【全国学力テスト】言語活動とデータ活用に課題…2024年度結果公表

 文部科学省は2024年7月29日、2024年度(令和6年度)全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。今回は小学校・中学校ともに国語と算数・数学のみを調査。平均正答率は中学校の国語のみ下降。国語では言語活動に、算数・数学ではデータ活用に今後さらなる工夫が必要との分析がなされた。

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令和6年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)のポイント
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 文部科学省は2024年7月29日、2024年度(令和6年度)全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。今回は小学校・中学校ともに国語と算数・数学のみを調査。平均正答率は中学校の国語のみ下降。国語では言語活動に、算数・数学ではデータ活用に今後さらなる工夫が必要との分析がなされた。

 2024年度全国学力テストは4月18日、小学6生と中学3年生を対象に国語、算数・数学の教科調査と質問調査を実施した。集計対象の児童生徒数および学校数は、小学校が96万389人・1万8,673校、中学校が90万4,048人・9,603校。児童生徒の質問調査は、今年度より全面的にオンラインによる回答方式で行われた。

 調査結果によると、教科に関する調査の全国(国公私立)の平均正答率は、小学校の国語が67.8%(前年度67.4%)、算数が63.6%(同62.7%)。中学校の国語が58.4%(同70.1%)、数学が53.0%(同51.4%)。各年度の問題の難易度・出題内容が異なることから、過年度の結果との単純比較は適当ではないとしているが、中学校の国語のみ前年度比11.7ポイント減と大きく平均正答率が下降した。

 国語では自分の考えや意見を伝える記述問題を出題。小学校では事実と感想、意見との区別が明確でないなど、自分の考えを伝えるための書き表し方の工夫に課題が、中学校では自分の考えは記述していても、必要な情報を取り出すことや表現の効果を考えることに課題がみられた。教科ごとの調査結果のポイントとして、小中学校ともに記録、要約、説明、論述、話合いといった言語活動を工夫することが重要との分析結果が出ている。

 算数・数学では、図形や単位量あたりの大きさ(速さ)、複数集団のデータの傾向などについて、日常生活を絡めながら活用できる知識・技能を習得させることが重要と分析。特に、データ活用については、小学校段階からデータを言葉と数を使って表現する力を身に付けさせることが重要としている。

 質問調査の結果では、学習指導要領の趣旨を踏まえた取組みとして、「主体的・対話的で深い学び」に取り組んだと回答した児童生徒ほど、各教科の正答率や挑戦心・自己有用感・幸福感等が高く、自分で学び方を考え工夫している傾向がみられた。

 また、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の両方に取り組んだ児童生徒グループは、他のグループに比べて、各教科の正答率や授業の理解度、挑戦心・自己有用感・幸福感等が高いという結果が出ている。

 このほか、ICT機器の活用については、小学校93%(前年比3ポイント増)、中学校91%(前年比4ポイント増)が「ほぼ毎日」または「週3回以上」活用すると回答。課題解決に取り組む学習活動を行っている学校ほど、考えをまとめ、発表・表現する場面でICTを活用している割合が高く、約9割の児童生徒がICT機器活用の効力感を感じていることが示された。

 全国学力テストの結果は国立教育政策研究所のWebサイトに掲載しており、より詳細な結果・分析を見ることができる。

《畑山望》

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