学力上位層に強い医学部志向…メビオが語る西日本の最新事情

 1980年の創立から45年目を迎え、医学部合格者数が延べ5,636名と関西エリアで高い実績をあげている医学部進学予備校メビオ。校舎責任者を務める高橋元氏に、西日本における医学部入試の最新動向と、それを支えるメビオの取組みについて聞いた。

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学力上位層に強い医学部志向…メビオが語る西日本の最新事情
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 いよいよ今年度の医学部入試がスタートする。少子化に伴う大学入試の競争緩和が進む中、依然として医学部入試は高い人気を誇り、狭き門が続いている。

 西日本エリアにおける医学部入試の状況はどうなっているのだろうか。1980年の創立から45年目を迎え、医学部合格者数が延べ5,636名と関西エリアで高い実績をあげている医学部進学予備校メビオ校舎責任者・高橋元氏に、西日本における医学部入試の最新動向と、それを支えるメビオの取組みについて聞いた。

上位層に強い医学部志向、通える国公立が多いのも人気

--狭き門が続く医学部入試ですが、特に西日本では学力上位層に医学部志向が強いと聞きます。これにはどういった背景があるのでしょうか。

 西日本でも引き続き医学部人気が高く、倍率が高止まりしています。教育熱心な保護者による医学部への進学志向も変わらず、これについては関東よりも関西のほうが強いかもしれません。

 背景として考えられるのが、近畿地方に国公立大学の医学部が多いことです。首都圏では、電車で通える圏内の国公立の医学部となると、東大理IIIと東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)といった超上位校、筑波大学や横浜市立大学といったあたりになります。しかしながら近畿圏は、京都大学、大阪大学、やや上位層ならば神戸大学、大阪公立大学、京都府立医科大学、奈良県立医科大学、滋賀医科大学などが電車で通える範囲内にあり、選択肢が多いのです。その一方、私立医学部が少なくはあるものの、国公立の選択肢が広い分、医学部にチャレンジしやすい環境だと思います。

医学部進学予備校メビオ校舎責任者の高橋元氏

--西日本エリアで医学部を受ける場合、どのようにして自分にあった大学を選べば良いのでしょうか。

 まず前提として、関西では西日本全体から受験校を選ぶ傾向があります。そのうえで関東との違いを見ると、受験者数が多い関東の私立大学ではマークシート方式の入試が比較的多い一方、西日本の私立大学では国公立のような記述式の入試が多いのが特徴です。国公立向けの勉強がそのまま生かせるという点では、併願先として考えやすい私立大学が西日本には多いと言えます。

 私立専願の場合は、選べるほど選択肢は多くないため、すべての大学を受けにいくケースが多いように思います。ある程度学力がある生徒は大阪医科薬科大学、関西医科大学、近畿大学、兵庫医科大学をメインにして、少し不安であれば1校足して愛知医科大学という受け方が多いですね。

 昨今のトピックをあげると、関西医科大学が2023年度から学費を2,100万円台まで引き下げたことで、日本の私立大学の中で3番目に学費が安い医学部となり、偏差値が大幅に上昇しました。受験者が高学力層に広がったため倍率が高く難しくなり、関西ローカルの大学から一気に全国区になりました。

--具体的な受験校のパターンについてお聞かせください。

 関西の学力上位層、たとえば灘高校や東大寺学園、洛南高校、西大和学園といったトップ校の生徒たちは、基本的に国公立志望です。後期試験の定員数が多い奈良県立医科大学があるので、前期試験に京都大学や大阪大学、後期に奈良県立医科大学を受験するケースが多いですね。私立も併願するとしたら、上位層では大阪医科薬科大学、次点で関西医科大学が続きます。

 それよりも比較的難易度が低めの私立大学では、マークシート方式の出題が増えます。西日本で完全または一部マーク式なのは、近畿大学や岡山県の川崎医科大学、石川県の金沢医科大学、福岡県の久留米大学および福岡大学、愛知県の愛知医科大学および藤田医科大学です。川崎医科大学や金沢医科大学は完全マーク式です。藤田医科大学は後半に記述があるものの、前半のマークシート部分で足切りされる形になっています。藤田医科大学や金沢医科大学などは、今ではすべて難化して30年前とはまったくレベルが違います。簡単な医学部はない、どの大学も難しいと考えてほしいと思います。

西日本のおもな医学部(メビオのWebサイトを参考に編集部にて作成)

