イード・アワード2024「幼児教室」において、「七田式教室」が優秀賞と部門賞「先生が良い幼児教室」「授業が良い幼児教室」を受賞した。しちだ・教育研究所、しちだ・ライフ代表取締役社長の七田眞裕美氏に七田式教育が大切にしていること、高い評価を得ている理由など話を聞いた。
幼児教育と歩んで66年
--まずはイード・アワード2024「幼児教室」の優秀賞と部門賞「先生が良い幼児教室」「授業が良い幼児教室」のご受賞おめでとうございます。ご受賞の感想をお聞かせください。
通信教育から始まった七田式教育ではありますが、幼児教室をお客様に身近な場所だと感じていただき、このような評価をいただいたことは、本当にありがたく思います。これも、全国の教室のオーナーの方々のお力があってのことで、感謝の気持ちでいっぱいです。
--御社の歴史と創立からの変遷をお聞かせください。
弊社の歴史は、イコール幼児の教育の歴史と言っても過言ではありません。1958年にこの教育法を父(七田眞氏)が立ち上げ、本年(2024年)をもって満66年となります。幼児教育に関わり66年という七田式の歴史は、通信教育から始まり、のちに教室の運営を始めました。教室で一番長いところで34、5年ぐらいになりますので、そういった教室では親子三代にわたって通ってくださっているご家庭もあります。
今は、通信教育と教室の二本柱ですが、ご利用いただいているご家庭の多くは、お近くの教室にお通いいただいています。一方、最近は働くお母様も増えていらっしゃいますので、通わせたくてもお仕事の都合で教室の開いている時間に通わせることができないというご家庭には、通信教育をお選びいただいております。
ただし、通信教育には限定枠を設けております。やはりそれは、お母様おひとりですべての教材を使いこなし、指導するというのはなかなか難しいと考えているからです。そうしたことから、多くの枠を設けていないという点はご承知おきいただければと思います。
良い授業は、質の高い先生と教材の相乗効果
--部門賞「先生が良い幼児教室」をご受賞されました。講師の育成について注力している点など、お聞かせください。
教育の本質・真髄を考えたときに、人は人でしか変わらないという信念をもっております。人は一生をかけて育っていくものですが、中でも低年齢時に受けた学びや環境はとても影響が大きいものです。ですので、七田式教室の中で先生から与えられるものというのは非常に大きいと思っています。
そのことを念頭において指導にあたっていただけるよう、新しく先生になられる方はもちろん、ベテランの先生に向けてもスキルアップ制度や講座を設定し、講師認定につきましても、定期的に更新することとしています。これは、先生方ひとりひとりが、常に原点に立ち返り、目の前の子供たちが求めていることに最善を尽くして指導していただきたいと考えているからです。また、七田式教育の根幹となるカリキュラムがあるのですが、これも年次ごとに常にアップデートしていて、先生方は新しい情報を常に取り込みながら指導に携わっています。
--今回、「授業が良い幼児教室」の部門賞も受賞されていますが、カリキュラムの特徴や、幼い学年のお子さんを集中させて取り組んでもらうための工夫など、お聞かせいただければと思います。
レッスンの核となるカリキュラムには、本当にさまざまな工夫がなされていて、1回50分の間、子供が楽しみながら学べる細やかな工夫がたくさん秘められています。具体例をあげますと、1つは月齢別に分けられたコース設定です。たとえば0歳10か月と1歳0か月、1歳3か月というのは、それぞれ2~3か月の差ですが随分と発達の段階が違うものです。
そこで、その月齢ごとに「今、脳の中でどういう発達をしているのか」ということに即した働きかけをしています。それに加えて、先生の素晴らしい導きがあるとお子さんの能力の伸び方が違ってきます。
お子様の発達に合わせてさまざまな力を引き出せる教材を使うカリキュラムと、非常に質の高い先生が教室を運営してくださっているということが掛け合わさり、相対的に「授業が良い」と評価していただけたのかなと思います。

インプットとアウトプットの繰り返しで記憶力を高める
--七田式教室というとフラッシュカードのイメージが強いのですが、そのほかにどういった教材やテキストを使われているのですか。
入力をするインプット、出力をするアウトプット、その両方がないと定着に至りません。そのため、私どもはその双方のバランスをとったカリキュラムを設定しています。
「フラッシュカード」は入力の部分を鍛えるための教材なのですが、視覚で情報を受け取り、絵カードにあわせて「犬」「リンゴ」といった音を耳で聞きます。視覚のみならず、五感にどう刺激を与えるかを考えたカリキュラムとなっているのです。
また、指先を使うことも重視しています。お子さんの発達を考えたときに、たとえば「ものを持つ」という動作ひとつとっても、初めは細かいものを掌全体でつかんでいたものが、だんだん指先で持てるようになっていきます。指先が細かく使えるようになるほど、発語発声というアウトプットもできるようになるということがわかっています。ですので、折り紙を折ったり、積み木を重ねたり、紐でつないでいったりというようなことを低年齢のお子様には多く行います。
--カリキュラムとしては、インプットとアウトプットの双方を鍛えていくのが特徴ということですね。
はい。そして、「心の教育」ということをよく私どもは言っておりますが、小さな子供にとってみると、ご両親をはじめ、自分を愛してくれる、守ってくれる、評価してくれる大人がどれだけ周りにいるかということが安心感につながり、これが実は記憶の能力を高めます。だからこそ、「心の子育て」ということを重要視しているのです。
そして、お母様へのフォローも大切にしています。やはり子育てなさっているとお母様にはお悩みやつまずきなど、いろいろありますでしょう。そのお母様をしっかりフォローしてくださっているのも、やはり先生方なのです。
こうした多面的な働きかけの効果で、子供たちは良い成果をあげてくれているのかなと思います。

