ロート製薬は、6月10日の「こどもの目の日」にあわせ、アメリカ、シンガポール、中国、ドイツ、日本の5か国で小学生の保護者とその子供を対象に、目のケアや生活習慣に関する意識調査を実施した。子供の目に対する保護者のケア意識やその内容、デジタルデバイスとの関わり方など、5か国間で違いや特徴があることがわかった。
この調査は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、各国の保護者が子供の目に対してどのようなケア意識をもっているかを把握することを目的としている。対象は、小学生の子供をもつ各国100名(合計500名)の親。調査期間は、2025年5月19日~5月27日。
小学生の子供の目のケア意識については、ケアを「かなりしている/まあまあしている」と回答した保護者は、アメリカ94.0%、シンガポール88.0%、中国98.0%、ドイツ85.0%と、いずれも9割前後にのぼった。また、「子供の目のケアをかなりしている/まあまあしている」と答えた人に、どのようなケアをしているかを聞いたところ、5か国の保護者の意識に違いがみられた。
アメリカの保護者の回答では「メガネやコンタクトの使用」や「定期的な視力検査」といった項目のケア意識があることがうかがえる。シンガポールの保護者の回答では「メガネやコンタクトの使用」「デジタルデバイスの接触時間管理」「適切な照明」など、生活環境へのケア意識が目立った。中国の保護者の回答では「屋外活動の促進」「視力検査」「デジタルデバイスの接触時間管理」「睡眠」「食事」など、ほぼすべての項目への意識がみられ、幅広いケア意識があることがうかがえる。ドイツの保護者の回答では「視力検査」「デジタルデバイスの接触時間管理」「適切な照明」など、生活環境へのケア意識があるようすがみて取れる。日本の保護者の回答はサンプル数が少ないため参考値ではあるが、「視力検査」「デジタルデバイスへの接触時間管理」への意識があることがうかがえた。
保護者自身の目のケア意識についても、各国で違いがみられた。「保護者自身の目のケアにおいて、どんなことをしているか」という質問に対して、日本では12.0%の保護者が「自身の目のケアをしていない」と回答したのに対し、ドイツは4.0%で、アメリカ、シンガポール、中国では0%。日本以外の国ではほとんどの保護者が自身の目のケアを行っている一方、日本では保護者自身の目の健康意識がやや低い可能性が示唆された。
デジタルデバイスの接触時間や屋外活動時間と視力には一定の関連があると言われている。実態調査での各国保護者の回答によると、子供のデジタルデバイス接触時間の1日平均はアメリカ96.9分、シンガポール93.3分、中国56.8分、ドイツ69.6分、日本89.7分となり、中国が短い結果となった。屋外活動時間の平均については、アメリカ91.1分、シンガポール88.4分、中国83.6分、ドイツ115.3分、日本72.8分となり、ドイツが長い結果となった。
調査結果を受けて、眼科医の松村沙衣子先生は「注目すべきは、各国で実施されている目のケアの内容の違いです。中国では視力検査やデジタルデバイス使用の管理に加え、睡眠、食事、屋外活動まで含めた包括的な対応が定着しており、シンガポールは矯正と生活環境の整備、アメリカは眼科的なケア重視、ドイツは照明環境やデジタル機器管理など予防的アプローチが主流です。これに対し、日本では多くの項目で実施率が他国よりも低く、家庭内での予防的取組みが進んでいない実態が浮き彫りになりました。生活習慣の面でも、日本の小学生はデジタルデバイスとの接触時間が比較的長く(約85分)、屋外活動時間は5か国中最も短い72.8分と、近視リスクを高める傾向がみられます」と解説している。