海外留学エージェント「スマ留」を運営するリアブロードは、2025年夏の短期留学トレンドに関する最新調査を発表した。もっとも多くの留学希望先として選ばれたのは「フィリピン」で、前年比116%という大幅な伸びを記録した。
円安や物価高の影響を背景に、「費用は抑えつつ、しっかり成果を得たい」というコスパ重視の留学スタイル(コスパ留学)のニーズが広がる中、学費・滞在費を含めた総費用の低さや、短期間での英語習得が可能な学習環境が評価され、フィリピンを選ぶ人が増加している。
2025年夏の短期留学希望先として、フィリピンが前年比116%で1位に選ばれた。留学希望者全体の25.3%がフィリピンを選択し、2位との差は9ポイント以上。前年比116%と、全体でもっとも高い伸び率を記録した。
調査によれば、約6割の留学希望者が「50万円以下」で短期留学を検討している。もっとも多かった予算帯は「30~50万円」(33.7%)、ついで「15~30万円」(23.1%)、「~15万円」(4.00%)であった。物価高や円安の影響を受けつつも、「なるべく安く済ませたい」というニーズが見受けられる。
フィリピン留学は、学費・滞在費・渡航費・生活費を含めても、欧州留学の半額以下に抑えられる点が、コストパフォーマンス重視の層から高い支持を得ている。加えて、1日6~12時間の英語漬け授業やマンツーマンレッスンを受けられる環境も特徴的である。英語圏では一般的に週15~20時間程度の授業時間であるのに対し、フィリピン留学では週最大60時間の集中学習が可能。誘惑の少ない環境で、短期間でも着実な成果を実感しやすい点で、特に時間が少ない社会人や最短で英語力を身に付けたい学生から評価されている。
フィリピンは、同じアジア圏にあるため、気候や食文化が日本と似ていることから、生活環境に大きなギャップが少ないのが特長である。米や魚を使った食事も多く、暑さも湿度を含んだ日本の夏に近いため、海外が初めてという人でも比較的ストレスなく過ごせる。また、日本から直行便で約4~5時間・時差は1時間と、アクセス面でも安心。「いずれ欧州に行きたいけれど、まずは実力をつけたい」という人のファーストステップとして選ばれるケースも増えている。
フィリピンは、美しいビーチやリゾートホテルが立ち並ぶセブ島をはじめ、観光地としても高い人気を誇る。最近では、海外旅行気分を味わいつつ、英語学習にも本気で取り組む「学び×リゾート型」の留学スタイルを選ぶ人も増えている。透き通る海でのマリンアクティビティを楽しみながら、しっかり英語を学べる点が大きな魅力である。
調査では、1か月の短期留学を検討している人のうち、もっとも多い33.7%が「30~50万円」と回答。続いて「15~30万円」(23.1%)、「決まっていない」(20.3%)、「50~100万円」(18.4%)が続く結果となった。注目すべきは、約6割の人が「50万円以下」で留学を検討しているという事実である。物価高や円安の影響を受けつつも、「なるべく安く済ませたい」というニーズが見受けられる。その点で、学費+滞在費込みで10万円台から実現可能なフィリピン留学は、特に初めての留学層や学生にとって、現実的かつ納得感のある選択肢となっており、今回のランキング1位獲得にもつながっていると考えられる。
2025年夏の渡航希望月について、春(1~4月)に留学相談を行った人のデータをもとに分析したところ、8月に出発を希望する人が全体の約25%を占め、もっとも希望者が集中する時期となっていた。ついで7月、9月、翌年3月と続いており、長期休暇を活用して短期留学に挑戦したいというニーズが、春時点でも根強く見られる。とくに8月は例年、手配が混み合う傾向があるため、動き出しのタイミングによっては選択肢が限られる可能性もある。
「多少の条件を妥協してでもフィリピン留学の枠を押さえたい」という声が増えている背景には、留学先選びの基準そのものが変化していることがあげられる。円安や物価上昇の影響もあり、留学費用への意識はこれまで以上に高まってきた。そうした流れの中で、2025年の留学市場では「価格」「学習効果」「安心して過ごせる環境」の3つを軸に、コストパフォーマンスを重視した留学先(コスパ留学)が選ばれる傾向にある。
特に夏休みの短期留学では、限られた時間と予算のなかで、どれだけ自分の成長につながる体験ができるかが重視されており、語学力の向上だけでなく、主体性や課題解決力を育む探究学習型のプログラムにも関心が高まっている。その点でフィリピンは、費用を抑えつつ着実に英語力を伸ばせる環境が整っており、初めての留学にも挑戦しやすさから”留学のスタート地点”として、今後も高い需要が続くと予想される。
一方で、物価や渡航費の影響を受けやすい国では、長期留学や専門性を高める目的型プログラムのニーズが中心となり、より明確な動機や入念な準備が求められる傾向が強まっている。これからの留学は、「どこに行くか」ではなく、「何を得たいか」から選ぶ時代へ。自分にとって最適な選択肢を見極める力が、より重要になっていくという。