この10年間で、中高生のなりたい職業1位が「教員」であることが、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で行った「子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2024」の結果より明らかになった。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所は、2014年に「子供の生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクトを開始した。このプロジェクトでは、小学1年生から高校3年生までの親子約2万組を対象に、2015年以降10年間にわたり調査を実施し、12学年の親子の意識・行動の変化を明らかにしてきた。
分析の結果、進路について深く考える経験をしている子供は、学習意欲が高く、自らの興味・関心を広げて積極的に学習していることがわかった。また、子供が進路を深く考える経験には、教員や保護者の存在や働きかけが影響していることも明らかになった。
なりたい職業1位は、小学4~6年生では「プロスポーツ選手」、中学生では「プロスポーツ選手」と「教員」、高校生では「教員」だった。男女によって、なりたい職業には違いがみられた。また、男女でなりたい職業は異なり、小学4~6年生の男子は「プロスポーツ選手」、女子は「店員(花屋・パン屋など)」に人気がある。中高生のなりたい職業1位が「教員」であることは、この10年間で変化がなかった。
なりたい職業の記述について個人の変化を分析したところ、3人に1人(35.0%)が小学5年生の時と同種の希望を高校2年生まで持ち続けていた。また、なりたい職業が一貫している子供は、「自分の進路について深く考える」「疑問に思ったことを自分で深く調べる」などの機会が少ないといった課題がみられた。希望が明確であるがゆえに、他の可能性を探るきっかけが少なくなっているのかもしれない。
分析の結果からは、特定の職業を選ぶことではなく、さまざまな角度から自分の進路について考えることが重要であることがうかがえる。