度がスコアで測定できる「TOEFL Junior」では、何が得意で何が苦手かを客観的に数値で把握できるようになり、1年間の指導の戦略が立てやすくなりました。

中䑓先生:英検との大きな違いは、「資格」か「アセスメント」かという点にあります。英検は、合格点を1点でも超えていれば資格が得られます。仮に50点を超えても、同じ級の試験である限り、プラス1点で合格した人と同等の扱いです。一方「TOEFL Junior」はアセスメントなので、合格・不合格という概念はありません

本弓先生:たとえば英検2級(CSEスコア1980以上)は、4技能の国際標準であるCEFR指標では「B1」のレベルです。しかし「TOEFL Junior」のスコアでCEFRに換算してみると「A2」だったということは、珍しくありません。同じ級をもっていても実際の英語力にはそのくらい開きが出てしまうので、英検の級だけではどこに重点を置けばいいのか、対策ができなくなってしまうのです。

中䑓先生:今も国内においては英検が主流ですが、海外大学への進学を考えた場合に英検は通用しません。TOEFL iBTやIELTSといったグローバルスタンダードな試験を受ける必要がありますから、TOEFL iBTやIELTSの入口としても、オールイングリッシュの「TOEFL Junior」は最適だと思います。

生徒が英語を主体的に学ぶようになる

--「TOEFL Junior」の結果を受けて、御校ではどのように授業に反映させているのですか。

加藤先生:「TOEFL Junior」で測ると、IGのクラスの中にも、IBコースを選択できるレベルの高い英語力をもつ生徒もいます。授業は一斉授業の形態ですが、そのような生徒には、英語でプレゼンテーションをしてもらうなど、皆の前でアウトプットする機会を積極的に与えています。そうすると、その生徒の自信になるだけではなく、他の生徒たちも大いに刺激を受け、「もっと英語を使ってみたい」「英語を使えればこんなに世界が広がるのか」と思えるきっかけになるのです。

本弓先生:先ほどご説明したとおり、本校は「総合学科」の学校ということもあり、すべての教科を通じて思考力や表現力、主体性などを身に付けることができるカリキュラムになっています。国際的な問題に取り組むこともあり、生徒たちはそうしたアウトプットの機会を通じて、英語の運用能力を高めています

加藤先生:今は入学時だけですが、今後は学年末にポストテストとしてもう一度受けて、1年間の伸び率や推移を測りたいと考えています。「TOEFL Junior」は英語の運用能力を測るものなので、その対策は「いかに英語を使うか」に尽きます。英語を読んで、聞いて、書いて、話してという実践スキルを高めるしかないのです。そういう意味では、生徒ひとりひとりが授業にどれだけ真剣に取り組むかが成長の原動力になります。我々は「TOEFL Junior」を通じて、生徒たちの客観的なデータをもとにしながら、できるだけ実践の機会が多い授業を組み立てていかなくてはいけないと思っています。

外国語科 加藤敦子先生

中䑓先生:昨今は高校卒業後の進路において、海外大学を視野に入れるお子さんも増えています。その際には、英語圏の大学の講義やディスカッションに対応できる素養を測定するため、TOEFL iBTやIELTSといったアセスメントのスコアが求められますが、こうした試験は高校生にとってはレベルが高く、いきなり受験しても歯が立たずに心が折れてしまうことが少なくありません。しかし、CEFR B2後半まで測定可能な「TOEFL Junior」を入門編としてスコアを伸ばしていき、そこを足場にTOEFL iBTやIELTSに乗り換えれば、勉強の成果を実感しながら着実に英語力を伸ばしていけるのです。

本弓先生:そのような心理的なハードルだけではなく、TOEFL iBTは受験料が245ドルと非常に高額で、経済的なハードルも高い。けれど「TOEFL Junior」であればはるかに安価(※)で、団体受験では割引もあり、365日いつでも受けられますから、受験しやすいのではないでしょうか。(※)公開テストの受験料は4,500円(税込)

「TOEFL Junior」は世界への入り口

--「TOEFL Junior」を導入したことで、生徒さんたちに変化は見られましたか。

加藤先生:まず入学時に、日本語が一切書かれていない、指示や問題文、解答用紙まで全てが英語で運用される試験を受けることで、生徒たちには「ここでは英語“で”学ぶのだ」という自覚が芽生えているように感じます。

中䑓先生:そうですね。本校で「TOEFL Junior」を採用していることは、「英語は手段であり、運用力が重要である」というメッセージそのものです。生徒たちはこの試験を通じて、入学当初から早くもそのメッセージを感じ取っています。ですから本校では教員も生徒も、英語の勉強をする目的は入試や資格試験に「合格」することではなく、世界中の多様なバックグラウンドをもつ人々とのコミュニケーションや、自分の意見を英語でまとめ、世界に発信できるような「運用力」を身に付けることなのだと体感で理解できていると思います。

1994年に日本初の総合学科を開設。総合学科のパイオニアとして「探究」を軸とする教育課程の開発を行っている筑波大学附属坂戸高等学校。「TOEFL Junior」を活用し英語の運用力を高め、グローバルに活躍できる力を子供たちに授ける

本弓先生:残念ながら、今の日本の教育課程では、英語で運用力を評価されることはまだ決して多くはありません。しかし、足元を見れば人口は減り続け、経済規模は縮小傾向です。生徒たちがこれから生きていく未来は、活躍の場を求めて海外に出たり、日本にも海外からの移住者が増えたりすることが予想されます。そこで必要なのは、検定試験を突破するための英語力ではなく、もっと実用的な運用力を身に付けることです。我々はそうした未来を視野に入れ、「TOEFL Junior」の内容構成に象徴されるように、英語教育の軸を「運用」に据えることで、グローバルに活躍できる力を生徒たちに授けることがミッションだと考えています。英語の運用力を高め、仕事や生活の拠点という点で生徒たちの人生の選択肢が広がっていくことを願っています。

--なぜ英語を学ぶ必要があるのかという目的を、「TOEFL Junior」を受けることで肌感覚で理解できるようになるのですね。それは生徒さんたちにとって、入学時から主体性のある学びの実現にもつながり、成長を加速させていく原動力になっていくのではないでしょうか。

 ありがとうございました。


 「TOEFL Junior」は資格ではなく、英語の運用能力(熟達度)を測るアセスメントである、というメッセージが印象に残った取材となった。日本の英語教育は依然として試験への合格・不合格が主軸にあり、運用能力という観点から見ると、未来での選択肢を広げるには限界がありそうだ。まずは「TOEFL Junior」を受験し、世界標準の運用力を把握してみてはいかがだろうか。

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《田中真穂》

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