親子で思い出作り、人気のお菓子工場「グリコピア・イースト」に行ってきた

 2025年3月31日、埼玉県北本市のお菓子工場「グリコピア・イースト」で開催されたリセマム読者限定の親子工場見学会のようすをレポートする。

趣味・娯楽 小学生

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グリコピア・イースト外観(左上)、看板(右上)、初代のグリコワゴン(左下)、入場時のようす(右下)
グリコピア・イースト外観(左上)、看板(右上)、初代のグリコワゴン(左下)、入場時のようす(右下) 全 14 枚 拡大写真

 子供たちの体験活動は、社会とのつながりや事物との関わりを感動や気付きとともに学ぶ貴重な機会だ。子供たちはそうした体験をきっかけとして自分事として興味関心を深め、さらに探究へと進んでいくため、保護者の関心も非常に高いものがある。

 1922年、大正時代の創業以来、江崎グリコは人気の食品を数多く生み出してきた。「グリコ」「ビスコ」「ポッキー」「パピコ」などは誰もが一度は口にしたことがあるだろう。現在、同社では、製造工程を見学できる施設として「グリコピア」を運営。兵庫県の「グリコピア神戸」、埼玉県の「グリコピア・イースト」、千葉県の「グリコピア CHIBA」の3か所で工場見学を展開し、どの施設も予約開始早々に枠がすぐに埋まってしまうほどの人気だという。

 今回は2025年3月31日に埼玉県北本市のお菓子工場「グリコピア・イースト」で開催されたリセマム読者限定の親子工場見学会に密着。春休みの貴重な時間に60名の親子が、楽しく工場見学をしながら学ぶようすをレポートする。

当日の入り口前のようす。入り口わきの木に薄いピンクの花が咲いているが、こちらは桜ではなくアーモンドの花

目の前でポッキーとプリッツができあがる迫力の製造ライン

 今回のワクワクファクトリー「グリコピア・イースト」のツアーでは、A~Dの4グループにわかれ、ツアー形式でアテンダントが解説しながら工場を見学した。筆者はDグループに同行。

 まずは製造ライン「ポッキーストリート」へ。

ポッキーのオブジェのわきを通って「ポッキーストリート」へ

 廊下を進んでいくと甘いチョコレートの香りがしてくる。工程のいちばん最後、ポッキーが梱包された段ボールの箱が流れてくるところから見学がスタートした。この出荷前の箱詰めまでにどのような過程があるのか、遡って学んでいくルートだ。なお、グリコピア・イーストの併設されている北本工場では1日約7万箱のポッキーが製造され、東日本を中心に日本全国に送られているという。

 廊下の壁がガラス張りになっていて、中の製造ラインが見えるようになっている。ベルトコンベアで次々と梱包前の商品が流れてくる。

高度に自動化された機械やロボットが、それぞれの仕事を物凄いスピードでこなしていく

 この大規模な製造ラインに、参加者は圧倒されていた。ポッキーが折れるのを防ぐために空気の力を使って持ち上げる、箱詰めの準備に袋の向きを変える、目まぐるしいスピードで流れるポッキーをX線や重量の検査機で不良品がないか瞬時に判別するなど、子供たちはガイドの説明を聞きながら「おもしろい」「すごい」といった声をあげ、身を乗り出して見つめていた。

 また、機械だけに頼らずに、従業員の方がポッキーの状態をダブルチェック。チョコレートが溶けないよう、体温が伝わりにくい手袋を使用するといった細かな配慮のもとで行われる品質管理には、「そこまで厳しくやっているんだ」と同行した大人たちも感心していた。なお検査でなんらかの不備があった商品は、牛や豚など動物の餌や植物の肥料等に100%再利用されているという。

ポッキーにチョコレートをつける工程は企業秘密。来館者はアニメーション動画を特別に視聴できる。小さな子供も見やすいよう、高さの違う2つのモニターが用意されていた

 続いて「プリッツストリート」。この工程ではポッキーの軸部分とプリッツを製造。製品によって材料も異なるそうだ。北本工場は24時間稼働で1日に約5万5,000箱のプリッツを製造している。

