東大生には、小学校の頃から自分で本を読んだり、親御さんから読み聞かせをしてもらったりしていた経験のある人が多い。その読書経験が、受験にも生かされたと語る人も少なくない。
今回は、東大生100人に聞いた「東大生が小学生のときに読んで、記憶に残っている本」の結果をみなさんに共有したい。
東大生が小学生のときに読んで記憶に残っている作品
1位 J・K・ローリング 『ハリーポッターシリーズ』
2位 時雨沢恵一 『キノの旅』
3位 星新一 『星新一ショートショートセレクション』
4位 重松清 『青い鳥』」
4位 ミヒャエル・エンデ 『モモ』
5位 森絵都 『カラフル』
5位 メアリー・ポープ・オズボーン 『マジック・ツリーハウスシリーズ』
1位 『ハリーポッターシリーズ』
言わずと知れた名作だが、自分で読んでいたわけではなく、親に噛み砕いて読んでもらったという東大生も結構いた。分厚くて漢字も多く読みにくい本なので、「自分で読むのだとハードルが高い本だから、親が読んでくれた」「こういうちょっと難しい本を読んでもらったことはよく覚えている」とのこと。
「自分にとってちょっとハードルが高い本」の読み聞かせは、「〇〇ってどういう意味?」というような質問も発生して、語彙が増えたり、思考が深まったりするきっかけになっていくようだ。
2位 『キノの旅』
主人公のキノが、さまざまな国を旅する短編集。いろんな国を訪れて、理想の国や幸せについて考えるきっかけをくれ、多くの東大生にとって記憶に残り続けるものになっているそうだ。
どこかで毎回絶対に「どんでん返し」が用意されているのも魅力だ。「まあこういう話なんだろうな」「ああ、どうせこういうエピソードなんだろう」という大方の予想を裏切って、「え?そういう展開になるの?」と驚かせられ、面白く読むことができる。
完全な機械化が達成された、仕事をしなくても良い国に行ったはずなのに、なぜか人々は会社に行っている。人を殺しても良い国に行ったはずなのに、なぜかものすごく治安が良い。そうした意外性が、東大生の心を掴んだのだろう。
3位 『星新一ショートショートセレクション』
2位に続き、短編を集めたショートショートの作品。近未来を描いたSF入門のようで、現代を見透かしていたかのような話がたくさんあって面白い。また、起承転結が非常にはっきりしている作品が多く、ひとつの作品が短いので、物語を読む良い訓練にもなったようだ。
4位 『青い鳥』
もはや児童文学の王道作家と言って良い重松清による名作のひとつ。彼の作品は、中学受験の国語でもよく取りあげられており、その影響もあって重松清の作品を多く読み、今でも心に残っていると答えた東大生は非常に多かった。
この作品は、子供に感情移入しながら読むことも、大人に感情移入しながら読むこともできる。子供が頑張って足掻く様を子供の視点で読むのも面白いし、大人として成長を見守りながら読むこともある。大人になってから読み返したらまた違う面白さがあった、という東大生もいたので、親子で読んでみるのもお勧めだ。
4位 『モモ』
児童文学の世界的ロングセラーで不朽の名作。10歳の主人公モモとその仲間と「時間どろぼう」の話。時間がテーマになっており、時間やその使い方・その価値について考えさせられる作品だ。哲学的な内容を含む一冊であり、多くの東大生が、ずっと大人になってからも心の中に残り続けているという。さらにこの本は、「何度も読み返した」という東大生が多かった。一度読んで理解できなくても、何度も読むうちに理解できるようになる本だと言えるのかもしれない。長編だが、こちらも親子でじっくり味わうに値する読書体験となるだろう。
5位 『カラフル』
映画化もされている名作。「主人公が、自殺した人物の中に魂として入り込み、その人物として一定期間生活する」という若干ショッキングな内容なのだが、小学6年生~中学生ぐらいの生徒が読むとちょうど良いと考えられる。この物語のオチは非常に感動的で、多くの人が「自分の人生で挫けそうになったときに力をくれる一冊」と語っていた。
5位 『マジック・ツリーハウスシリーズ』
これもやはり児童書としては世界的なベストセラーだ。本を読んで「ここへ行きたい」と唱えるとその場所に行けてしまう魔法のツリーハウスと、そのツリーハウスを使って冒険する兄妹2人の物語。ハリーポッターシリーズほど重厚感がある作品ではないが、そのぶん非常に読みやすく、小学校3~4年生くらいの児童でもとっつきやすい内容だと言える。