--西日本における医学部の入試問題に関して、共通する特徴や傾向は見られますか。

 例外はあるものの、マークシート方式でスピード勝負という大学は少ないです。どちらかというと、時間をしっかり与えられたうえで思考力勝負になる傾向が強いといえます。特に、難易度が高い大学ほど記述力が求められます。たとえば関西医科大学や大阪医科薬科大学などでは、本格的な論証が必要になるなど、正攻法で勝負する出題が見られます。そのため、記述力が弱い生徒にはマークシート方式や、記述問題であっても論証が少ない大学の受験を勧めるケースが多いですね。

 もうひとつの特徴として、西日本では教科書どおりのことを聞いてくるような大学が多く、関東に比べて問題がやや易しく見えるかもしれません。ただし、だからといって、マークシート方式に向いているような膨大な量のパターンや解法の暗記といった勉強方法では厳しいと思います。むしろ、記述式メインのため小手先のテクニックでは対応しきれず、教科書ベースの本質を押さえた内容をどれだけきちんとカバーできているかが重要なのです。ある意味、共通テストで得点できる力に近いかもしれません

 ですから、勉強方法においては、ただ覚えるだけよりも、「なぜこうなっているんだろう」と、意味をひとつひとつ考えて学ぶことをお勧めします。いきなり難しい問題をやり始めると、できないものを頑張って「学んでいる気」になるのですが、実際にはできないままで終わってしまいがちです。できないところは教科書でしっかり見直して、必要であれば中学の範囲まで戻ってでも、基礎の穴を埋めていくことが必要です。一見遠回りに見えるそうした勉強のやり方は、実は得点アップのための近道なのです。

面接試験で見られる「力」とは

--最近は面接が重視されていると言われます。大学側は受験生にどのような人物像を期待し、どういったところを評価しているのでしょうか。

 その場で考えて受け答えができる力を評価していると考えます。多くの受験生が想定質問に対して周到に準備を重ねて面接に臨むと思いますが、そうすると変化球の質問にきちんと答えられず、無理に自分の土俵に引きずり込むような形で、用意してきた答えを返すようなおかしなことになりがちです。

 もっとも大切なのは、相手が何を聞いているのか、正しく聞く力です。これは将来医師になったときに、欠かすことのできない重要なスキルです。いちばんまずいのは、黙ってしまって答えられなくなるケースです。わからないことは「わからない」と言っても良いので、質問の内容を理解し、何を聞かれているのかをその場で良く考えて答えを返してほしいと思います。

--なぜ最近の医学部はここまで面接を重視するようになったのでしょう。

 やはり臨床医を育てたいという意図があると思います。最終的には人対人の仕事なので、しっかりとコミュニケーションをとれない人は医師になるべきではないという考えがあるのではないでしょうか。もちろん、面接が抜群にできる生徒が受かりやすいというわけではなく、基本は学力重視ですが、学力が上位の人が面接で落とされるケースは多々あります。どちらかというと、面接は順位を下げる方向に作用することが多いという実感がありますね。

--では、志望理由書、小論文などで、西日本の大学を受験する際に気を付けておくべきポイントがあれば教えてください。

 西日本の大学は基本的に学科試験勝負なので、小論文については、論理に矛盾がなく筋が通っていることなどを注意すれば、高尚なことを書かなくても大丈夫です。一方、志望理由書は重要です。これをどう書くかによって面接で何を聞かれるかがある程度決まってきます。

 注意点としては、志望理由について、医師を志望する理由なのか、その大学を志望する理由なのかどちらを聞いているか区別すること。面接でも「医学部が良いのはわかったけど、なぜうちの大学なのか」と聞かれることもありますので、大学ごとのアドミッションポリシーをよく読み、きちんと区別して考えておく必要があります。

着実に理解し、自ら動けるように育てる

--関西を拠点とする貴塾ならではの強みをお聞かせください。また、どのような生徒が通っているのか、特徴があれば教えてください。

 医師家庭のご子息が非常に多いですね。特に、創立から45年目と長いので、かつての生徒のお子さまが通われるケースがかなり増えています

 カリキュラムはかなりオーソドックスで、「自らが動けるようになること」をモットーに掲げ、そのためにはきちんと教科書レベルの基礎基本から理解することを重要視しています。できなかった問題の解きなおしや演習、定着度を測るテストを定期的に実施し、地道に積み重ねています。この方針は昔から変わりません。

 1クラス平均7名という少人数で、同じ目標と学力をもつ仲間が常に両隣にいる気が抜けない環境で、ときにぶつかることはありながらも仲良くやっています。受験はやはりしんどいものなので、ライバルがいる環境はとても大事です。少人数だからこそお互いの進捗状況もわかりますし、共に学ぶことで長時間の勉強もあまり苦と感じなくなるメリットがあると考えています。ライバル同士で競うことはしんどいことではありますが、しんどさがあってこそ身に付けられるものがあると思うのです。

