【大学受験】河合塾「医学科入試結果総括」2026年度入試の変更点も

 河合塾の大学入試情報サイトKei-Net Plusは2025年6月16日、「2025年度 医学科入試結果総括」を公開した。国公私立大学の医学部医学科に焦点をあて、志願者数や倍率などの入試結果と受験者の成績状況を振り返るとともに、2026年度入試について解説している。

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国公立大医学科 一般選抜の入試結果/志願者・倍率の推移 (c) Kawaijuku Educational Institution.
国公立大医学科 一般選抜の入試結果/志願者・倍率の推移 (c) Kawaijuku Educational Institution. 全 5 枚 拡大写真

 河合塾の大学入試情報サイトKei-Net Plusは2025年6月16日、「2025年度 医学科入試結果総括」を公開した。国公私立大学の医学部医学科に焦点をあて、志願者数や倍率などの入試結果と受験者の成績状況を振り返るとともに、2026年度入試について解説している。

 新課程入試初年度となった2025年度入試は、大学全体の志願者数は増加、合格者数は減少し、厳しい入試となった大学もみられた。しかし、医学科だけでみると、国公立大(前期)の志願者数は減少、私立大では前年並み、合格者は国私共に前年並みにとどまり、競争緩和といえる入試となった。

 国公立大入試の中心となる前期日程の志願者数は1万5,307人(前年比96%)と減少。過去10年間の志願者数、倍率(志願者÷合格者)の推移をみると前期日程では近年、志願者の増加が続いていたが、今春入試では5年ぶりに減少。後期日程は2年連続の志願者減で、倍率もダウンしたが、募集人員が少ないため、依然として厳しい入試といえそうだ。


 国公立大の志願動向では、前年の志願者数増減や、入試科目・配点、2段階選抜の新規実施・倍率などの入試変更の影響を受けやすい。特に大学よりも系統にこだわりが強い医学科では、こうした影響による志願者数の変動が顕著だという。2025年度の前期日程では福島県立医科大(前年比37%)、三重大(同42%)、信州大(同62%)、山口大(同63%)、旭川医科大(同65%)などで志願者数の減少が目立った。一方、富山大(前年比253%)、鳥取大(同197%)、徳島大(同153%)、宮崎大(同153%)などで、志願者が増加した。

 次に国公立大医学科の前期日程の共通テストにおける合格者の平均得点率をみると、総合(6教科理系)で86%だった。教科ごとにみると、「英語」や「数学」など理系の主要科目では9割近く、新教科「情報」も高い得点率となっている。共通テストの難易度は年度によって変わるが、医学科合格の目安として8割以上の得点率が求められる。2次力について合格者と不合格者で比較すると、数学、理科の2教科で大きな差があり、特に理科は、国公立大医学科の多くが2科目を課すため、共通テスト同様、2科目をいかに仕上げられるかが合格の鍵になりそうだという。

 一方、私立大医学科全体の志願者数は10万5,846人(前年比100%)、合格者数は6,888人(同99%)と共に前年並み。一般方式では合格者数が減少したことで倍率がややアップしたが、共通テスト方式では志願者数の増加率以上に合格者数の増加率がアップしたことで倍率がダウンした。

 埼玉医科大は志願者数が前年比137%と増加。特に一般入試前期が前年比165%と増加の中心となった。このほか、福岡大や名称変更した昭和医科大で志願者増。一方、埼玉医科大の一般入試前期日程と重なった東邦大のほか、杏林大、東北医科薬科大など5大学で志願者が1割以上減少した。ただし、多くの大学は前年度入試で志願者が増加しており、国公立大同様、前年の志願者数、倍率のみで判断しないようにしてほしいとしている。

 次に私立大医学科の受験者の平均偏差値をみていくと、科目間の偏りはほとんどみられず、バランスよく高い学力が求められることがわかった。合格者と不合格者でもっとも差がついた科目は私立大も理科で、9.3ポイントの開きが生じていた。

 2026年度入試は、国公立大一般選抜では旭川医科大、山形大、佐賀大が後期日程を廃止する。そのため、後期選抜を実施する周辺の大学(秋田大、宮崎大、鹿児島大、琉球大など)に志願者が集中する恐れがあるという。私立大では1次試験の試験日を遅らせる大学が増加。現時点で、獨協医科大、北里大、杏林大、金沢医科大、川崎医科大が1次試験日を2月以降に変更することが判明している。

 2026年度の18歳人口は2025年度並みに落ち着く。今春実施した河合塾の模試では医学科の志望者はおおむね前年並みとなっており、医学科志望者でみても2026年度入試に難化要素は見当たらないという。しかし、依然として医学科入試は狭き門。目の前にある課題をひとつずつクリアし、医学科合格に向かって努力を続けてほしいとコメントしている。

《川端珠紀》

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