東京「少子化対策の論点整理」都民1万人超の調査結果を反映

 東京都は2024年8月2日、「少子化対策の推進に向けた論点整理2024」を公表した。若年層や子育て世代の都民1万人以上を対象に実施した意識調査の結果をもとに、「出会い・結婚」から「社会気運・環境整備」まで各ライフステージの現状を分析。シームレスな支援を実現するべく、来年度(2025年度)予算に向けた政策検討における課題を整理している。

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論点1:出会い・結婚への希望を叶える取組(出会い・結婚)
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 東京都は2024年8月2日、「少子化対策の推進に向けた論点整理2024」を公表した。若年層や子育て世代の都民1万人以上を対象に実施した意識調査の結果をもとに、「出会い・結婚」から「社会気運・環境整備」まで各ライフステージの現状を分析。シームレスな支援を実現するべく、来年度(2025年度)予算に向けた政策検討における課題を整理している。

 「少子化対策の推進に向けた論点整理」は、最新のデータや都民への意識調査、有識者の意見などをもとに、少子化の背景や要因を丁寧に分析し、来年度予算に向け政策検討における課題を整理したもの。2024年版では、都内在住の若年層(18~29歳)および子育て世代(30~49歳)の男女1万人を対象としたアンケートと、計60人を対象としたグループインタビューを実施し、結果を論点整理に反映している。

 社会経済の存立基盤を揺るがす少子化は日本全体で急激に進行しており、東京都の2023年度の合計特殊出生率は0.99と過去最低を記録。初めて1.00を下回る事態となった。生涯未婚割合も大きく上昇しており、東京都では50歳時点で、男性の約3人に1人、女性の約4人に1人が結婚経験がない状況にある。

 こうした状況を踏まえ、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて、東京都は「出会い・結婚」「妊娠・出産」「子育て期の支援」「教育・住宅」「就労環境・職場環境」「社会気運・環境整備」の6分野の現状分析調査を実施した。

 未婚者(18歳~29歳)のうち、65.4%は「結婚願望あり」と回答したものの、恋人との交際を望む人の55.8%が「積極的に活動を行っていない」と回答。結婚等に向けた活動では「マッチングアプリ/サイトの利用」57.0%がもっとも多い。

 妊娠・出産にあたってはさまざまな不安があり、出産費用の軽減や産後ケアの充実、不妊・不育症の検査・治療など、経済面から身体面・精神面まで幅広い支援を求める声があがっている。東京都の出産費用は全国で唯一60万円を超えており、もっとも低い熊本県との差は約24万円にものぼる。晩婚化により晩産化も緩やかに進んでおり、不妊治療など生殖補助医療についてもサポートの必要性が高まっている。

 子育て期を通じた支援のうち、保育の待機児童はほぼ解消。2023年4月時点で286人まで減少している。一方、学童クラブは実際の開所時間と理想の開所時間に乖離が生じており、利便性の向上やサービスの充実が求められている。

 そのほか、教育費や住居費の負担の大きさ、若年層や子育て世帯が将来展望を描ける就労・職場環境整備の必要性、子育てに関する社会の理解促進と社会全体でサポートする気運醸成の重要性などについてまとめている。

 東京都では調査結果を踏まえ、少子化対策のさらなる充実に向けた、今後の政策検討課題を整理。分野ごとの現状・分析や都の特性などを踏まえ、より実効性の高い施策を構築するほか、結婚から妊娠・出産、子育てしやすい社会の実現に向けて、政策分野ごとに、支援のあるべき方向性について多角的に検討するとしている。

 「少子化対策の推進に向けた論点整理2024」は、東京都の子供政策連携室ホームページに掲載。概要版と意識調査の結果などすべて含んだ全文を見ることができる。

《畑山望》

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