--貴塾から医学部に合格していった受験生にはどのような特徴、または共通点が見られますか。

 創立から45年目で5,000人以上の塾生が巣立っていきましたが、どの世代も塾生同士が仲が良いです。医師になった後も縦・横のつながりが続いているのが特徴ですね。

 メビオは大阪・天満橋に1校舎しかなく、建物丸ごとメビオなので、巨大な家のような予備校です。徒歩1~2分圏内には専用寮もあります。教室はもちろん、自習室や食堂もあり、講師ルームではいつでも質問できます。食堂では寮生も通いの塾生も職員も3食食べることができ、校舎内で学習生活すべてが完結するのです。クラスも7人ほどしかいないので、講師と生徒の距離も近いうえ、通いの子たちも家には寝に帰るだけで、皆一緒に校舎内で朝から晩まで過ごすので、家族のような連帯感や安心感があります。

 1~2月の受験シーズンには、入試が終わるとそのまま塾に戻ってくる生徒が多いです。メビオでは入試後すぐに解答速報を作るので、それを見て振り返りを行い、講師に質問するなどして、試験でできなかったことをその日のうちにできるようにしています。同じ問題が後日別の大学の入試で出ることもあるので、入試の合間も、「しんどいけど、仲間も来ているし、後期試験までメビオで頑張ろう」となる。このように共に頑張った体験が、卒業後も強い連帯感を生むのだと思います。

 クラス内でも、なかなか合格を手にできなかった子が補欠で繰り上がり合格になると、「お前通ったのか」と自分のことのように盛り上がって喜んでいます。毎年のように目にするのですが、非常に良い光景で胸が熱くなります。

入試本番50日間を戦い抜き、成長の場に

--子供が医学部を受験する場合、保護者はどのようなサポートができますか。

 早寝早起きできているか、きちんと食事をとれているのかといった生活面を支えるのがいちばん大きなサポートになると思います。

 子供の勉強面が遅れていないか非常に心配する保護者もおられますが、「メビオで朝から晩まで12時間も勉強しているので、家ではリラックスさせてあげてください」などとお伝えすることもあります。直前期には家でも勉強が必要かもしれませんが、勉強面については保護者は干渉せず、子供を信頼してもらえればと思います。

--医学部を目指す受験生に向けて、メッセージをお願いします。

 毎年、受験生に対しては、入試が始まる1か月前に、「医学部入試まで残り30日、入試が始まって終わるまで約50日なので、この80日間を戦う覚悟でやれ、戦いを成長の場と思って頑張れ」と伝えています。80日間を戦いながら、戦いを成長の場と思わないといけない、と。

 というのも、この時期の過ごし方で、学力は劇的に変わるからです。本番の試験は模試より5倍も10倍も集中して受けるので、その後の振り返りは確実に血肉となります。入試本番の50日間は1年でもっとも学力が伸びるときで、実際に不合格が続いてもそこでめげずにしっかりと振り返りを行うことで学力を伸ばし、後期試験でついに合格を勝ち取るという、逆転を果たす生徒も毎年います。逆に受けっぱなしで振り返りをしない生徒は、最後抜け殻のようになっている姿を目にします。

 また、これから医学部を目指す受験生には、遠回りして良いので、しっかりと教科書の基礎基本を理解してほしいと思います。数学でいえば、公式をただ暗記して問題に当てはめるのではなく、この公式はどうしてこうなっているのか、どんなときに使うのかという成り立ちや意味を理解すると、思考力を必要とされる問題を前にしたときに、ちゃんと手が動くようになります

 そうするとどんどん勉強が楽しくなるはずです。特に新高3生は、春休みまでに教科書を読み直すなど、改めて高1高2の内容を振り返ると、当時わからなかったことが見えてくるようになります。成長した先で立ち返る、振り返ることは非常に重要だと思います。

--ありがとうございました。


医師が子供を通わせる…サポートが光る医専「メビオ」

 全国に数多の医学部専門予備校がある中で、多くの医師が「自分が行って良かったから」と厚い信頼を寄せ、自身の子供を入学させているメビオ。大きな家のような校舎で、皆が同じ釜の飯を食べ、しんどいながらも共に頑張る経験を経て成長を重ね、多くの合格を勝ち取ってきたことが伝わってきた。

 医学部入試はこれからが本番で、受験生たちは約50日間にわたる入試シーズンに臨む。受験生はメビオのようなプロによる解答速報やサポートをうまく活用して、しっかり振り返りを行い、1年でもっとも成長する50日間にしてほしい。

2025年度医学部入試の解答速報を公開中
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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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