年齢やタイミングにあわせてアプローチ
--年齢ごとに伸びる能力の違いというのもあると思うのですが、いかがですか。
当然、年齢が低ければ低いほど、伸び率は良いです。脳はスポンジみたいなもので、赤ちゃんの脳はどんどん吸収するからです。
また、五感それぞれの発達が活性化する時期があります。タイムリーにその時期に学ぶことによって、能力の伸び率は違ってきます。そう考えると、ある程度成長してからより、0歳1歳のころから通い始められたほうが効率は良いように思います。
--脳科学的な見地からも、タイミングを図られて教材が練られているということなのですね。
はい、そういうことです。幼児期に教室に行って、小さなときからお勉強をすることイコール大変なこと、嫌なことというイメージをおもちの方もいらっしゃると思うのですが、人間は「知らないことを知ったとき」の喜びはとても大きくて、脳としてもっともワクワクするわけです。だから、私たちは子供たちに学ぶ楽しさ、知る喜びを伝えたいという思いがあります。
--楽しいものが目の前にたくさんある、それをさせてもらえる場所だと認識すると、お子様たちは楽しく通うことができますね。
嫌々通っても力は伸びません。楽しいとかワクワクするといった感情がないと、吸収できないんです。それは大人も一緒ですよね。大人以上に子供たちにはワクワクが大事なのです。
子供の集中力は、「年齢プラス1分」と非常に短いので、教室ではどんどん取組みが変わっていきます。これは集中力を常に途切れなくするという面もありますし、チャンネルを変えるがごとくカチャッカチャッと脳を切り替えることを、あえて幼児期に訓練させるという面もあります。
すると、何か1つのことに非常に集中して取り組んでいたとしても、時間が来たら切り替えることができるようになる。その習慣を難なく身に付けられるのも幼児期ならではです。
--切り替えられる能力は、今後の人生に必ず役立ちますね。
本当にそう思います。人間やチンパンジーなどの一部の動物の脳には、本能を抑制するための眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)というものがあり、この部分がつかさどる能力を鍛えられるのが幼児期と言われています。幼児期であれば、ちょっとの我慢を積み重ねていくことでこの「切り替える能力」を得られるのですが、その時期を過ぎてから身に付けようと思うと、非常に頑張って無理をしないといけません。幼児期に育成される、育成しなければいけない能力と言えます。
このように、月齢や年齢にあわせてやるべきことが、すべてカリキュラムの中に入っています。それを理屈で教えるのではなく、行為・活動の中で無理なく積み上げていくということが、私どもの教育の一番の強みなのです。

世界の子供たちを育てる使命感
--今後の展望をお聞かせください。
時代の変化とともに、スマートフォンやパソコンなど、人間が生み出してきたさまざまな便利な道具があり、現代はある意味過ごしやすくなっていますが、便利な一方で問題も表出してきています。子供たちにもその影響が出てきているように感じられます。今、私どもは17か国で展開しておりますが、日本国内のみならず、海外校でも同じようなことを感じます。子供たちが変わってきていることを考えたときに、私たちはもっと子供たちのケアに目を向けなければいけないと思うのです。
幼児教育とは、母親教育でもあると私どもは考えています。核家族化も進み、一人きりでお子さんと向き合う時間の増える中、病んでいるお母様も本当に多いことを憂慮しています。やはり子供への影響の大きさを考えると、「お母様へのケア」というのは、幼児教育に携わる事業者だからこそ考えていきたい、考えていかなければならない問題です。そして、実際にそういう取組みを始めており、専用ダイヤルでの子育て・食学相談の受付や、講師によるオンライン座談会を開催しています。
教育が変われば国が変わると父は常々言っておりましたが、本当にそう思います。わが国もそうですけれども、それぞれの国を変えるのは、今目の前にいるこの子供たちです。我々には、国を支える子供たちを育てるという大きな使命があると思っています。
お母様方には、とにかく楽しく子育てしてほしいと思います。楽しく子育てをするツールの1つとして、七田式教育を活用いただければと思っております。
--ありがとうございました。
妊娠期からの働きかけ、現代の国内外の子供たちの姿など、驚く内容もあったインタビュー。目先の受験や教育より、もっと先にある未来や幸せを見つめ、子供の可能性を最大限引き出したいと七田式教育を選ぶ母親たちの気持ちがわかるような気がした。
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