 プリッツは小麦粉に砂糖や油を混ぜて生地を作り、機械で生地を小さく切り分け、薄く伸ばして細長くカット。カットされたプリッツは45メートルもあるオーブンで焼きあげる。

子供たちはみな大きく長いオーブンに驚いていた

 またオーブンの中では焼き網の上でプリッツを焼くため、自然と片側にこげめがつく。参加者からは「プリッツのあの跡は何だろうと思っていたけど、これか!」といった声が出ていた。

小さな子も興味津々

 その後、焼きあがったプリッツに液体の調味料をスプレーで味つけして袋詰めの工程へと進んだ。ポッキーとプリッツ製造ライン見学の締めくくりは、この日製造していたものと同じ「超カリカリプリッツ ホタテ醤油味」の試食タイム。子供も大人も誰もが「おいしい!」という声をあげていた。また試食する場所には豊富な種類のポッキーとプリッツが展示されていた。ちなみに、ポッキーのいちばん人気は北海道限定の「夕張メロン味」だという。

試食タイムは工場見学ならではの楽しみかも?

Glicoの世界やお菓子のあれこれを楽しく学ぶ「クイズゲーム」

 次は近未来的な座席が並ぶスタジアムホールに移動して「クイズゲーム」の時間へ。ホール前面に設置された大画面に、宇宙旅行をイメージさせる動画が映し出され、宇宙船のシートを模した席に座り、プラネット(惑星)を巡るチャレンジツアーに臨む。

 各席には赤・青・黄の3つの回答ボタンが用意されている。プラネットは数種類用意されているといい、参加者の押したボタンの総数によって行き先が決まる。早く回答すると得点が加算される仕組みだ。

スタジアムホールの内部。後日実施したアンケートでは多くの子供たちが「クイズが楽しかった」と感想を寄せてくれた

 プラネットを巡って出てくるクイズは全部で7問。栄養菓子「グリコ」をはじめとした商品やマーク、創業の歴史などからの出題が続き、途中経過では獲得得点のベストテンが発表されて子供たちはさらに回答に集中していった。他のプラネットに進むとクイズの難度が上がって、チョコレートの原材料といった、ひとつ深い知識を問う問題へ。全問をクリアするとチャレンジツアーは終了した。

 もっとも多く得点を獲得した優勝チームには、景品のいちごポッキーが贈呈され、大きな拍手で讃えられた。終了後は子供たちから「楽しかったけど景品がもらえず悔しい」という声も聞こえた。

Glico創業の物語とチョコレートができるまで

 続いてはカレッジホールで「Glico創業の物語」と「チョコレートができあがるまで」の2つの映像を視聴。

 創業の物語では、現在の「すこやかな毎日、ゆたかな人生」というパーパス(存在意義)のために、Glicoの社員が大切にしている“創意工夫”が紹介された。創業者、江崎利一の創意工夫の精神は、さまざまな分野で受け継がれているが、その原点は1922年発売の栄養菓子グリコだ。健康や子供たちの成長を考えて作られた製品そのものはもちろんだが、パッケージやキャッチコピー、ロゴマークの採用、子供たちの知識や創造力を育むおもちゃなど、数多くの「創意工夫」にあふれている。販売方法においても90年近く前に、日本初の「映画付きお菓子自動販売機」を開発したことが説明された。

 「チョコレートができあがるまで」では、チョコレートの原料であるカカオ豆の歴史やチョコレートの製造工程を紹介。3,500年前の古代メキシコにまで遡り、そこからカカオの栽培、加工技術の変遷が説明された。ちなみに現在、カカオは赤道付近で収穫され、実からカカオ豆を取り出し発酵・乾燥、日本の工場へ運ばれて良い豆が選別されて、製品にされているという。

参加者は皆、映像に真剣に見入っていた

創意工夫の歴史を体験できる「おもちゃ展示ミュージアム」

 最後は「おもちゃ展示ミュージアム」にある各展示物の解説。90周年を迎えたビスコの箱に使われている男の子についてや、期間限定商品の紹介の後、映像でも紹介された「映画付きお菓子自動販売機」の実機をアテンダントが実演。

