京都大学の西岡大輔 医学研究科特定准教授らの研究グループは、生活保護世帯の子供の入院実態と健康を損なうリスク因子に関する分析を行った結果、生活保護利用世帯の子供のうち4.6%が1年間に入院を経験していることが明らかになった。
同研究グループは、日本国内の6自治体(市)における生活保護利用世帯の子供の生活保護基本台帳データおよび医療扶助レセプトデータを活用し、生活保護利用世帯の子供のプロファイル(基本情報)を作成した。さらに、子供の入院の実態と健康を損なうリスク因子に関する分析を行った。
分析の結果、生活保護利用世帯の子供のうち4.6%が1年間に入院を経験し、中でも特に乳幼児(0歳児、1−4歳児)、ひとり親世帯、ひとり親世帯でなくとも親が就労している世帯、出生時点で生活保護を利用中の世帯の子供に入院を経験しやすい傾向があることや、自治体間で入院発生率に差が見られることがわかった。
これらの結果は、生活保護制度による生活および医療への経済的な支援だけでは子供の健康リスクを十分に軽減できないことや、特に健康を損なうリスクが集積しやすい世帯があることを示唆しており、貧困世帯の子供の健康を守り育むための今後の政策形成に重要なエビデンスを提供するものだという。
同研究成果は、2025年6月10日に、国際学術誌「Pediatrics International」にオンライン掲載された。