東京商工リサーチは2024年10月22日、第13回「全国女性社長」調査の結果を公開した。2024年の全国の女性社長は64万9,262人で、前年から3万7,038人増加した。全国の社長の15.24%(前年14.96%)で、初めて15%を超えた。出身大学1位は「日本大学」、2位「慶應義塾大学」、3位「早稲田大学」となった。
同調査は、東京商工リサーチの保有する約425万社の経営者情報(個人企業を含む)から、女性社長(病院、生協などの理事長を含む)を抽出し分析したもの。調査は2010年に開始しており、今回が13回目となる。
2024年の全国の女性社長は64万9,262人で、前年から3万7,038人増加。全国の社長の15.24%で、初めて15%を超えた。調査を開始した2010年(21万2,153人)から14年間で3倍(206.0%増)に増え、女性が働きやすい環境を整えることが社会的な課題に浮上し、政府や自治体の創業支援や事業承継支援に加え、企業を巻き込んだ女性の活躍をサポートする取組みが少しずつ広がりつつあるようだ。
都道府県別の女性社長数は、最多は東京都の16万5,102人(前年15万5,210人)。大阪府6万3,177人(同5万9,655人)、神奈川県4万1,614人(同3万9,434人)、愛知県3万3,014人(同3万1,512人)、福岡県2万8,050人(同2万6,597人)と続き、上位5位まで前年と同じ順位で大都市圏が並んだ。一方、最少は島根県の1,729人(同1,697人)で、1.8%増えたが唯一2,000人を割り込んだ。ついで、鳥取県2,242人(同2,158人)となった。
2024年1月1日現在の住民基本台帳人口に基づいた、都道府県別の女性人口10万人あたりの女性社長数は、最多が東京都の2,332人で、3年連続で2,000人を超えた。ついで、沖縄県1,392人、大阪府1,387人、山梨県1,381人と続く。一方、最少は新潟県481人、ついで山形県499人の2県が500人を下回り、東京都と新潟県の格差は4.8倍に広がった。
都道府県別の「女性社長率」(全社長数に対する女性社長数の割合)は、最高が沖縄県の20.62%(前年20.58%)で唯一、20%を超えた。ついで、山梨県17.36%、東京都17.21%、茨城県16.99%、大阪府16.82%など。一方、低いのは新潟県9.69%(同9.40%)、山形県9.78%(同9.68%)の順で、この2県は10%に届かなかった。
年齢が判明した女性社長の平均年齢は65.1歳で、男性社長の平均63.3歳より1.8歳高い。産業別では、不動産業67.4歳、小売業67.2歳の順で高く、小規模事業が多い2産業が平均年齢を押し上げている。10産業のうち、唯一の50代は情報通信業の58.2歳だった。産業別では、建設業、卸売業、小売業、不動産業で70代の社長が多い。一方、農・林・漁・鉱業、製造業、情報通信業、サービス業他は60代の社長が多く、金融・保険業と運輸業では50代の社長が最多を占めた。
女性社長がもっとも多い産業は、「サービス業他」の32万913人(構成比49.4%)で、全体のほぼ半数を占めた。喫茶店や食堂など開業の敷居が低い飲食業のほか、美容業やエステティック業など女性が活躍しやすい業種が目立つ。ついで、不動産業9万7,269人(同14.9%)、小売業6万6,223人(同10.2%)が続き、上位3産業が10%を超えた。
産業別の「女性社長率」では、不動産業が25.06%でもっとも高く、4人に1人が女性となった。ついで、サービス業他19.04%、小売業15.68%、情報通信業13.47%の順で続く。一方、建設業は5.45%でもっとも低い。このほか、農・林・漁・鉱業8.16%、運輸業9.37%の順で低く、下位の3産業が10%を割り込んだ。一般的に男性労働者が従事するイメージの強い産業では、経営者の女性進出も低調な傾向がみられた。
女性社長の出身大学は、OB数が日本一を誇る日本大学が480人(前年同数)でトップ。2位の慶應義塾大学は410人(同393人)で、初めて400人を超えた。ついで、早稲田大学355人、東京女子医科大学322人、青山学院大学243人が続く。東京都以外の大学では、6位の同志社大学201人が最多で、14位の大阪大学133人が続く。
国公立大学は、前年8位から1ランク上げた東京大学189人が最多。このほか、14位の大阪大学133人も前年18位からランクを上げた。15位の広島大学132人、18位の九州大学129人をあわせた4校が20位までにランクイン。東京都の私大が上位を占める構図は変わらないが、国立大学にも伸長傾向がみられた。