 この自販機は昭和6年、東京中心に100台ほど置かれていたもので栄養菓子「グリコ」を買うことができたという。ガイドが当時のお金で10銭を投入すると、グリコとお釣りの2銭が出てきて、市川右太衛門主演の「旗本退屈男」という映画作品が流れた。当時は行列ができるほどの人気があったといい、ガイドからは「映像は5~6回で映画1本分。そのため、何個も自販機でお買い求めになる方もいらっしゃったようです」とのエピソードも。

今でも動画を観ることができる「映画付きお菓子自動販売機」

 ミュージアムにはグリコのおもちゃが古い順にたくさん並んでいる。このグリコのおもちゃは発売以来、およそ3万種類も登場しているという。

 いちばん古いおもちゃは1922年、大正時代の絵カード。その後、1927年(昭和2年)からは小さなおもちゃが入れられ、歴史上の人物を刻印したメダルシリーズや人気のアニメキャラクター、ミニカー、家電、パンダをはじめとした動物など、年代によって世相を反映したおもちゃが封入されてきた。おもちゃの展示には、子供たちはもちろん、懐かしさからか、大人が興味深く見入っているようすも見受けられた。

壁面いっぱいに飾られたおもちゃ。多くの参加者が思い思いに「グリコのおもちゃ」を撮影する姿が見られた

 工場見学の最後に案内されたのはフォトスポット。ポッキーとプリッツに顔を入れながら、あるいはゴールインマークと一緒に、親子でにこやかに記念撮影をする姿も。その後記念品のプリッツをいただいて、ワクワク楽しく学ぶツアーは終了。参加した親子の多くは、グリコピア・イーストの敷地内にある売店でたくさんのおみやげを購入していた。

売店の外観(左上)、売店の内部のようす(右上)、ご当地ポッキーの数々(左下)、売店のトイレのマークもゴールインマークポーズ!(右下)

 また、駐車場には江崎グリコのいろいろな商品のモチーフで飾られた、初代の「グリコワゴン」が。ちなみに2代目のグリコワゴンは現在、神戸に展示中とのことだった。

記念撮影する姿が多く見られた「グリコワゴン」(左上)、ボンネットにはワイパーを模したポッキーの飾り(右上)、ドアの取っ手はパピコ(左下)、バックライトはジャイアントコーンだ(右下)

参加者の感想は…

 後日、参加者の皆さんにはアンケートに回答してもらった。当日の感想を紹介する。

【保護者】

●スムーズな案内、見やすい展示・ツアー、とても満足しました。子供もよく理解できたようです。
●これまで何度か応募したのですが激戦で取れずやっと行けました。また、工場見学だけでなく、グリコの作られた背景など学べることができてより理解が深まり、製品を購入したくなりました。
●子供たちにとって初めての工場見学でした。このようにポッキー、プリッツができるのだと知れて驚いていました。またグリコの始まり、どのような取組みをしいるか等も知れてとても勉強になったようです。子供の興味の幅を広げられてとても有意義な時間が過ごせました。

【お子さん】

●ちょうどお腹がすく時間からの見学だったのでおいしそうでよだれがでちゃっておなかがすいた! 楽しかった。
●とても楽しかったです。プリッツの茶色いのが網で焼いたときの焼き跡と知り、試食のときもおかあさんとその話をしました。最後のクイズ大会も楽しかったです。ありがとうございました。
●楽しかったです。また行きたいです。見学で気になったことが出てきたので自分で調べたいと思います。そしてまた行ったときにガイドさんに聞いて、答え合わせをしたいです。


 グリコピア・イーストでの工場見学は、人気のポッキーやプリッツの製造過程やGlicoの歴史を子供たちが楽しく学ぶ貴重な機会となった。参加した親子は、製造プロセスでの学びはもちろん、Glicoで働く人たちがどのように考えて安全安心なお菓子を作っているのか、また創業者から続く健康と成長への思いや創意工夫の大切さを理解することができたのではないだろうか。子供から大人まで楽しめる人気のグリコピア工場見学の参加には、いずれの施設も事前予約が必要となっている。今後、お子さまの体験機会を増やすためにも、保護者の方にはぜひ参加を検討してほしい。

《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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